シックスシグマの原則は、どんなプロセスを改善するためであれ、まずはシンプルな基準あるいはベンチマークの定義から始める、というものだ。ここでは、シックスシグマの基本原則を使ってITパフォーマンスを改善するための方法を紹介しよう。
われわれ人間には、本来シンプルなコンセプトをわざわざ複雑にしてしまう、驚くべき才能がある。例えば、シックスシグマの根底にある原則も、また然りだ。シックスシグマとは、企業の製造プロセスを通じて製品の品質を改善するための業務改革の方法論だ。われわれはまず、シックスシグマの包括的なツールセットを作成した。そして、こうしたツールを学習し、習得した人たちを区別するため、シックスシグマのグリーンベルトやブラックベルトなどのランクを定めた(おそらく、紫色のベルトとかでもよかったのだろう)。こうしたシックスシグマのベルト保持者は、フィッシュボーンダイアグラム(特性要因図)を作成したり、カイ2乗を実行したり、ほかにもいろいろなことを実行できる。
こうした過程で、われわれはシックスシグマの根底にある強力な原則を見失ったのではないかと私は懸念している。その原則とは、どんなプロセスを改善するためであれ、まずはシンプルな基準あるいはベンチマークの定義から始める、というものだ。そして、標準からのばらつきを測定し、ばらつきの原因を調査する。そして、その結果分かったことをプロセスの改善に役立てる。シックスシグマの基本原則を使えば、ビジネスプロセスとITプロセスの両方を大幅に改善できると私は考えている。以下では、シックスシグマの基本原則を使ってITパフォーマンスを改善するための方法を紹介しよう。
例を挙げてみよう。あるプロジェクトにかかる予想時間が12週間だとする。そのため、基準のタイムフレームは12週間となるが、実際には、そのプロジェクトの完了には15週間かかったとする。そこで、われわれは考える。「何がこの差異(ばらつき)を引き起こしたのか? プロジェクトの範囲が変わったのか? リソースは、必要なときにきちんと入手できていたか? 一部のリソースに過度な負担がかかることはなかったか?」 ばらつきの原因をいったん特定できれば、そうした教訓を今後のプロジェクトに応用できる。そのうちに、徐々にばらつきを減らし、プロジェクトのパフォーマンスを改善できるようになるはずだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
2025年の「IT導入補助金」で中堅・中小が導入すべき2つのツール (2025/3/31)
申請業務のシステム化が難しい理由とその解決策とは (2024/9/27)
運用・管理はお任せ 生成AIを安全に活用できるRPAプラットフォーム (2024/5/16)
オンライン研修で情報処理安全確保支援士の取得と維持を支援 (2024/2/1)
セキュリティ対策にDX 情シスが「やりたくてもできない」状況から脱するには? (2024/1/29)
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...