技術論だけでは普及できない背景
DevOpsは「文化」、金融業界のリーダーが語るIT雇用の変化
パブリッククラウドやコンテナ技術、マイクロサービスなどの普及はIT雇用にも影響を及ぼしつつある。企業はスタックについて総合的に考えるDevOpsチームの構築を目指している。
ITモデルが変化すれば、求める人材のニーズも変わる。だがこれは大規模企業にとって、口で言うほど簡単なことではない。
DevOps化を進める上で最大の難題の1つは、スタックの全レイヤーに関与するのに必要なスキルセットと知的好奇心を持ち合わせた人物を見つけることだ。パブリッククラウドの他、マイクロサービスやコンテナといった最新トレンドの採用が進む中、IT部門にはDevOpsの「技術」だけでなく「文化」が重要となる。
オープンネットワーキングの実現を目指す業界団体Open Networking User Group(ONUG)が2015年11月初めにニューヨークで開催したカンファレンスでは、こうしたIT雇用ニーズの変化をテーマにディスカッションが行われ、金融業界のリーダーらが各自のアプローチを紹介した。
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米金融大手Citigroupの「CitiCloud」ソリューション担当マネジャー兼エマージングネットワーキングストレージ技術担当上級副社長を務めるハーマン・ファンデルリンデ氏は次のように語る。「好むと好まざるとにかかわらず、これは進化だ。一からスタートして最初から上手くできるほど簡単なことではない」
Citigroupは実際、2方面からのアプローチを採用している。全体的な取り組みとしてはコンバージド(垂直統合型)インフラストラクチャを中心に設計の統合を目指し、新規のプロジェクトについてはテスト後に適宜、より大きなシステムに統合するというやり方だ。
米ウィスコンシン大学マディソン校の准教授であるアディティヤ・アキラ氏は、こうした変化がレガシーワークロードに及ぼす影響を探るべく、900近くのデータセンターネットワークを調査した。その結果、SDN(ソフトウェア定義ネットワーク)などの新しいシステムでは、VLAN(仮想LAN)の追加など、簡単に自動化できる要素もあるが、階層型インフラストラクチャネットワークの複数レイヤーに関与するアクションは依然としてはるかに複雑な設定を必要とし、大体は手作業でしか行えないことが分かったという。
「ネットワークとアプリケーションの間には契約がある」とアキラ氏は語る。フォールトトレランスなど、ネットワークの機能として期待されていることもあれば、アプリケーションがやらなければならないこともある。アプリケーションとネットワークの境界は一様ではない。
「自動化のレベルや必要とされるプログラミングは、主にアプリケーションとネットワークの間のどこに境界があるかで決まる」と同氏は続ける。
会社内のチーム間にはもともと信頼が欠けていることもあり、技術的な問題と組織的な問題をバランスよく解決することが必要だ。米金融大手Morgan Stanleyのマネージングディレクターを務めるスティーブ・ラッセル氏はそう指摘する。
「チーム間の連携を強化するのも1つの方法だが、動的な変化に対応する考え方を変えることも重要だ。これまでのところ、ネットワーキングに関してはそのハードルは低く、サーバ側のハードルははるかに高い」と同氏は語る。
DevOpsには総合的な視野が必要
前出Citigroupのファンデルリンデ氏はDevOps化に伴う大きな課題として、フルスタックを理解するエンジニアを確保し、専門的な従業員の数を制限することを挙げる。
「目指すべきは、スタッフがネットワークからストレージ、計算処理までを網羅する完全なスキルセットを備えている状態だ」と同氏は語る。
こうしたクラウドアーキテクトには、複数の専門分野にわたる全体論的な視野が求められるが、一番してはいけないことは、「インフラストラクチャについてアプリケーション開発者が教育することだ」と同氏は続ける。対処すべき問題が増え、リソースを提供する側よりも自分の方がよく分かっていると考えるアプリケーション開発者が増えることになりかねない。従って、リソースから高いレベルでアプリケーションを抽象化して提供するのがベストだ。
「『必要な仮想マシンやストレージのサイズ』を尋ねるのではなく、『必要なアプケーションスタック』を聞くようにしている。そこからデザインパターンを作成し、エンジニアリングに必要なスキルを明確化すれば、ITリソースの観点からも状況を把握できる」とファンデルリンデ氏は語る。
前出Morgan Stanleyのラッセル氏によれば、IT業務のDevOps化に伴い、多くの人たちが苦労しているのは、ワークフローへの適応という文化的な問題だという。
「DevOpsを実践している人たちは、これまでとあまり変わらないレイヤーあるいは彼らの直下のレイヤーと同じ高さのところでDevOpsを実践しており、それにいら立ちを感じている」と同氏は語る。
開発期間を短縮するために必要な能力を備えたフルスタックインテグレーターを採用する動きは確かにあるが、だからと言って、特定分野に関する深い知識が不要になるわけではない。そう指摘するのは、米会計ソフト大手Intuitのネットワークエンジニアリング担当ディレクターを務めるパブロ・エスピノーザ氏だ。
「大規模なシフトが起きているのではなく、役割が拡張拡大しているのだと思う」と同氏は語る。
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