京都中央信用金庫はNECの顔認証技術を導入し、顧客が面倒に感じがちなさまざまな作業を省力化する営業店システムを実現した。セキュリティ以外の新しい顔認証の活用方法とは。
銀行窓口で当たり前になっている「伝票記入」「押印」といった作業を“過去のもの”にする取り組みが始まっている。2025年10月21日、京都中央信用金庫はNECの顔認証技術を利用した営業店システムを導入し、運用を開始した。新しいシステムは、顧客自身がタブレットで一部の手続きを完結させる「セミセルフ化」を実現するという。新しいシステムの“3つの活用法”を詳しく見てみよう。
京都中央信用金庫は店頭のロビーや窓口にタブレットを設置。これまで伝票や申込書類に記入や押印が必要だった手続きを、タブレットへの入力操作で完結できるようにする。記入や押印の負荷を減らすとともに、手続き時間も短縮する狙いだ。
設置されたタブレットは顔認証の機能を備える。顧客が顔認証を実施し、来店目的を入力すれば、職員は即座に取引口座を特定して必要な準備ができるようになる。
タブレットは、顔認証機能に加えてキャッシュカードと暗証番号を使って取引ができる「カード認証」と、印鑑のスキャンで取引を可能にする「電子印鑑認証」の機能も搭載。これによって、顧客は通帳や印鑑を持ち歩かなくても手続きができるようになり、ペーパーレス化を図れる。
顧客がタブレットで情報を入力する際、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を通じて、営業店システムは勘定系システムや情報系システムとの情報照会を自動で実行できるようになる。照会結果を営業店システムに連携することで、職員の入力作業や確認作業の省力化を後押しする。
顔認証技術は採用が広がっているが、入館管理などセキュリティの用途が大半だ。国税庁はキヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)とキヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)のシステムを導入し、PC内蔵カメラでテレワーク中の職員の顔認証を実施する方針を打ち出している。そうしたセキュリティ用途だけではなく、京都中央信用金庫のように、サービス改善や業務効率化に利用すれば、採用がさらに広がる可能性がある。
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