単なるものづくりから「Tire as a Service」にかじを切ったブリヂストン。タイヤのトップブランドとして知られる同社のデジタル変革にかける「本気」をレポートする。
市場環境の変化は、あらゆる企業にデジタル化によるビジネスモデルやビジネスプロセス変革を加速させる取り組みを迫っている。タイヤで培った高い技術力を核に、さまざまな事業分野でグローバル展開するブリヂストンは、デジタル化による変革にいち早く着手した1社だ。
SAS Institute Japanが2017年5月23日に開催した「SAS FORUM JAPAN 2017」において、ブリヂストン 執行役員チーフデジタルオフィサー兼デジタルソリューションセンター担当の三枝幸夫氏は「ソリューションビジネスを加速する、ブリヂストンのデジタルトランスフォーメーション」と題した特別講演に登壇し、同社が進めるデジタル変革の取り組み内容について、その詳細を語った。
ブリヂストンはグローバルのタイヤ市場において売上高ベースでトップシェアを維持してきたメーカーだ(注1)。市場規模が拡大するのと同時に新興国のタイヤメーカーが存在感を強める中、軽量化や低燃費化などの高付加価値化を進めてきた。
従来の製造販売型のビジネスモデルに安住していたのでは、成長に限界がある。そうした危機感から「お客さまの困りごとを解決するソリューション事業者になるべく、デジタル変革への取り組みを開始した」と三枝氏は述べる。
※注1: 出典:Tire Business「Global Tire Company Rankings」
もちろん、これまで通り顧客にタイヤを提供することには変わりがない。重要なのはその先だ。使用中のタイヤの管理と、すり減った場合の交換、あるいはリトレッドタイヤ(注2)に再生するといったタイヤライフサイクル全般をサポートするサービスを提供し、そこで利益を生むのだ。顧客はメンテナンスの心配をしなくて済み、すり減ったタイヤは再生されるので環境にも優しい。
※注2:1次寿命が終了したタイヤのトレッドゴム(路面と接する部分のゴム)の表面を削って、その上に新しいゴムを張り付けトレッドパターン(溝)を形成して再利用するもの。
このようなサービスを提供するには、顧客がどんなタイヤの使い方をしているのかを理解しなければならない。やらなければならないことは認識できたものの、創業80年以上の老舗ともなると、人や組織、プロセスが分断されてしまっている問題が少なからず出てくる。取り組みが始まる当初の社内について三枝氏は「綱渡りでバリューチェーンを運営している状態だった」と振り返る。
分断を放置したままでサービスを提供しても、部門連携のためのコスト負担がサービスの収益性を圧迫してしまう。ビジネスモデルの変革だけでなく、バリューチェーン全体の効率を高めるにもデジタル変革は必須だった。
ブリヂストンのコアコンピタンスは、高分子複合体の素材技術、加工技術、製品化技術および製品を使ったサービスモデルにある。このコアコンピタンスを圧倒的なスピードと精度で提供し、戦略実行に生かす。これを実行するために、同社のデジタル変革は「Digital for Bridgestone」「Digital for Customers」「Industry Level Ecosystem」の3つの領域に及ぶ。
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