名古屋市立大学が挑む“忖度なし”の人員配置 「属人化した異動案」を解消人材管理で組織の「見える化」を断行

「担当者の記憶」に頼る異動案作成はもう限界だ。名古屋市立大学は、分散した職員スキルを統合し、データに基づく適材適所へと舵を切った。同大学が選んだ「人事の武器」とは。

2026年03月27日 16時30分 公開
[CaseHub.NewsTechTargetジャパン]

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 名古屋市立大学は、職員の能力や経験を最大限に活用した適材適所の人員配置を目的に、WHI Holdingsが提供するタレントマネジメントシステム「COMPANY Talent Management」シリーズを採用した。2026年3月26日、WHI Holdingsが発表した。これまで分散していた職員の経歴やスキル情報を集約・可視化することで、人事異動業務の効率化と高度化を図る。客観的なデータに基づいた戦略的な人材育成と配置を推進し、組織全体のパフォーマンス向上につなげていく。

「記憶」から「データ」へ 人事が手にする“説得の根拠”

 名古屋市立大学は、「名市大未来プラン2021」において、社会の変化に柔軟に適応できる組織づくりを掲げている。教職員が能力を発揮できる環境整備を進める中で、持続的な成長には個々の専門性やキャリア志向を組織のニーズと合致させる人員配置が不可欠となっていた。

 従来、異動案の作成には人事システム内の情報のほか、現場へのヒアリング情報などを統合的に参照していた。しかし、情報の確認や集約は担当者の記憶や手作業に頼る部分が大きく、職員数の増加に伴って業務負担が増大。プロセスの標準化と属人化の解消が急務の課題となっていた。

 こうした課題を解決するため、同大学はCOMPANY Talent Management(CTM2.0)の採用を決定した。選定にあたっては、約20年にわたり人事基幹システムとして利用している「COMPANY」人事管理製品に蓄積された人材データをそのまま活用できる点が評価された。同一シリーズのシステムを利用することで、二重管理の手間なく最新のデータを活用できる点も決め手となった。

 CTM2.0の導入により、これまで表計算ソフトや紙資料、現場へのヒアリング結果など、システム外に分散していた情報が一本化される。これにより、異動候補者や欠員候補者のリストアップ作業がシステム上で完結し、従来多大な時間を要していた情報収集プロセスが大幅に短縮される。また、ドラッグ&ドロップによる直感的な操作で異動シミュレーションが可能になり、変更前後の組織バランスを視覚的に確認しながら検討できるため、人事担当者の作業時間は大幅に削減される見込みだ。

写真 COMPANY Talent Managementでタレント情報を可視化しているイメージ(提供:WHI Holdings)《クリックで拡大》

 データに基づく配置案の作成は、人事施策の納得性向上にも寄与する。職員の業務経験や保有スキル、資格情報が可視化されることで、各部署の要件に合致した人材を客観的な根拠に基づいて検討できる。さらに、個人の特性や職歴などの配慮事項を記録する機能を活用し、人間関係や適性を含めた多角的な検討も可能にする。

 名古屋市立大学は、職員数が増加する中で個人の経歴やスキル情報が分散し、異動案の検討に時間を要していたことが課題だったと振り返る。今回、既存の人事給与システムとシームレスに連携でき、複雑なシミュレーションを直感的に行える点を評価して導入を決めた。蓄積された人事データを最大限に活用し、職員一人ひとりの適性や志向に寄り添った納得感のある配置を実現することで、大学運営の基盤を強化していく。

 将来的には、スキル情報を基にした育成計画の策定や、人員構成のバランス、業務負担の偏在といった組織課題の可視化にもCTM2.0の活用範囲を広げる方針だ。データ駆動型の人事管理を通じて、持続的な成長を支える強固な経営基盤の構築を目指す。

(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「名古屋市立大学、人事データ集約で最適な配置を推進 異動業務を効率化」(2026年3月27日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。

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