Gartnerは、2028年までにAIコーディングの利用料が平均的なエンジニアの給与を上回ると予測する。天井知らずの費用高騰を招く「トークン消費」の実態と、IT部門が実施すべき統制策とは。
企業は開発体制を強化するために、「Claude Code」や「Cursor」といったAIコーディングツールの導入を急ピッチで進めている。しかし調査会社Gartnerは、AIコーディングツールベンダーが消費トークンに基づく課金体系へと移行するにつれて、ソフトウェア開発の費用が天井知らずに膨れ上がる可能性があると指摘する。従来のエンドユーザー数単位での課金モデルよりも、変動しやすい料金体系であるためだ。
Gartnerは、大半のAIコーディングツールベンダーはトークン消費量の計算方法や請求方法に関する透明性に欠けており、企業が事前に明確な費用を予測し、コントロールすることを難しくしていると警鐘を鳴らす。開発作業全体におけるトークンの使用状況を明確に把握できなければ、企業は予算を超過するリスクを抱え、費用に見合う成果が出ているかどうかを判断できなくなる恐れがある。
Gartnerは2026年6月に、大規模言語モデル(LLM)のトークン消費量の増加と従量課金制への移行によって、2028年までにAIコーディングの費用が平均的な開発者の給与を上回るとの予測を発表した。同社のシニアプリンシパルアナリストであるニティシュ・チャギ氏は、「総費用が増加しているからといって、AIツールの利用をやめるべきではないが、トークンの費用が増加していくのは間違いないだろう」と話す。
「AIツールベンダーが従量課金制に移行するにつれて、IT部門がソフトウェア開発にかける費用は、従来の20ドルから、200ドル、状況によっては月額2000ドル(約30万円)にまで跳ね上がる可能性がある」とチャギ氏は語る。これは、世界のITアウトソーシングの拠点であるインドの開発者の平均給与を上回る額だ。
チャギ氏はIT部門のリーダー層に対して、社内のソフトウェア開発においてAIツールの利用を継続するために、高額な月額料金を支払うだけの価値があると経営陣に説明できるよう準備することを勧めている。
費用に見合っていることを証明できた例として、チャギ氏はあるインドのIT企業を紹介する。そこでは消費されるトークンの量に基づいて、1人の開発者のAIコーディングツール利用料が2万ドル(約300万円)に上っていた。しかし、IT部門のリーダー層がこの高額な請求の内訳を調査したところ、その開発者はレガシーシステムを最新化する大規模なプロジェクトに取り組んでおり、それ故にその費用は十分に納得できるものだと判断できたという。
Gartnerはリサーチノート「How to Optimize Token Consumption for AI Coding Agents」において、開発部門の責任者に対し、チームと協力して現在のソフトウェア開発工程の成熟度を評価するよう促している。その目的は、自社がAI主導の自動開発(人間の細かな指示を待たずにAIツールが自律的に進める開発スタイル)に移行する準備ができているかどうかを見極めることにある。既存の開発工程を評価した後、チームのリーダーは開発者が現在AIコーディングツールをどのように、どこで使用しているかを正確に把握すべきだ。
リサーチノートは、「自動開発や上位のAIモデルが不可欠な用途と、それらを利用する費用に見合うだけの成果が得られない用途を明確に識別することが最終的な目標だ」と結論付ける。
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