Microsoftはその中核的な事業において、チャンスを1つか2つ逃した。だがモバイルの業務利用は依然としてタブレット市場全体にとっての問題であり続けている。
Windows最新版についてのさまざまな報道を目にした人が、ある程度混乱するのは無理もない。これまでにMicrosoftが売り出したどの製品よりも速いペースの売れ行きを見る限り、Windows 8はWindows 7以来の出来といえるのか。それとも、発売までに時間がかかり過ぎたことや的を外したことから判断して、Windows Vista以来の失敗作とみるべきなのか。恐らくその両方だろう。Windows 8の現在の状況や、他のシステムが与える影響について理解するためには、細部に目を向ける必要がある。
まず、Windows 8は出遅れた。Appleは優れたデザインの製品を通じて、既に大量のユーザーを自社陣営に引き入れた。同社の製品は使い勝手が非常にシンプルで、大多数のユーザーはiPadのファッション性を評価し、自分の会社のPCと併用するようになった。そのPCの圧倒的多数は、XPを含むWindowsを搭載している。StatCounterの調査によれば、世界の全デスクトップに占めるWindows XPの使用率はまだ25%近くに上り、その大部分を組織のPCが占める。
だがiPadユーザーの大多数はMicrosoftを見捨てていない。真の問題は、iPadがWebや電子メールを閲覧するための端末としては素晴らしい半面、情報の作成に関しては全く向いていない点にある。
確かに電子メールには返信できるし、Facebookにも投稿できてツイートもできる。だが、ソフトキーボードはその場しのぎの用途であればともかく、きちんとしたキーボードの代替にはならない。PowerPointスタイルのプレゼン資料をiPadで作成するのは容易ではない。複雑なスプレッドシートで作業しようとすれば、すぐにPCが欲しくなるだろう。
外付けキーボードやサポートスタンドがあっても、iPadが本格的な業務用コンテンツの作成に適しているとは思えない。それにさまざまな付属品を使い始めると、何本ものケーブルを持ち歩き接続しなければならないという昔ながらの問題に引き戻される。Bluetooth接続によって機器間の接続は必要なくなったが、充電は依然として大きな問題だ。Appleはモバイル化の多くの部分で素晴らしい功績を挙げた。だが次はどこへ行くのか。
Appleによるタブレット市場の独占状態に対する真の対抗勢力は、まずAndroid陣営から出現した。よりオープンなプラットフォームを持つAndroidは、オープンなプラットフォームと囲い込まれた環境(walled garden)の違いが理解できる技術通にとっては魅力的だった。だが、一般ユーザーは当初、横並びでAppleをまねた面白味のないデザインと、簡単にダウンロードできるアプリの少なさのために、あまり関心を示さなかった。
Androidのアプリストアに十分な(そして適切な)アプリがそろうと、今度はAndroidの異なるバージョンが存在する問題が浮上した。2010年にリリースされたGingerbread(バージョン2.3)を皮切りに、Honeycomb(同3.x)、Ice Cream Sandwich(同4.0)、Jelly Bean(同4.1~4.3)、KitKat(同4.4)が登場。多くのメーカーのタブレットは、Androidの特定のリリースに依存する設計になっていたことから、後のリリースの新機能や改善点を取り込むことができなかった。これに対してAppleは、この問題にかなりうまく対処してみせた。
だが最新バージョンのAndroidを搭載したスマートフォンやタブレットは、Appleから市場シェアを奪いつつある。Appleは特許の嵐でこれに対抗し、Appleが保有する特許を他社に利用されたと訴えてきた。これは裏目に出ているようだ。裁判所はAppleの訴えを退けたり、上訴審で判断を覆したり、他社に科した罰金を大幅に減額したりしている。
一方のMicrosoftは、他の陣営が法的論争やアップグレード戦争を繰り広げている間に、独自のタブレット「Surface RT」を発売した。Windows 8の簡略版をベースとして、特にバッテリーが長持ちするタッチ式タブレットを目指したSurface RTは、Modern UI(旧Metro)と、Windows RT環境向けの専用アプリを搭載していた。Surface RTでは既存のWindowsアプリケーションは実行できなかった。同端末で実行するアプリは全て、Modern UIから直接入手しなければならない。
Microsoftにとってこれは問題だった。
導入しかけたiPadを止め、Windows 8タブレットに切り替えた導入事例。担当者の決断は正しかったのか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
LTE対応レンタルPC・USIM・故障紛失窓口をセットで提供。業務用PCの導入・運用管理に関わる担当者にぜひ知ってほしいサービスだ。
独自開発したIT資産管理ツールが属人化し、セキュリティリスクにつながる不安要素となっていた東レ。しかし、今やその状況は変わり、インベントリ情報のリアルタイム更新を実現し、正確性も向上したという。同社はどう取り組んだのか。
働き方の多様化を受けてIT資産の状況も細分化が進んでいる。こうなると運用負荷が増大し、不十分な管理がコンプライアンスやセキュリティのリスクを招いてしまう。現状に適した管理体制に移行するには、どのような対応が必要なのだろうか。
グローバル空調機器メーカーであるダイキンでは、IT資産管理におけるさまざまな課題が浮上していた。そこで同社は、IT資産管理の仕組みの抜本的更新を決定。現在では、IT資産管理の一元管理を実現している。同社の事例を詳しく紹介する。
コロナ下に数十台のPCを調達することが必要になり、迅速かつ確実な手段としてレンタルPCサービスを導入した備後漬物。迅速で柔軟性の高いサービスによりPC調達業務の大幅な効率化を実現し、トータルコストの削減にもつながっているという。
DX推進に向かうにはまず守りの業務の改善から (2025/3/6)
企業のIDを内外から狙う攻撃が急増 ID漏えいを前提とした対策が必要な時代に (2025/3/3)
カスハラから従業員も映像も守る ボディーカメラはあのカメラとどう違う? (2025/1/24)
災害や攻撃のリスクが高まる日本に欠かせない「迅速に復旧可能な仕組み」とは (2024/12/27)
システムの統合で取りこぼしが生じる可能性も AIを活用して回避する方法とは? (2024/12/12)
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「政府」「メディア」への信頼度は日本が最低 どうしてこうなった?
「信頼」に関する年次消費者意識調査の結果から、日本においても社会的な不満・憤りが大...
「Threads」が広告表示テスト開始 企業アカウント運用のポイントとは?
Metaのテキスト共有アプリ「Threads」で広告表示のテストが開始され、新たな顧客接点とし...