計画を失敗するということは、失敗を計画するということColumn

コンサルタント歴30年の筆者によると、昔から変わらないプロジェクト失敗の要因が幾つかあるという。

2006年07月28日 08時00分 公開
[Gopal K. Kapur,TechTarget]

 毎日目覚めると同じ日、という映画があったが、プロジェクトの失敗もそれと似た感じではないだろか?

 私は1975年にコンサルタント業を開始したが、開業当初、私に課せられた任務の大半は、十分に計画を練らないまま最新技術に移行したり、ベンダーが提案するコスト削減の見通しをうのみにしたり、経営陣の中途半端なアイデアに乗ったりといったことが原因で生じた各種の問題の解決に関するものだった。それから30年以上がたった現在も、プロジェクトの失敗を決定付けてしまうような同様のミスに遭遇することがある。ここでは、その例を幾つか紹介しよう。

計画が不十分なアップグレード

 あるオフィス製品ベンダーの販売担当者は、新しいコピー/FAX/スキャン技術の導入を伴うプロジェクトを、ある企業のCFOに提案した。販売担当者は、このアップグレードによって印刷コストを3800万ドル節約できるはずだと主張した。このベンダーのコストモデルでは、アップグレードにより、1コピー当たり4.7セントという現行のコストを2.8セントにまで下げられる計算だった。CFOは当然ながら喜んだ。だが、その後、IT部門のプロジェクトマネジャーが独自にコスト調査を行ったところ、現行の1コピー当たりのコストは1.9セントで、新しい機器を導入した場合の1コピー当たりのコストは3.1セントになるとの結果が判明したという。つまり、このプロジェクトを進めれば、何百万ドルのコスト削減どころか、余分に1800万ドルものコストが掛かってしまうということだ。

 プロジェクトマネジャーはさらに、新しい機器がセキュリティの問題ももたらすことに気付いた。新しいマシンには着脱式ディスクドライブが採用されているため、保守スタッフが社内データに加えて、そうしたドライブにもアクセスすることになるからだ。この会社は賢明にも、このプロジェクトを中止した。一方で、プロジェクトのキャンセルを知った現行の機器サプライヤーは、それまでの価格モデルでの契約更新交渉にあまり協力的でなくなり、最終的には、600万ドルの値上げという結果に終わった。

ライバルとの競争に我を忘れる

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