IoT(モノのインターネット)がストレージに与える影響について、1つはっきりしていることがある。1つの方法だけでモノが生成するデータに対応することはできない。何よりも、データを生成する機器やデータの種類はあまりに多岐にわたる。(続きはページの末尾にあります)
「プライベート5G」と「Wi-Fi 6E」は、どちらもIoTの可能性を広げるネットワークとして期待されている。企業はIoTを利用する際に、どちらのネットワークを使えばいいのか。
センサーなどのIoTデバイスを接続する無線通信に使われる技術や規格として「LoRa」や「LoRaWAN」がある。両者はどう異なり、どのように使われているのだろうか。
IoTプラットフォームは包括的な機能を持つものや特定の機能に特化したものなど、さまざまな製品がある。導入を検討する際にどのように製品を評価すべきかについて説明する。
企業が自社のIoTデバイスを効率的に管理/監視できるようにする手段として、Microsoftが提供しているサービス群が「Azure IoT」だ。「Azure IoT Hub」「Azure IoT Edge」など4種のAzure IoTサービスを紹介する。
もう1つ明らかなこととして、大量のデータはさらに増大する。データセンターをそれに対応させる必要がある。クラウドストレージは1つの解決策になるかもしれないが、唯一の解決策ではない。セキュリティはIoTが投げ掛ける多くの課題の1つにすぎない。
IoTプロジェクトのためのストレージを計画する場合、最初の仕事はそのプロジェクトで生成されるデータの種類を特定することだ。IoTデータは究極的には2種類に大別できる。1つは防犯カメラが生成するような、大型のオーディオビジュアルファイル。もう1つは環境センサーのような機器が生成する小型のログファイルだ。
それぞれのデータタイプの入出力プロファイルは、読み込みと書き込みに関連する限り、あまりに違いが大きく、もし生成されるデータにこの両方のタイプが含まれるのであれば、1つで全てに対応させるIoTストレージアーキテクチャの設計は現実的ではない。
IoTの多様性を表す実例を見つけるのは難しいことではない。その筆頭に挙げられるスマートシティーは、環境モニター、ビデオ監視、交通管理などの幅広い機能を網羅する。例えばミルトン・キーンズではスマートドローンなどのアプリケーションを取り入れ、ドライバーのいない車の実験を行っている。
他にもEricssonのMaritime ICT Cloudは、IoTが生成するデータを使って運輸企業のために交通、貨物、港湾、天気、安全に関する情報を手作業で更新するプロセスを自動化している。ICT Cloudは海上の船舶を、陸上の業務やメンテナンスサービス事業者、顧客サポートセンター、輸送パートナー、港湾運営当局と結び付ける。
一方、ドイツの自動車メーカーDaimlerは、IoTデータを使って移動中の車の安全手順を自動化している。例えばDaimlerのトラックには近接コントロール、のろのろ運転支援、非常ブレーキ支援、車線逸脱防止支援、他の車両との安全な距離を保つ助けになる3Dマップが搭載されている。同社はまた、ドライバーの反応時間向上を支援するためのステレオカメラとレーダーセンサーを開発した。
モノのインターネットはデータセンターとストレージの設計に複数の面で影響を及ぼす。まず第1に、データを機器から引き出すことが不可欠になる。大抵の機器は小型の内蔵ストレージがあり、そこからセキュアなバックアップストレージシステムへデータを移動させる。
このデータは特有であるだけでなく、非常に貴重な場合もある。こうしたデータには、例えば企業によるコスト追跡を可能にする環境データや、北極探検隊からのサンプルデータなどが含まれる。
センサーなどの機器からのデータは、大量の小型データで構成され、高いレベルの入出力を必要とする。
こうしたリアルタイムデータの大部分はデータベースに保存され、正確な分析のためには正しい順序で処理しなければならない。例えば気温の上昇は、データポイントが届く順序が間違っていれば、コンポーネントウェアのような他のデータと正確に関連付けることができない。
そのためには非常に高速なストレージが求められる。特に、できる限りリアルタイムかそれに近い速度で処理する必要がある場合、SSDが必須になる。いずれはそうした高速ストレージに対する需要がかき立てられる見通しで、フラッシュ代替技術が多数のメーカーによって開発されている。例えば消費電力の削減をうたうSamsung Electronicsのマルチストリームコントローラー技術や、Intelの「3D XPoint」、さらには磁気抵抗メモリ(MRAM)などがある。
一方、大型データオブジェクトの場合、連続的な転送が要求されることから、この種のデータの管理、保存、取得にはオブジェクトストレージが最善の手段になる。
そこで最大級の課題となるのは必要とされるストレージ容量の増大だ。これは設備投資の増大や、社内データセンターやクラウド事業者のコスト抑制に対するプレッシャーの増大につながり、ITチームによるストレージ管理の強化が必要になる。
企業はクラウドベースのストレージ利用を決断するかもしれない。その場合、データ分析の大部分もクラウドで行われる。
企業や家庭の機器の数が数十億単位に増えれば、それを支えるインフラにも変化が求められる。分散された大量の機器が発生させる大量のトランザクションは、多くのデータセンターシステムを限界へと追い込む。
トラフィックの大部分は現場から届く生データで、入ってくるものが大半を占める。処理はデータセンターで行われるかもしれないが、距離によるレイテンシを避けるため、ローカルでダウンロードして処理する公算が大きい。
リアルタイム分析に役立てるため、IoTデータはサーバとストレージ間の低レイテンシが求められる。従って、こうした機能はさらに接近させる必要が生じ、場合によってはハイパースケールおよびハイパーコンバージドインフラのように、ほぼ融合する。
クラウドを使う場合、サービス品質保証契約(SLA)の中に、ストレージと処理機能の間のレイテンシなどの基準が盛り込まれているかどうか確認することが重要だ。また、低レイテンシが不可欠であることから、小規模なデータセンターがデータに近い場所に建設されるようになるだろう。分析結果は中核施設へ転送する必要があるが、データ自体にその必要はない。これは、広域ネットワーク(WAN)の帯域幅ニーズにも影響を及ぼす。
データセンターへのデータの流れも増大することから、データセンターのエンドポイント端末も変更する必要があるかもしれない。これまでのデータセンターは一般的に、消費のためのデータを生成する存在だった。未熟な技術が進化する中で、データの量や種類が変動し、データセンターは柔軟性を維持して、必要に応じて拡張や縮小ができることが求められる。
セキュリティも引き続き重要だ。センサーはセキュリティに不備があることも多いため、企業はデータセンターやクラウドプロバイダーが提供するセキュリティを当てにする。他にも、機器の多様性と数はセキュリティ上の課題を生じさせ、そうした機器間の相互関係のために一層複雑さが増す。
ほとんどのシステムは人が関与するデータの流れを処理することを想定しているのに対し、IoTのマシン対マシンの通信では、機器に対していつ、何をすべきか指示できることを目指してきた。これは未来の処理システムやストレージシステムの設計者が、データの流れを安定させる助けになる。
それでもIoTはデータセンター全般、特にストレージに根本から影響を及ぼす。高速、低レイテンシ、大容量は高くつく公算が大きい。今こそ計画を立て始めるべき時だ。