2017年09月07日 08時00分 UPDATE
特集/連載

Wave 2のメリットを生かすには?導入しただけでは速くならない、高速Wi-Fi規格「802.11ac Wave 2」

IEEE 802.11acをベースとしたWi-Fi規格である802.11ac Wave 2は、高速な無線ネットワークを実現する。しかし、単にWave 2対応機器を導入しただけではWave 2のポテンシャルを引き出すことはできない。

[Peter Ray Allison,Computer Weekly]
Computer Weekly

 「802.11ac Wave 2」規格(訳注)は無線LANを高速にするものと簡単に考えているかもしれないが、それほど単純ではない。

訳注:Wave 2規格はIEEEが策定したものではないため、「IEEE」は付かない。

Computer Weekly日本語版 9月6日号無料ダウンロード

本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 9月6日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。

なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。

ボタンボタン

 この新世代の無線テクノロジーは、特に大きなデータフットプリントを持つ企業にとっては影響も潜在的メリットも大きい。

 Wave 2規格は、「IEEE 802.11ac」仕様の付加規格だ。この規格は新たなテクノロジーを組み込み、無線ネットワークが使用する理論上の最大データ転送レートを高めている。その結果、ネットワークのデータ転送速度を向上させ、複数のユーザーが同時に無線ネットワークを使用できるようにする。

 Wi-Fi Allianceが2016年にWave 2を公式発表したことにより、対応する商用製品がようやく市場に投入されるようになった。企業はすぐにでもこの新しいテクノロジーへの投資を考えるかもしれないが、最大限のメリットを得るには事前に慎重な判断が必要になる。

Wave 2のメリット

 Wave 2機器をネットワークに組み込む前に、既存のコアネットワークインフラを調べて、Wave 2規格の速度に対応できるかどうかを評価する必要がある。

 Wave 2規格の主なメリットの1つは、ギガビットの転送レートがようやく実現することだ。有線接続は段階的に高速化されてきたが、無線機器は今までこれに後れを取ってきた。

 Wave 1機器でも、理想的な条件下であれば物理層で1.3Gbpsの転送レートを実現する可能性がある。だが、実運用環境が理想的な条件を満たすことはめったにないため、実際の転送レートは多くの場合50%程度に落ちる。

 Wave 2機器は物理層で2.34Gbpsの転送レートを実現する可能性がある。スループットレートは50%と推測されるが、それでも1Gbps以上の速度でデータが転送されることになる。

MU-MIMO

 Wave 2規格のもう1つのメリットは、「MU-MIMO」(Multi-User MIMO:Multiple Input, Multiple Output)のサポートだ。「MIMO」は、1対1で通信するため、複数の機器が通信する場合は順番待ちが発生する。これに対してMU-MIMOは、複数の機器が同時に接続できるため、各機器の順番待ちが不要になる。この並列処理により、データセットがパケット内で同時に送信され、効率が大幅に向上する。

 「MU-MIMOでは、全部で4本のアンテナが多数の機器と通信できる。そのため、実際には1台のWave 2機器が複数台のWave 1機器の働きをすることになる。1台に複数のアクセスポイントがあるかのようにだ」と、D-Linkでテクニカルエンジニアを務めるクレイグ・カービー氏は言う。

 MU-MIMOは、最大4台の端末が同時に接続できるWave 2のアクセスポイントを使って、多数の機器をネットワークに接続できる。スマートフォンを仕事に使う従業員が増え、タブレットなどのスマートデバイスの数も増加しているため、これらの機器のアクセシビリティーを高めることが必要になる。Wave 2機器は、モノのインターネット(IoT)を完全に実現する基盤の上に階層化されるといえるだろう。

チャネル幅

 また、Wave 2規格ではチャネル幅も増える。Wave 1のチャネル幅は20MHz、40MHz、80MHzだが、Wave 2は最大160MHzまで調整可能だ。チャネル幅は、データ転送用信号の広さを決める。信号が広いほど、転送できるデータ量は多くなる。

 ルーターの数が増えれば、トラフィックはその分混雑する。だが、チャネル幅が広がることでブロードキャストの速度やスループットは向上する。理論上は、チャネル数が多いほど優れているが、チャネルへのノイズや干渉が増えるとそうともいえない。多くのノイズや干渉が頻繁に起こる混雑した領域では、チャネルは1つの方が安定する。

 チャネル幅が広いと速度と転送レートは高まる。だが、この場合も混雑した環境ではうまくいかない。最適なチャネル幅は、ネットワークインフラを調査することで判断すべきだ。この調査ではネットワークの運用環境も評価する必要がある。

空間ストリーム

 Wave 2のメリットとして、他にも4番目の空間ストリームを導入することによって柔軟性を高めていることがある。Wi-Fi Allianceによると、「機器の速度は空間ストリームの数に比例する」という。

 利用できる空間ストリームが多いほど、機器のパフォーマンスは向上する。「Wave 2を使って4番目の空間ストリームを導入しているならば、88MHzと160MHzで同時にブロードキャストできることになる」とカービー氏は話す。

既存環境の調査

 ネットワークインフラを最近構築したのでなければ、Wave 2の高速性は生かされない可能性が高い。

この記事を読んだ人にお薦めの関連記事

この記事を読んだ人にお薦めのホワイトペーパー

Loading

注目テーマ

ITmedia マーケティング新着記事

news077.jpg

電通が学生と企業の共創プロジェクト「βutterfly」を開発、企業向けにスポンサードプランを提供
電通は、顧客企業と学生の協働型プロジェクト「βutterfly」を開始すると発表した。β版...

news040.jpg

「インバウンド」で注目される浅草、訪日外国人観光客で賑わう理由とは?
口コミ時代のWebとソーシャルメディアは最大の武器。最小限の手間で最大の効果を発揮する...

news103.png

オムニバス、「セゾンDMP」を活用したターゲティング広告を提供
クレディセゾンの100%子会社オムニバスは、クレディセゾンが保有するクレジットカードの...