Dropboxで世界最大級DJバトル大会の審査時間を最大90%削減 どう活用した?動画レビューの効率化で透明性向上も実現

Dropbox Japanは、世界最大級のDJバトル大会「DMC World DJ Championships」におけるDropboxの導入事例を公開した。同社サービスの活用により、従来最大4週間かかっていた審査期間を最短約3日に短縮した。

2026年07月01日 05時00分 公開
[TechTargetジャパン]

 Dropbox Japanは2026年6月29日、世界最大級のDJバトル大会「DMC World DJ Championships」(以下、DMC)におけるDropboxの活用事例を公開した。同社のオンラインストレージサービス「Dropbox」と動画制作ツール「Dropbox Replay」を活用し、大会審査時間を4週間から最短3日、最大90%削減したという。

 DMCは1985年に設立されたDJ大会で、世界75カ国以上からDJが参加する。スクラッチやビートジャグリングなどの技術に加え、構成力や音楽性を競う。日本にも支部があり、DJ松永氏やDJ KENTARO氏などが過去に優勝している。

 DMCは2023年、支部のない国や地域のDJにも世界大会への道を開くため、「Wildcard」部門を新設した。参加者は動画でエントリーし、各国の審査員がリモートで審査する。選ばれたファイナリストには、DMC World DJ Championshipsへの出場権が与えられる。DropboxおよびDropbox Replayは、Wildcard部門で利用された。

「カオスだった」審査プロセスを短縮したDropboxの使い方

 Dropbox導入以前のWildcard部門では、参加者が動画プラットフォームに応募動画をアップロードし、そのリンクをメールで運営に送っていた。運営側はリンクをクラウド上の共有ドキュメントに整理し、5〜9人の審査員が300〜400件の動画を確認していた。各審査員はスコアやフィードバックをメールで個別に返送しており、手作業中心の運用だった。

 世界各地に審査員がいるため、時差による連絡の遅れも発生していた。さらに、審査員から「この動画の10秒から12秒がよい」といったコメントがあった場合、どの動画のどの部分を指しているのかを確認する作業に時間がかかっていた。

 DMC World DJ Championshipsのグローバルコンペティションディレクターであるアントリックス・マナウェット氏は、当時の状況について「常に散らかっていて、カオスだった。メールを検索し続ける状況で、手間と時間がかかり、力技の部分が多かった」と振り返る。

応募動画をDropboxに直接アップロード

 DMCは2024年のパリ大会シーズンから、Wildcard部門にDropboxを導入した。参加者はDropboxのファイルリクエスト機能を使い、指定フォルダに応募動画を直接アップロードする。これにより、大容量の動画を安全に保存、整理、共有できるようになった。

 マナウェット氏は、国や地域によって利用されるデータ共有サービスが異なる中でも、Dropboxは世界中の関係者が直感的に使える点に価値を感じたと説明する。DropboxのフォルダをPCに同期できるため、運営側も応募データに直接アクセスしやすくなった。

 Dropbox Replayは、動画や音源、高画質画像などの大容量ファイルを使った共同作業を支援するコラボレーションツールだ。動画や音声にタイムスタンプ付きでコメントを残せるほか、複数人が同時にレビューできるライブレビュー機能を備える。

審査時間を80〜90%削減

 DMCはDropbox Replayを使うことで、動画内の該当箇所に直接コメントを残せるようにした。これにより、「どの動画のどの場面に対するコメントなのか」を運営側が確認する手間が減った。

 従来は審査員からフィードバックを得るまで最大4週間かかっていたが、Dropbox Replay導入後は最短約3日に短縮された。審査にかかる時間は80〜90%削減されたという。

 効率化を向上させることができただけでなく、審査の透明性も高まった。審査員同士が互いのコメントを閲覧し、必要に応じて議論できるようになったためだ。マナウェット氏は「クリエイティブなコンテンツの評価には主観が伴う。評価について審査員同士で議論できることに大きな価値がある」と語る。

 各動画の審査ステータスをラベルで管理できる機能や、スマートフォン、デスクトップPCなど異なるデバイスでも安定して再生できる点も、世界各地の審査員による作業を支えている。

大会を「学びの場」に広げる

 Dropbox Replayに残された審査員のコメントは、文書作成ツール「Dropbox Paper」などに転記され、参加者へのフィードバックにも活用されている。参加者にとっては、結果だけでなく、評価された理由を早く知ることができる点が利点だ。

 DMCの審査員は歴代優勝者が務めている。トップDJからの具体的なコメントを受け取れることは、Wildcard部門を単なるコンペティションではなく、参加者が学ぶ場にする効果もある。

 Dropbox Japanによると、DropboxはDMCのWildcard部門の審査に加え、大会データのアーカイブ、関係者間のデータ共有、Dropbox Paperによる共同編集、電子署名ツール「Dropbox Sign」による契約書管理などにも活用されている。

 マナウェット氏は今後、Dropbox Replayをワークショップやキャンプのような体験型の学びの場にも活用したい考えを示す。世界中のDJが同じデータを見ながら議論し、学び合う環境を整えることで、DMCは大会運営だけでなく、DJコミュニティーの育成にもDropboxを広げていく考えだ。

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