導入事例:「パブリッククラウド」活用法をユーザーに聞く

ユーザー企業のIT担当者を対象に、IT製品/サービスの導入・購買に役立つ情報を提供する無料の会員制メディア「TechTargetジャパン」。このコンテンツでは、パブリッククラウドに関する事例の記事を紹介します。製品/サービス選定の参考にご覧ください(リンク先のページはPR記事を含みます)。

パブリッククラウドとは何か? その仕組みや移行方法は

 パブリッククラウドは、ユーザー企業が遠隔地からインターネットを通して、必要な分だけリソースを利用可能にするクラウドサービスを指す。利用可能なリソースには、仮想マシンやストレージなどが挙げられる。(続きはページの末尾にあります)

パブリッククラウド関連の事例

VMwareからNutanixに移行 “コストだけではない”その切実な事情

既存の仮想化インフラの将来に不安を感じた企業の間で注目が集まっている製品の一つが、Nutanixの仮想化ソフトウェアだ。Broadcomによる買収を機に移行を決断した企業の事例を紹介する。

(2025/7/9)

欧州の“お堅い銀行”が相次いで「Google Cloud」を導入する理由とは

欧州の金融機関が「Google Cloud」を採用する動きが広がっている。銀行はクラウドサービスを使って何を目指すのか。

(2025/6/17)

局地戦でAWSに勝利したMicrosoftとGoogleだが……

MicrosoftとGoogleがAWSから顧客を奪うことに成功した。AWSに対する小売業界の懸念と合わせるとAWSが劣勢に立たされているように見える。だが果たしてそれだけだろうか?

(2019/3/22)

クラウド信奉者も思い込んでいる“クラウドの目的はコスト削減”というウソ

「クラウドに移行すれば経費の削減につながる」と考えている企業は少なくない。しかし、その考えは危険だ。本稿では、その理由を紹介する。

(2016/5/10)

SOX法初年度の費用、予想を大きく下回る

中小規模の公開企業が初年度に支払ったSOX法コンプライアンス費用は、SECなどの予想を大きく下回るという調査結果が発表された。

(2008/2/12)

パブリッククラウドの定義や仕組みを解説

 パブリッククラウドには、データベースやファイアウォール、ロードバランサー、ミドルウェア、アプリケーションなどとして提供されるクラウドサービスが含まれる。ユーザー企業は複数のクラウドサービスを組み合わせて、業務システムを構築できる。大抵のパブリッククラウドは月額制や、利用した量だけ支払う従量課金制の料金モデルを採用している。

 パブリッククラウドの主なメリットは以下の通りだ。

  • オンプレミスインフラに投資をして、維持する必要性が減少する。
  • 作業量やエンドユーザーの需要に合わせてリソースを迅速に拡張したり縮小したりできる。
  • 必要な分だけのリソースを使用するので、資源や電力の無駄な消費を抑制できる。

パブリッククラウドの仕組み

 パブリッククラウドは、オンプレミスのデータセンターに代わるインフラの構築手段になる。パブリッククラウドでは基本的に、クラウドベンダーがITインフラを構築し、インターネットまたは専用線を通してユーザー企業に提供する。パブリッククラウドは、しばしば「ユーティリティーコンピューティング」と呼ばれることがある。ユーティリティーコンピューティングとは、水道、ガス、電気通信などの公共料金(ユーティリティー)と同様に、リソースやアプリケーションを利用したい量だけ料金を支払って利用できる形態を指す。

 クラウドベンダーは、アプリケーションの構築と実行に必要なインフラを提供するだけでなく、セキュリティ対策ツールや監視ツールなど、ユーザー企業がアプリケーションを運用するためのツールも提供している。

 主要なパブリッククラウドには「Amazon Web Services」(AWS)や「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」などがある。それよりも小規模なニッチクラウドもある。大手クラウドベンダーは、さまざまなクラウドサービスを提供しており、ユーザー企業はそれを幅広い用途の業務システム構築に利用できる。ニッチクラウドのベンダーは、特定の用途に特化したサービスを提供する傾向にある。

クラウド移行のこつ

 ユーザー企業がオンプレミスインフラからパブリッククラウドに移行する理由は幾つか挙げられる。例えば新しいアプリケーションを構築する際に、既存のデータセンターでは実現できないインフラの要件を満たすために、パブリッククラウドを採用することがある。コスト削減やデータ処理の高速化、インフラのメンテナンス作業の負荷軽減、冗長性の確保などのためにパブリッククラウドを利用する場合もある。

 利用するクラウドサービスを決めたら、次はデータとアプリケーションをクラウドサービスに移行するための方法を決める必要がある。データをオフラインで移行する場合は、データを保存して持ち運び可能なハードウェアに自社のデータをコピーして、そのハードウェアをクラウドベンダーのデータセンターまで運ぶ。オンラインでデータを移行する場合は、インターネットまたはクラウドベンダーが提供するプライベートネットワークサービスを通して、データを転送する。

 転送するデータ量が多くなるほど、時間とコストが掛かる。一般的にはオフライン移行の方が高速で低コストだ。オンライン移行は、移行するデータ量がそれほど多くない場合に適している。

 アプリケーションをクラウドサービスに移行する方法も幾つかある。リフト&シフト方式は、アプリケーションのソースコードを再設計することなく、そのままクラウドサービスのインフラに移行する手法だ。リフト&シフトの注意点は、アプリケーションが移行後に正常に動作しない場合があることや、オンプレミスインフラを利用していたときよりもコストが増大する可能性があることだ。

 こうした問題が起こることを防ぐために、移行前にアプリケーションのソースコードをクラウドサービスに適した形式に再構築するリファクタリングという手法を採用することができる。リファクタリングはリフト&シフトよりも多くの移行期間を必要とする傾向にある半面、クラウド移行後のアプリケーションの運用コストを抑えたり、処理速度を向上させたりする効果が見込める。他の移行方法として、古いアプリケーションを廃止し、クラウドサービスに適したアプリケーションを一から構築する方法もある。

 クラウドベンダーは、クラウド移行を支援するためのツールを用意している。サードパーティー製の移行ツールを利用することも可能だ。

パブリッククラウドの構造

 パブリッククラウドで利用できるリソースは、基本的には仮想化されている。データの送受信には、インターネットや専用線を利用する。パブリッククラウドでは、複数のユーザー企業がインフラを共有して、それぞれのアプリケーションを実行する。こうした設計の仕組みをマルチテナントと呼ぶ。データとアプリケーションはテナントごとに論理的に分離されるため、他のテナントのデータやリソースを利用したり閲覧したりすることはできない。

 クラウドベンダーは、パブリッククラウドを運用するために複数のデータセンターを運営していることが一般的だ。同一の地域にあるデータセンター群を「リージョン」と呼び、リージョン内に存在するさらに小さいデータセンターの単位をアベイラビリティゾーン(AZ)と呼ぶ。リージョンやAZは一般的に、可用性を確保するために2つ以上の物理データセンターで構成されている。

 ユーザー企業は、自社のセキュリティ要件やエンドユーザーへの物理的な近さに基づいてリージョンとアベイラビリティゾーンを選択する。アプリケーションを実行するためのインフラに複数のリージョンとアベイラビリティゾーンを利用することで、冗長性を確保し、システム停止のリスクを抑えることができる。