クラウドはあくまでも手段
クラウド信奉者も思い込んでいる“クラウドの目的はコスト削減”というウソ
「クラウドに移行すれば経費の削減につながる」と考えている企業は少なくない。しかし、その考えは危険だ。本稿では、その理由を紹介する。
オーストラリアのシドニーで5月に開催予定のGartner Researchのカンファレンスに先立ち、オーストラリア在住のGartnerの調査ディレクター、マイケル・ウォリロー氏がクラウドのビジネスについて述べたことは、多くの議論を呼ぶことになりそうだ。「企業はクラウドに熱狂し過ぎ」という同氏の発言はオーストラリアを念頭に置いたものだが、この見方は同地域に限ったことではなく、全世界の状況に当てはまるといえるだろう。
「クラウドは経費の削減につながるといった危険な考え方をしている企業があるが、これは必ずしも事実ではない。クラウドによって得られるのは、企業が求める俊敏性、そして初期投資と運用コストの柔軟な組み合わせだ」とウォリロー氏は語った。
もちろん同氏の考えは正しい。ただ私の考えと異なる部分もある。企業は「熱狂し過ぎ」ではなく、「間違った理由で熱狂している」というのが私の見方だ。
企業が経費の削減を目指しているのであれば、IT環境全体をクラウドに移行するよりもはるかに簡単な方法がある。例えば私なら下記のように出力環境を見直すことから始めるだろう。
- 「多数のプリンタを整理して1台の部門用プリンタに置き換える」
- 「重複印刷をやめて、紙の消費を半分にする」
- 「維持管理を印刷サービスプロバイダーに委託する」
- 「ジャストインタイム方式でトナーカートリッジを自動補給し、カートリッジを備蓄しない」
こうした対策に加えてイメージング技術を活用すれば、印刷そのものがほとんど不要になり、大幅な経費節減を実現できる。これは比較的容易に実行できる対策だ。
クラウドは目的達成の手段であり、それ自体がビジネス戦略ではない
私は「クラウドに移行する最大の目的はコストの削減である」という考え方には同意しかねる。クラウドは目的達成の手段であり、それ自体がビジネス戦略ではないからだ。クラウドを利用するのは、多くのサービスと正確な情報を顧客と従業員に素早く提供できることにある。これは、売り上げの増加と、収益の拡大につながる。
この記事を読んでいる人は恐らく、クラウドで収入を得ているだろう。クラウド技術およびクラウド業界がITを根底から揺さぶり、全世界で多くの企業のビジネス方法を変えたのは確かだ。クラウドの魅力は議論の余地がなく、
- より多くのサービス
- 優れたセキュリティ
- ますます強力になる開発ツール
- リソースの迅速な活用
- 大幅な低価格化
など、数々のメリットを提供する。クラウドの誘惑にはあらがいにくい。
数年前であれば、ビジネスにどういった影響を与え、ビジネスにとってどれほど重要であるかにかかわらず、クラウドに容易に移行できるアプリケーションであれば良しとされた。だが今はそんな時代ではない。クラウドの成熟化に伴い、今日では、ビジネスに役立つアプリケーションが重視されるようになったのだ。
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