AIエージェントの安全なビジネス利用を促進
OpenClaw系AIが乱立 派生のNanoClawがDockerと協業、その強みは?
オープンソースのAIエージェント「NanoClaw」を提供するNanoCoは、Dockerと提携したと発表した。OpenClawから派生したNanoClawの強みや、提携する目的を整理する。
2026年3月13日、オープンソースのAIエージェント「NanoClaw」を展開するNanoCoとDockerが提携すると発表した。NanoClawは、同じくオープンソースのAIエージェント「OpenClaw」の代替ツールとして開発された。NanoClawとOpenClawの違いは。DockerはどのようにNanoClawと関わるのか。
NanoClawにDockerはどう役立つのか
併せて読みたいお薦め記事
情シス業務とAI活用の関連記事
OpenClawの普及に伴い、その潜在的なリスクも急速に浮上した。調査会社Omdia(Informa TechTargetの一部門)のアナリスト、トーステン・フォルク氏は「OpenClawは、ある個人が概念実証(PoC)として開発したもので、拡散や商用利用は想定されていなかった」と指摘する。セキュリティよりも機能性や使いやすさ、拡張性が優先されていたという。
こうした状況で登場したのが、ガブリエル・コーエン氏とレイザー・コーエン氏の兄弟が開発したNanoClawだ。NanoClawは、AIエージェント「Claude Code」の軽量版をコンテナ化したオーケストレーション層で包み込み、AIエージェントとOSの間の障壁として利用する。これにより、AIエージェントがマシン全体へ無制限にアクセスすることを防ぐ仕組みだ。2025年2月の配信開始後、GitHubで2万個のスターを獲得し、10万回以上のダウンロードを記録した。
ガブリエル・コーエン氏は、TechTargetのインタビューで次のように語った。「OpenClawがもたらした衝撃は、全く新しいものを生み出したことにあるのではない。既存の要素を組み合わせ、AIエージェントが長年蓄積してきた可能性を解き放ったことにある」
同氏は、そのビジョンを理解すれば、ビジネスに適した安全な商用レベルのシステムを構築できると確信したという。
Docker Sandboxesとの連携でセキュリティを強化
NanoCoとDockerの提携により、NanoClawのセキュリティはさらに強固になる。Dockerのプレジデント兼最高執行責任者(COO)、マーク・カベージ氏によると、Dockerは同社の製品「Docker Sandboxes」でNanoClawをサポートする。Docker Sandboxesは、軽量な仮想マシン(microVM)を使用してコンテナをさらに隔離する機能だ。
「インフラ側がAIエージェントの進化に追い付く必要がある。端的に言えば、AIエージェントは従来のコンテナモデルを壊す存在だ」とカベージ氏は指摘する。コンテナイメージは不変であることを前提に設計、運用されている。ところが、AIエージェントは実行中に環境を変更してしまう。そこで、AIエージェントが環境を変更しないより強い隔離環境が必要となる。
microVMを使うことで、コンテナで隔離したAIエージェントを二重に隔離できる。これによって、攻撃者が脆弱(ぜいじゃく)性を悪用したり、エージェント自身が有害な動作をしたりするリスクを低減することも可能だ。
フォルク氏は「NanoClawはDocker Sandboxesを利用して、モジュール型アーキテクチャを実現している」と分析する。個々のAIエージェントやプロセスは、中央集中型のセキュリティポリシーに基づいて隔離される仕組みだ。
ビジネス現場での実用性を重視
カベージ氏によると、AIエージェントツールの開発スピードは衰えていない。Dockerは特定のプラットフォームに依存しない姿勢を維持しており、Claude CodeやOpenClawなどのAIエージェントもサポートしている。
ガブリエル・コーエン氏は、どのAIエージェントが最終的に普及するかは、企業がいかに容易に導入できるかにかかっていると予測する。「多くの企業は、AIエージェントの接続方法やセキュリティ確保に不安を抱えたままだ」
企業にとって重要なのは、理解しやすく、導入しやすい、そして迅速に価値を引き出せるAIエージェントを構築することだ。
NanoClawの開発は急速に進んでおり、Dockerとの新機能の共同開発も計画されている。カベージ氏は「AIエージェントは今後、さらに多くの機能を必要とするようになる。安価かつ容易にサンドボックスを実行し、エージェントを再帰的に立ち上げられる環境が求められている」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[NTTPCコミュニケーションズ株式会社] 「回線速度不足」だけが原因ではない? Web会議の遅延を解決する方法とは -
製品資料
[東京エレクトロン デバイス株式会社] 工場の可用性向上に重要な「7つの領域」と対策 OTセキュリティ強化の基礎知識 -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 問い合わせ対応で本来の業務が進まない、総務や情シスの負担をどう減らす? -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 自社データから高精度な回答を生成、簡単に生成AIチャットボットを構築する方法 -
技術文書・技術解説
[アトラシアン株式会社] IT運用や従業員サポートは生成AIでどう変わる? 使い方や導入の流れは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
全社標準Copilotに絶望? MS Copilotで問い合わせ6割減できた企業は何が違った
-
2
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
3
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
4
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
5
身代金支払いは逆効果 情シスのためのランサムウェア対策ガイド2026
-
6
多要素認証導入済みでもランサムウェア被害に 復旧費用は平均2億7000万円
-
7
DXを阻む「動くだけ」のレガシーシステムに決別するための生成AI活用術
-
8
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
9
「ITインフラとデータ保護・バックアップ対策」に関するアンケート
-
10
自社を守る「SCS評価制度」活用法 7割の企業が取引先起点の情報漏えいに直面
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
「スクラム」と「カンバン」の違いとは? アジャイル型開発手法を徹底比較
-
8
AI時代に成功するための「ナレッジマネジメント」ベストプラクティス
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー