ニップンが、工場を含む全国30拠点で年間約3万6000件の紙の請求書をペーパーレス化し、請求書処理にかかる年間約6800時間の工数削減を実現した。経理DXサービス「Bill One」をどのように社内に浸透させたのか。
1896年創業のニップンは、全国30拠点において請求書のオンライン受領と一元管理の仕組みを構築し、請求書処理にかかる年間約6800時間の工数削減を実現した。基盤にはSansanが提供する経理DXサービス「Bill One」を採用し、年間約3万6000件の紙の請求書をペーパーレス化した。営業部門や工場、バックオフィス部門が間接業務に費やす時間を減らし、本来業務へより注力できる環境づくりを進めている。2026年6月11日、Sansanが発表した。
ニップンは、製粉事業や食品事業を中心に展開し、全国に支店や営業所、工場を持つ。2024年1月の電子帳簿保存法への対応を見据え、請求書や領収書のデジタル化を目的としてクラウドサービスを導入し、全社でペーパーレス化を推進してきた。
しかし、工場を中心に受領する請求書の7割以上は依然として紙だった。現場では受け取った請求書を1件ずつスキャンして電子化する必要があり、さらにメール添付の請求書PDFをダウンロードして管理しなければならず、各現場の負担は大きかった。
そこで同社は、「紙を電子化する」という従来の発想ではなく、「請求書を受領する業務そのものをなくす」という考え方へ転換した。この発想の転換が、年間約6800時間の工数削減につながったという。同社はどのような仕組みを構築し、全国30拠点へ定着させたのか。
ニップンが2023年11月から導入しているのがBill Oneだ。Bill Oneは、郵送やメールなどさまざまな方法で取引先から送付される請求書を代理で受領し、データ化してクラウド上で一元管理できるサービスである。
ニップンでは、月間約3000件の請求書をオンライン受領へ切り替えたことで、これまで現場担当者が担っていた紙の請求書の受け取りやスキャン作業、メール添付ファイルのダウンロードといった業務を大幅に削減した。また、現場担当者と経理担当者が共通の画面上で請求書データを確認・修正できるようになり、部門間の確認や問い合わせに伴うコミュニケーションコストの削減にもつながった。
その結果、請求書処理にかかる年間約6800時間の工数削減を実現した。特に請求書件数の多い工場では、9割以上がペーパーレス化されたという。
経理・財務部経理グループの鷲尾崚馬氏は、2023年から電子帳簿保存法への対応と間接コスト削減を目的として、請求書処理や経費精算のDXを進めてきたと説明する。一方で、数千社に及ぶ取引先に紙から電子請求書への切り替えを依頼することは、大きな負担になるという課題があった。
その点、Bill Oneでは、取引先は請求書の送付先を専用の住所へ変更するだけで、請求書の代理受領からデータ化まで対応できる。このため、自社側では紙の請求書そのものを受け取る必要がなくなり、ペーパーレス化を大きく前進させることができたとしている。
さらに同社は、各部門のオンライン受領率を算出して可視化し、運用状況を社内で共有することで利用定着を促進している。現在はニップン本体とグループ複数社で運用しており、今後は国内外のグループ会社への展開も視野に入れ、グループ全体でさらなる業務生産性の向上を目指す。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「ニップン、30拠点で請求書をペーパーレス化 年間6800時間削減」(2026年6月14日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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