「JavaOne 2017」で学ぶ開発ツールの利用方法
Java開発の現在と将来――Javaはレガシーアプリにデジタル変革を起こせるのか
コンテナへの対応、モジュール化、Java EEの「MicroProfile」など、Java開発ツールのさまざまな強化点について、エンタープライズアーキテクトと開発者が解説する。
デジタル変革戦略を進める企業は、レガシーインフラへのアクセスを保ちながら、コンテナやWebサービスといった新しい概念に対応するプログラミングツールを活用できるようバランスを取る必要がある。こうしたアプローチの1つに、JavaScriptのNode.js、Python、PHPに基づくWeb開発ツールの導入がある。コンテナ対応、モジュール化、Java EEのMicroProfileに基づく軽量のJavaの仮想マシン(JVM)など、最近の進化を取り入れることで、既存のJava開発ツールと専門知識をさらに有効に生かせるようになる。
Oracleで製品管理部門のバイスプレジデントを務めるマイク・リーマン氏は次のように語る。「開発者は、Node.JS、Python、PHPなど、さまざまな言語を用いてマイクロサービスを作成している。Javaには膨大な知識ベースやスキルがあるが、次々と登場し、人気を集める膨大な数の言語も利用することになる」
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企業のデジタル変革の取り組み
クラウドネイティブになるようJavaを見直す
膨大な数のエンタープライズアプリがJavaで作成されている。また、新しい概念の実証にもJavaパターンが広く用いられている。Javaにはコードの有用性、監視、運用をサポートするエンタープライズツールセットも豊富にある。
PHP、Python、JavaScriptなど、Web中心の新しい開発言語に魅力を感じるWeb開発者は非常に多い。だが、こうした言語は、セキュリティ、正常性チェック、コード管理などの機能をJavaと同等のエンタープライズレベルでサポートするわけではない。
Java EEにはこのような機能が含まれるが、容量の大きなVMやアプリケーションサーバモデルといった負担が伴う。Project JigsawやJavaのMicroProfileに基づいてJava EEに実装される新しいモジュール化機能を利用すれば、これまで培ったJavaの専門知識とコードベースをデジタル変革戦略に利用できるようになる。「他の言語を用いても実行できるが、1つの言語を中心に据えれば、既存のスキルセット、知識、管理を生かせるため、全体の生産性が向上すると考える開発者チームが多い」とリーマン氏は言う。
Javaでのコンテナのルーツ
Red Hatでソフトウェアエンジニアリング部門のバイスプレジデントを務めるマーク・リトル氏は次のように話す。「幾つかの点で、Javaには数年前からコンテナの考え方が備わっている。あるレベルではJVMがこれに当たる。もう少し高いレベルでは、Java EEによって定義し、Apache Software Foundationが開発したApache TomcatやRed Hatが提供する「JBoss Enterprise Application Platform」によって実装するアプリケーションコンテナもある。Dockerコンテナは、これらをLinuxコンテナと組み合わせて高いレベルの抽象化を実現する。Dockerコンテナではワークロードをクラウドに効率的かつ低コストで移行する必要があるためだ」
Linuxコンテナは、利便性と信頼性が高く、再利用可能でスケーラブルな移行手段だ。既存のJavaワークロードを移行して、効率的にLinuxコンテナに導入可能にするといったトレンドが流行するのも時間の問題だろうと同氏は言う。だが移行には時間がかかり、アーキテクチャの見直しが必要になる。
ただしJVMが作成された時点では、コンテナについての最新の概念は存在しなかった。「アーキテクチャと実装に関して問題があるのは分かっており、現在対処中だ」とリトル氏は言う。
同氏によれば、Linuxコンテナに導入できるコアサービスだけをJava EEなどのアプリケーションサーバコンテナに残すという考え方も広がっているという。JVMとLinuxコンテナの連携を強化するJDK Enhancement Proposals(JDKの機能拡張提案)も公開されている。
Java EE MicroProfileを使って効率を上げる
