標的型攻撃は、特定の企業や組織、業界を標的にして機密情報を狙うサイバー攻撃を指す。企業ネットワークにアクセスできるようになった攻撃者が長期間にわたって標的型攻撃を実施することを、APT攻撃(高度標的型攻撃)と呼ぶ。(続きはページの末尾にあります)
サイバー攻撃が巧妙化する中、限られたIT人材で数万台の端末を24時間監視することは不可能に近い。脅威の処理という難題に直面したテネシー大学システムは、どのような手段でこの危機を脱したのか。
英国で4700万ポンドの公金がだまし取られた。その手口はよくあるフィッシング攻撃だったという。政府機関のセキュリティ対策や事後対処に問題はなかったのか。事件から学ぶべきセキュリティの鉄則を考える。
英国マンチェスター大学がランサムウェア攻撃による被害を受けた。大学の学生と職員に宛てたメールで、攻撃集団はどのような何を述べたのか。盗まれたデータの詳細とともに整理する。
件名も本文も自然な日本語で書かれた「AI産メール」による攻撃を防げず、ランサムウェアに侵入されるケースが増えている。パターンマッチング型やサンドボックス型などの従来の対策が限界を迎える中、偽装判定を容易にする方法が登場した。
バックアップがあるのに復旧できない。ランサムウェア被害の現場でこうした事態が広がっている。その背景にあるのが、攻撃者が復旧の前提の「Active Directory」「Microsoft Entra ID」を狙う現実だ。既存対策の落とし穴を整理する。
生成AIは攻撃者の新たな武器になったが、強力な防御手段としても利用できる。サイバー攻撃が大規模化、巧妙化する中、限られた人材と予算で「サイバーレジリエンス」をどう強化すべきなのか。専門家が語った具体策とは。
AIはサイバー攻撃を劇的に加速させる一方で、防御側にとっても革命的な武器となる。Anthropicの「Claude Mythos」が27年前のバグを瞬時に発見したように、人間をしのぐ速度の脅威が現実となった今、従来の「禁止」や「点の対策」は通用しない。
AIモデルを意図的にだまして誤作動や情報漏えいを引き起こす巧妙なサイバー攻撃が後を絶たない。7万台のサーバを管理してきたインフラセキュリティの専門家が提唱する、AIインフラを防衛する3つの手法とは。
2025年の国内ランサムウェア被害は増加の一途をたどり、人手不足に悩む中小企業や製造業が損害を受けている。攻撃グループ「Qilin」の手口とは。業務の完全停止を防ぐための具体的な検出方法と併せて解説する。
従業員の個人的なAIツール利用「シャドーAI」がまん延し、深刻な情報漏えいを引き起こし始めている。一見正常な通信に紛れ込む未承認ツールの不審な挙動を示す、5つのサインとはどのようなものか。
企業はAI技術を悪用したサイバー攻撃に危機感を募らせているものの、従業員が実際の脅威に対処できると考えるリーダーは4割に過ぎない。Fortinetの調査が浮き彫りにした、致命的なギャップの正体とは。
英国家サイバーセキュリティセンターなどは、中国系ハッカー集団が脆弱なIoT機器を大規模に悪用していると警告した。企業が取るべき対策は。
イラン革命防衛隊は、米国の主要テック企業18社を「正当な攻撃標的」に指定したと発表した。自治体や企業を狙うサイバー攻撃も活発化している。国家と犯罪組織が連携する動きも確認され、影響の拡大が懸念される。
フォーティネットジャパンは、国内のセキュリティ担当者551人を対象に、セキュリティ運用の自動化について尋ねた調査結果を発表した。
情報を盗む立場にある攻撃集団「LockBit」が、逆に情報を盗まれる被害に遭った。改ざんされたLockBitのシステムから漏えいした情報は、同集団の攻撃の実態や活動での苦労を物語っている。その内容は。
APT攻撃の主な目的は、標的の組織のネットワークに損害を与えたりシステムを停止させたりすることではなく、機密性の高いデータを盗むことだ。標的となるネットワークに侵入できる状態にして、継続的に情報を盗み取る。
攻撃者は綿密な計画を立てて、手動でAPT攻撃を実行される。攻撃者は大企業や有名企業の中から標的を選び、長期にわたって情報を盗み出す。そのためAPT攻撃の実行犯は個人のハッカーではなく、資金力のあるサイバー犯罪組織や、国家主導のサイバー犯罪組織になるのが一般的だ。
