IEEEの“グリーン”な新イーサネット仕様小さな節約で大きな省エネ

IEEEの新しい省エネプロジェクト「P802.3az Energy Efficient Ethernet」は、ネットワークアイドル時のエネルギー浪費が大きいことに目を付けた。

2008年05月13日 07時30分 公開
[David B. Jacobs,TechTarget]

 IEEEの新プロジェクト「P802.3az Energy Efficient Ethernet」は、小さな節約の組み合わせによる大きな省エネの実現を目指している。

 同プロジェクトは、ローレンス・バークリー国立研究所のマイク・ベネット、ブルース・ノードマン両氏と、南フロリダ大学のケン・クリステンセン教授の研究に基づいている。この研究において、ネットワークはアイドル時のエネルギー浪費が大きいことが分かった。

 判明した事実は以下の通り。

  1. 現在デスクトップPCの大半は、数年前の標準だった100Mbpsより高速の1Gbpsインタフェース装備で出荷されている
  2. 典型的な1Gbpsインタフェースは100Mbpsインタフェースに比べ、電力消費量が約2ワット多い
  3. イーサネットインタフェースはネットワークのアイドル時もこのレベルの電力を消費し続ける
  4. 接続先にあるLANスイッチポートの1Gbpsインタフェースも、100Mbpsインタフェースより電力を2ワット多く消費する
  5. 従って、100Mbpsから1Gbpsにアップグレードすると、電力消費は接続されたPC 1台につき約4ワット増える

 そこでIEEEプロジェクト作業部会は、アイドル時やネットワーク負荷が少ない場合にこのインタフェースの速度を落とすことを提案。負荷が軽くなるとインタフェースが速度を落とすようにネットワーク機器間の通信を調整し、負荷が増えると速度を上げる調整を行う方法が提案されている。

省電力計算

 ベネット、ノードマン、クリステンセンの3氏は、デスクトップPCのネットワークインタフェースの平均稼働時間はわずか5%にすぎないとする研究に言及。さらに、現在利用されているPCの約3分の2は常時電源が入ったままになっていると推定した。2012年までに米国内のPCは8000万台になるとして、その半分が省エネイーサネットインタフェース搭載になると仮定し、PC 4000万台、キロワット時当たりの電力料金0.08ドルとして計算すると、米国内で推定7800万ドルの節約になる。欧州などの各国で同程度の市場規模を基準とすると、世界では約2億3500万ドルの節約になる計算だ。

 この推計と提案は2006年に完成した。実際の省エネ量は、プロジェクトの提案を大きく上回る可能性もある。米政府の最新統計によると、米国各地で電力料金が大幅に高騰している。2007年はニューヨークでキロワット時当たり約0.15ドル、カリフォルニアで0.13ドルだった。冷却負担の軽減はこの計算には含まれていないが、削減量のさらなる増加につながる。

速度変更の仕組みとポリシー

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