Column
BIプロジェクトを失敗に追い込む7つの致命的問題
ビジネスインテリジェンス(BI)プロジェクトの成功を目指している企業は、慎重に事を進める必要があるようだ。さもないと、外から見えない問題で、後に悩まされることになる。
先ごろ開催された2006 Gartner BI Summitでは、BIの導入に失敗して抜き差しならぬ状況に陥った企業の事例が紹介された。
米調査会社ガートナーの調査担当副社長、テッド・フリードマン氏は、このサミットで、企業が避けなければならない7つの致命的な問題──「導入にまつわる誤解」「文化的障害」「データ品質の問題」「既存ベンダーへの依存」「進化プロセス」「過度のアウトソーシング」「ダッシュボード信仰」について述べた。BIの導入に失敗した企業の間で共通する問題を選び出したという。
ビジネスインテリジェンス(BI)プロジェクトの成功を目指している企業は、慎重に事を進める必要があるようだ。
先ごろ開催された2006 Gartner BI Summitでは、BIの導入に失敗して抜き差しならぬ状況に陥った企業の事例が紹介された。
米調査会社ガートナーの調査担当副社長、テッド・フリードマン氏は、「外から見えない問題で後から悩まされる」と話す。
「The Five Fatal Flaws of Business Intelligence」(ビジネスインテリジェンスをめぐる5つの致命的問題)と題されたプレゼンテーションで、フリードマン氏と同僚のビル・ホストマン氏は、企業が避けなければならない(5つではなく)7つの致命的な問題について述べた。両氏によると、BIの導入に失敗した企業の間で共通する問題を選び出したという。
1.導入にまつわる誤解
ホストマン氏によると、「導入すれば、成果が得られる」というのがBIプロジェクトにまつわる一般的な誤解だという。ビジネス、ユーザー、トレーニングにかかわる要件について考慮しなくとも、BIシステムを構築すれば、その価値は明らかになるので、ユーザーは積極的にそのシステムを学び、利用するようになるはずだ、と考えている企業もある。「それは間違いだ」とホストマン氏は言う。
「ユーザーの数がプロジェクトにかかった年数よりも少なければ問題だ」と同氏は冗談めかして話す。
すなわち、BIプロジェクトに4~5年掛かったのに、4~5人のパワーユーザーしかBIシステムを使っていないのであれば、そのプロジェクトは失敗だということである。これは極端な例だが、ホストマン氏によると、全社的な協力体制の欠如、経営陣のサポートが一貫していない、インプリメンテーションの問題といった理由のせいで、ユーザーの間で利用が進まないという企業は少なくないという。
こういった致命的問題を避けるためには、導入にかかわる要件を注意深く検討し、BIとビジネス問題を戦略的に連携させることによって、BIに対して確固たるビジネスケースを作成する作業からスタートする必要がある。「『一般』ユーザーにとって魅力あるシステムをデザインすべきであり、その後でパワーユーザーのために機能を拡張すればよい」とホストマン氏はアドバイスする。BIシステムのRACT(Relevant/Accurate/Consistent/Timely:ユーザーにとっての重要性/正確性/整合性/適時性)をテストするのも効果的だという。
2.文化的障害
ホストマン氏によると、社内には、必ずしも「唯一の真実」を求めていない人もいるという。そうした人々にとって、経営会議では一般的な前提の上に立って「数字をもてあそぶ」方が楽なのだ。「BIシステムの導入に際しては、企業文化という障害が立ちはだかるのが常だ」と同氏は指摘する。この問題を軽視してはならない。BIプロジェクトがビジネスのポジティブな変革につながるという点に関して真に全社的な理解を得ることが、プロジェクトの成功にとって不可欠なのである。
「CEO自身が唯一の真実について語るように仕向ける必要がある」(ホストマン氏)
3.データ品質の問題
「データ品質の問題はBIプロジェクトにとって大きな阻害要因であり、ユーザーの不信感を招いたり、ユーザーがシステムを利用しなくなるという状況をもたらす恐れがある」とフリードマン氏は説明する。不正確なデータは、ビジネスにも重大な悪影響を及ぼす。
「不正確なデータは必ず、間違った決定につながる」(同氏)
この問題の対策としては、データ品質ファイアウォールのようなツールや手法を導入することなども考えられるという。データ品質ファイアウォールというのは、データウェアハウスを出入りするデータの品質を測定・管理するためのツールである。BIの取り組みと連動させる形で適切なデータガバナンス/管理プランを導入することも重要だ。
4.既存ベンダーへの依存
既存のERPやCRMなどのシステムのベンダーにBIシステムの導入を任せれば楽だと考えている企業は、後でがっかりすることになるかもしれない、とフリードマン氏は話す。
「BIは1つでどんな企業のニーズにも合致するようなソリューションではない」と同氏は注意を促す。
同氏によると、企業は広範なベンダーのシステムを検討して、自社のニーズとビジネス要求に合致したBIアプリケーションを探し出さなければならない。この作業を怠って既存システムのベンダーに任せると、結局、非常に高いものにつく可能性があるという。
5.進化プロセス
「BIは活動であり、プロジェクトではない」とホストマン氏は説明する。企業はBIを「進化」プロセスとして考え、それに基づいて計画と予算を策定しなければならない。
「最初の8カ月から1年の間に、要件の50%が変化するだろう」と同氏は話す。
変化に備えること。そして、経営陣にもその点を理解してもらうことが必要だ。同氏によると、こういった不可避の変化を管理するには、柔軟なインフラが必要とされるという。
6.過度のアウトソーシング
「全部アウトソーシングすればいいのだ」と言っているような企業は、考え直す必要がある、とホストマン氏は話す。サービスプロバイダーは企業のスキル不足を補い、「再利用可能な手法」を提供することはできるが、豊富な知識を持った従業員の代わりにはならないという。
Gartner BI Summitのベストプラクティスセッションでプレゼンテーションを行った米トリニティーヘルスの意思決定支援システム担当ディレクター、ヘンリー・グルート氏も同じ考えだ。同社のBIチームは、アウトソーシングという手段を試したが、結局、プロジェクトを社内に戻すことになったという。
「われわれは社外グループを招き入れ、BI構想の開発・構築サイクル全体の管理を任せた」とグルート氏はプレゼンテーション後のインタビューで語った。
「わたしが一度ならず痛感したのは、コンサルタントたちよりもわれわれの方がビジネスのことをよく知っているということだ。ヘルスケア企業およびその技術者たちは、自分たちの知識を過小評価しているように思う。わたしがコンサルタントに期待するのは、わたしが知らないことを教えてくれることだ」(同氏)
7.ダッシュボード信仰
アナリストらがやや自嘲気味に語ったのは、Gartner BI Summitのようなイベントに参加したマネジャーたちは、「自分の会社は非常に立ち遅れており、何とかしなければならない」と、つい意気込んでしまうということだ。
「彼らは『とにかくダッシュボードを配備してくれ』と言うのだ」とホストマン氏は冗談めかして話す。
危険なのは、見栄えのするグラフィカルなダッシュボードであっても、その土台に必要なデータ連携とアーキテクチャが存在しなければ、それは欠陥のあるリポーティングツールの1つにすぎなくなるということだ。ダッシュボードが不適切に実装されたために、矛盾する数字や整合性のないデータが表示されたりすると、BIへの信頼を損なうことにもなりかねない。そうなれば長期的な取り組みにも支障を来す恐れがある。こういった事態を防ぐには、戦略的な視点に立ってBI計画を策定する必要がある。
(この記事は2006年3月9日に掲載されたものを翻訳しました。)
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