統合性か柔軟なUIか
Javaと.NETの対決──SOAにおける勢力争いの行方は?
SOA開発プラットフォームとしての利用率ではほぼ互角のJavaと.NET。今後はどう動くだろうか。
SOA(サービス指向アーキテクチャ)開発におけるJavaと.NETの勢力は伯仲しているが、この現状について、2人のアナリストが対照的な見解を示している。
2007年8月に発表されたEvans Dataの調査は、Java陣営にとってなかなかうれしい内容だった。Webサービス開発に携わる400人の開発者とITマネジャーを対象としたこの調査によると、SOA開発のプラットフォームとしてJavaを利用する企業は半年前の前回調査時と比べて若干増加し、Microsoftの.NETを利用する企業は20%減少した。しかし、この2つの技術の利用率は「ほぼ互角」であり、回答者の5人に1人はこれらの技術を両方利用することを計画していると、Evans Dataは述べている。
この両技術の利用状況については、2人のアナリストが対照的な見解を示しているが、いずれも開発ツールは両方をサポートするものが一般的だと述べている。
「Javaと.NETの競合は、一部の人が言うほど宗教戦争のようなものではないと思う。少なくとも、バックエンドのインフラ側では」とCurrent Analysisのアプリケーションインフラ担当主席アナリスト、ブラッドリー・F・シミン氏は語る。「ほとんどのSOAサーバプラットフォームは、Java環境と.NET環境をほぼ同じようにサポートしている」
「SOA開発に利用する場合、Javaにも.NETにも利点と弱点がある」と、ZapThinkのシニアアナリスト、ジェーソン・ブルームバーグ氏は語る。同氏は、Evans Dataの調査結果は、傾向ではなく一時的な動きを示しているのではないかと指摘する。
「これらの調査データは、短期的な動向を示すものであり、長期的な傾向を表しているわけではないというのがわたしの意見だ」とブルームバーグ氏。「.NETはほかのプラットフォームとの統合性が弱く、Javaは柔軟なユーザーインタフェースの作成機能が弱い。つまり、Evans Dataの調査データは、いまだに多くの企業ではレガシー環境の異種システムを統合するサービスの開発の比重が高いことを示唆している。これは、Javaの方が強い分野だからだ」
だが、SOAの取り組みがさらに進めば、Webサービスを組み合わせてアプリケーションを構築する動きが広がり、現在の開発動向は変わるかもしれない、とブルームバーグ氏は見る。
「こうした企業がいわゆる『サービスのティッピングポイント』に達すると、サービスの利用と組み立てに比重が移るだろう。そしてこの分野では、Javaは優位ではない」とブルームバーグ氏。「そこでは、.NETやAdobe製品のほか、多種多様なUI指向やビジネスプロセス指向のツールが競合することになり、プラットフォームよりもプロセスやインタフェースに力点が置かれるようになる。そうなれば、こうした調査の結果はかなり違ってくるだろう」
一方、シミン氏は、Evans Dataの調査は長期的な傾向を反映している可能性があると見ており、Javaを使ったSOA技術の開発がオープンソースコミュニティで盛んに進められていることを引き合いに出している。このことは、Evans Dataのジョン・アンドリュースCEOも調査の発表時に指摘していた。
「企業がアーキテクチャを決定する主な基準は2つある」とシミン氏。同氏によると、第1に、企業は開発者の生産性向上などの形で、最も高い投資効果を得られる技術や製品を選択する。第2に、企業は長期的な有効性を求めているという。
「SpringフレームワークやEnterprise JavaBeans(EJB)のようなJavaベースのSOA技術が、最初の基準にかなっているのは確かだ。開発作業を大幅に簡素化し、開発の制約を軽減するからだ」とシミン氏。「2番目の基準について言えば、Eclipse環境が最たるものだが、オープンソースの開発ツールや技術は、開発者トレーニングのような能力開発投資を含む投資が、複数のプロジェクトにわたって長期間有効な効果を発揮することをユーザー企業に保証する。わたしはこの2つの要因が、調査に示されたユーザー動向の大きな背景にあると考えている」
シミン氏は、MicrosoftのSOA技術は開発者の生産性向上に役立つが、オープンソースコミュニティーによる取り組みが不足しており、それがこの技術の発展のネックになっているのかもしれないと見ている。Windows Communication Foundation(WCF)のような.NET技術や、C#を採用するVisual Studioのような.NET対応の開発ツールは、SOAの開発を簡素化すると同氏は語る。
「しかし、これらの技術分野では、Microsoft技術の枠を超えて.NETプラットフォームをダイナミックに成長させる、活力あるオープンソースエコシステムが成立していない。JavaにおけるEclipseなどに相当するものが存在していないからだ」(シミン氏)
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