MicroProfileの進化により、企業の内外で実行できるJavaランタイムのサイズが縮小され、企業のデジタル変革戦略の成功への道筋が見えてくる。エンタープライズアーキテクトにとって、MicroProfileは重要だ。これにより、開発者、テスト担当者、運用チームは、企業の既存環境にあるレガシーアプリケーションをマイクロサービスに変換してデジタル変革を進めやすくなるためだ。
その結果、企業はさまざまなクラウドプラットフォームで実行できる小型で機敏なマイクロサービスアプリケーションの作成に既存のJava開発ツールリソースやツールを活用できるようになる。アプリケーションスタックの各層によってオーバーヘッドが追加されるため、これは重要になる。コンテナの優れた相互運用性は、従来型の仮想マシンのオーバーヘッドを削減できる。MicroProfileの標準化も、間違いなく従来のJVMのオーバーヘッドを削減する。
大手ベンダーとエンタープライズアーキテクトが協力して推し進めるEclipse MicroProfileオープンソースプロジェクトでは、追加のAPIの提供を試み、Java EE開発者が堅牢なエンタープライズアプリケーションの実装に必要な新機能を利用できるようにしている。
MicroProfileの相互運用性は、Red HatによるWildFly Swarm、IBMの「IBM WebSphere Application Server Liberty」、Payaraの「Payara Micro」、Tomitribeの「Apache TomEE」といった複数のJavaアプリケーションサーバ間で実証されている。IBMは、最近リリースしたOpen Liberty(Java EEとMicroProfileの実装)と、Eclipse OpenJ9としてEclipse Foundationに提供するIBM J9 VMによって、いつでもアップデートでき、さまざまなクラウド環境間を移動できるマイクロサービスのコーディングを開発者がより簡単にできるように計画している。IBMでWebSphereのチーフアーキテクトを務めるイアン・ロビンソン氏によると、IBMはIstioなどのサービスメッシュインフラとEclipse MicroProfileが適切に連携することを強く望んでいる。
Java EE MicroProfileのエンタープライズレベルの機能
より高いレベルの目標の1つは、レガシーアプリケーションのJava開発者が既存のツールを再利用してより多くの時間をコードの作成に費やし、アプリケーションロジックの実行と自動化に必要な基盤となるインフラの構成にかける時間を減らせるようにすることだ。ちょうど「JavaOne 2017」が開催されるころにMicroProfileに新たなAPIが組み込まれる(編注)。このAPIは、適切な構成、フォールトトレランス、正常性メトリック、正常性チェック、JSON Web Tokenの伝搬によるセキュリティをサポートする。こうした機能のおかげで、Javaアプリケーション開発者は各種クラウドプラットフォームで動作する明確に定義された仕様とAPIを用いてマイクロサービスのパフォーマンスを向上できる。
※編注:本稿は2017年9月29日に公開された記事です。
Red Hatのリトル氏は次のように述べる。「当社は、Eclipse MicroProfileを、基盤となるコンテナプラットフォームがアプリケーションに関連するサービスを提供するという理解のもとで定義される仕様だと考えている。例えば、MicroProfile Configuration 1.0は、アプリケーションの構成が外部に取り出され、基盤となるコンテナプラットフォームに統合されるという想定で定義される仕様だ」
MicroProfile Fault Tolerance 1.0は、回路遮断を基盤となるサービスメッシュ(Istioなど)によって提供されるサービスにできるという理解のもとで定義される仕様だ。この仕様は、2つの間のクリーンな統合を実現し、幅広い使用に対処するために構築されている。
多くの点で、このような機能強化によって、多くのエンタープライズアーキテクトがデジタル変革戦略にJavaを用いるようになるだろう。Oracleのリーマン氏は次のように述べる。「Javaは、約1200万人の開発者、クラウドに導入される210億以上のJVMで利用されていることから、インターネットで非常に人気のある言語であり続けるだろう。Javaを利用する開発者の多くが豊富なスキルセットを有している。さまざまな点で、Javaはマイクロサービスを構築し、デジタル変革を促進する強力な言語になる」
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