標的にした企業ネットワークへのアクセスを得るために、標的型攻撃の実行犯はしばしばソーシャルエンジニアリングといったさまざまな攻撃手法を使用する。ソーシャルエンジニアリングは、対象者の心理を巧みに操って意図通りの行動をさせる詐欺手法だ。
いったん企業ネットワークに侵入した攻撃者は、標的ネットワークにアクセス可能な状態を維持するために、悪意のあるソースコードを継続的に書き換え、検出を回避するなどの巧妙な回避策を駆使する。APT攻撃を実行するサイバー犯罪組織は、標的となるシステムやソフトウェアに侵入し続けるために、専任の管理者を配置する場合がある。
APT攻撃でよく使われる手口には、以下のようなものがある。
特定のユーザーを標的にしたフィッシング詐欺をスピアフィッシングと呼ぶ。攻撃者はスピアフィッシングメールを使用して、標的のユーザーに個人情報を漏えいさせたり、悪意のあるコードを実行するための有害なリンクをクリックさせたりする。これらのメールは本物らしく見えるように書かれており、標的のユーザーに合わせた内容になっている。
最近発見されたもののまだパッチが適用されていないソフトウェアやハードウェアのゼロデイ脆弱(ぜいじゃく)性を利用した攻撃をゼロデイ攻撃という。攻撃者はゼロデイ脆弱性を悪用することで、標的にしたシステムに不正アクセスができるようになる。
水飲み場型攻撃は、標的のユーザーがよく利用するWebサイトを改ざんし、ユーザーの端末をマルウェアに感染させる攻撃を指す。
サプライチェーン攻撃は、標的となる組織と取引する、セキュリティレベルの低い関連企業や子会社を標的にする。標的となる組織の関連会社のネットワークに侵入した攻撃者は、そのネットワークを経由して標的となる組織のシステムに侵入する。
標的となるシステムにログインするための認証情報を入手するために、攻撃者はさまざまな手法を利用する。具体的にはユーザーのキーボードでの入力内容を不正に監視するキーロギングや、データ分析技術でパスワードを特定するパスワードクラッキング、フィッシングなどの手法が挙げられる。攻撃者はこうして盗み取ったIDやパスワードといった認証情報を使い、機密情報にアクセスする。
サイバー攻撃を制御するC&Cサーバは、侵害した企業ネットワークに継続的にコマンドを送信する。これにより攻撃者は侵害されたネットワークを制御し、ハッキングされたシステムからデータを流出させることができる。
組織のセキュリティ対策システムに発見されるのを避けるため、APT攻撃者はしばしば、実際に組織で使われているツールや難読化されたコード、解析防止策を使用して、その活動を隠す。
標的型攻撃やAPT攻撃の動機はさまざまだ。例えば国家をスポンサーとする攻撃者は、特定の産業で競争の優位性を得るために、知的財産(IP)や機密データを盗み取る。電力会社や通信会社といったインフラ会社、ソーシャルメディア、報道機関、金融機関、政府機関などが狙われる傾向にある。
APT攻撃の有無は特定が難しい。しかしセキュリティツールを利用すれば、データが盗難に遭うことは検知できる。組織からデータが流出することが、自組織のネットワークが攻撃を受けていることを知る唯一の手掛かりになる場合がある。ネットワークがAPT攻撃の標的になっていないかどうかを確認するにはまず、送信データの異常を検出することに重点を置くとよい。
APTを回避したり軽減したりするには、セキュリティチームは包括的なセキュリティ戦略を策定する必要がある。APTに対する主なセキュリティ対策には、以下のようなものがある。
自組織で利用するインフラの脆弱性にできるだけ早くパッチを当てることは、攻撃者が既知の弱点を悪用してゼロデイ攻撃を実行するのを防ぐのに役立つ。
従業員が社外から社内システムにリモートアクセスする際は、暗号化を使って通信を保護する。攻撃者がこれらの通信を悪用するのを阻止して、社内システムへの不正アクセスを防ぐ。
受信メールのフィルタリングは、スパムメールやフィッシング攻撃を防ぐ重要なステップとなる。
セキュリティインシデントが発生したらすぐにログを取ることで、取得したログを基にセキュリティポリシーを改善できる。
企業はバックドアの設置や機密データの外部への持ち出しを抑止するために、ネットワークで送受信されるデータの種類を監視する必要がある。
ネットワークのエンドポイントやエッジにWAFを導入して、自組織が運用するWebサーバやWebアプリケーションを侵入から守る。
企業のIT部門は、進化する巧妙なサイバー脅威からデータとネットワークを守るために、常に警戒を怠ってはならない。