前任者が残したスクリプト、ベンダー納品コード、設定ファイルなど、情シスの仕事は「書く」よりも「読む」作業が多い。その作業を支援するのが、AIエージェント「Claude Code」だ。本稿では情シス業務での具体的な活用場面と注意点を解説する。
「前任者が残したPowerShellの内容が理解できない」「ベンダーが納品したコードを自分の言葉で説明できない」。情報システム部門(情シス)の業務は、ゼロから何かを開発することよりも、既存のコードの読解、サーバやネットワーク機器の設定済みファイルの確認、ベンダーの納品物のレビューといった「理解する業務」が中心になりつつある。これら業務の効率化に貢献するのが、Anthropicの「Claude Code」だ。
本稿では、情シス業務でのClaude Codeの具体的な活用場面や運用時の注意点を解説する。
Claude Codeは、コマンドラインインタフェースを通じてコマンドを実行する「ターミナルエミュレータ」(ターミナル)、IDE(統合開発環境)、デスクトップ、ブラウザで利用できる。なお、Web版のClaude Codeである「Claude Code on the web」は2026年3月時点でリサーチプレビュー版が公開されている。
一般的な対話型AIを使えば、「そのコードに何を書いてあるのか」を理解したり「コード間のつなぎ目」を生成したりできる。一方Claude Codeは、コード全体を踏まえて複数ファイルの編集やコマンド実行まで進められる点に特徴がある。「このバグを直して」「この処理を説明して」と指示すれば、ファイルを読んで修正し、テストまで実行する。ユーザーが回答をコピーして手動で修正するのではなく、AIがファイルを読み取り、修正し、テストまで実行する点が大きな強みだ。
Claude Codeの特徴は、プログラミング言語で記述する必要がない点にある。「このファイルを読んで要約して」「このバグを直して」と自然言語で伝えるだけで、ファイルの読み取りから修正、保存までを実行する。VS Code拡張やデスクトップアプリケーションを使えば、ターミナルの黒い画面に抵抗があるユーザーでもチャット感覚で操作できる。
重要なのは、いかに上手なプロンプトを書けるかよりも「どのファイルを」「何の目的で」「どのようにしたいか」を具体的に伝えることだ。曖昧な指示をClaude Codeに投げると、意図しない変更が加わるリスクがある。そのため、作業ごとに差分を確認することが大切だ。
まずは手元のスクリプト1本の読解から始め、効果を実感してから自動化や社内展開に範囲を広げると安心だ。
引き継ぎ時に困るのが、前任者が作ったスクリプトだ。前任者が残したまま引き継がれたPowerShell、VBA、PythonなどのスクリプトをClaude Codeに読ませ、「この処理は何をしているのか日本語で説明して」と指示すれば、処理の目的と流れを解説してくれる。社内ドキュメントへの転記や、後任への引き継ぎ資料の下書き作成に使える。
ただし、Claude Codeの説明が正しいかどうか、実行結果と照合して必ず確認する必要がある。コードの「意図」と「実際の動作」が乖離(かいり)している場合、Claude Codeは書かれたコードの動作説明をするだけにとどまり、本来の業務目的を推測することまでは難しい。
「毎週月曜日、このフォルダのCSVファイルを集計してExcelに出力するスクリプトを作って」と日本語で指示すれば、Claude Codeはコードを生成しファイルとして保存するまでを実行する。開発部門に依頼するほどではない小規模な自動化を、情シスが手元で完結できる。
生成されたコードが何をしているか理解できない場合は、「このコードを1行ずつ説明して」と確認する習慣を付けたい。
サーバやネットワーク機器の設定ファイル、Webサーバの構成定義などをClaude Codeに読ませ、「この設定で問題がある箇所はあるか」と聞けば、潜在的なリスクや非推奨の記述を指摘してくれる。設定変更時に「この変更で影響を受ける箇所を洗い出して」と指示すれば、影響範囲の事前把握にも役立つ。
ただし、セキュリティに関わる設定はClaude Codeの指摘だけで判断せず、ベンダーが公開している公式ドキュメントや社内のルールと照合する必要がある。
ベンダーから納品されたコードの理解にもClaude Codeは使える。「セキュリティ上の問題がないか確認して」「エラーハンドリングが不十分な箇所を指摘して」と依頼すれば、コードを読むスキルが心もとない情シスでも、ポイントを絞ったレビューのたたき台を迅速に作成することができる。
既存のコードやスクリプトをClaude Codeに読ませ、「この処理の運用手順書をMarkdownで作成して」と指示すれば、手順書のたたき台が自動で生成される。ヘルプデスク向けのFAQや、システム構成の説明文なども、元となるファイルを指定すれば生成可能だ。
生成されたドキュメントは必ず内容を確認し、社内の記述ルールに合わせて手直しする。AIが生成した文書をそのまま公式ドキュメントとして扱うのは避けたい。
Claude Codeは動作確認できたコードを最優先で生成する。そのため、コードに付随するセキュリティや保守性が犠牲になる場合がある。「なぜこのように変えたのか」をClaude Code自身に尋ね、理由が妥当か判断する習慣を持つことが大切だ。特に本番環境への適用前には、テスト環境での検証と人間によるレビューを必ず挟む。
Claude Codeが作ったコードの内容を理解しないまま運用を続けると、修正が必要になったときに混乱が生じる。作業の途中にClaude Codeに「何をしたか」確認し、差分を把握する癖を付ける。Gitなどのバージョン管理と組み合わせ、変更履歴をたどれる状態を維持することが重要だ。
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