ストレージの電力コストはデータセンター全体の26%を占めるため、コスト効果分析に基づくストレージのグリーン化対策は非常に重要だ。
ストレージの電力コストはデータセンター全体の26%を占める。ストレージ管理者が的確なコスト効果分析に基づいてグリーン化に取り組むことは重要だ。
米国環境保護庁(EPA)によると、2006年にデータセンターで使用された電力量は米国の電力使用量全体の1.5%を占め、現在の省電力化の傾向が継続した場合、2011年のデータセンターの電力使用量は2006年の2倍近くに達する可能性があるという。しかし、既存の省電力技術やベストプラクティスの広範な活用が進めば、2007~2011年のデータセンターの総電力使用量は、現在の省電力化傾向が継続した場合と比べて半分強にとどまり、この5年間の総電力コストを140億ドル削減できる可能性がある、とEPAは予測している。
ストレージのグリーン化に取り組む第一歩は、ストレージがどれだけの電力を消費し、そのためにどれだけのコストが掛かるかを把握することだ。アレイなどの機器のメーカーから、消費電力と発熱量の基本的な数字を入手できるだろう。もしできなくても、消費電力は自分で測定できる。
ストレージの消費電力を測定するには、ストレージデバイスと空調装置に電力を供給する回路の消費電力をメーターで測る。あなたの会社の施設管理担当者が既にこれを行っているかもしれない。また、こうした回路に一時的にメーターを取り付けて測ることもできるだろう。ストレージが使用する電力量(とデータセンターの冷却に使用される電力量)が分かったら、次は電力コストを計算する。
そのためには、電力料金の計算方法を知らなければならない。企業向けの電力料金は通常、さまざまなファクターに基づいて計算されるものであり、単に電力使用量(キロワット時)に料金単価を掛けるといった簡単な方法では求められない。しかも、料金体系は電力会社によって大きく異なっている。企業顧客向けの電力料金の標準的な計算方法は存在しない。
電力料金にはほとんどの場合、電力を使ったかどうかにかかわらず支払う基本料金と、電力使用量に基づく料金が含まれる。これらにさまざまなファクターがかかわってくる。例えば、多くの電力会社は企業顧客(データセンターも大抵このカテゴリーに入る)向け料金の計算に当たって、電力使用量を複数の段階に分けている。電力使用量が●キロワット時までなら料金単価は◆ドルで、その次の段階の使用量になると単価が高くなるといった具合だ。さらに一部の電力会社は、季節や時間帯によって異なる料金単価を設定している。また、前月までの12カ月で最も多かった月間電力使用量を加味して、最低料金を決定している電力会社もある。
料金情報は、あなたの会社が契約している電力会社から入手できる。彼らは電力コスト計算の手助けをしたり、電力を節約する方法を勧めたりしてくれるかもしれない。また、あなたの地域の電力料金の見通しも教えてくれるだろう。
次に、消費電力の削減や冷却負荷の軽減につながる、実行可能なシンプルな方策を検討する。例えば、空調システムのフィルタを頻繁に交換すると、消費電力を驚くほど削減できるだろう。また、データセンターをゾーンごとに冷却すれば、冷却負荷をより細かく管理できるため、電力コストの削減になる。さらに、サーバやアレイを取り巻く空気の流れを再設計することでデータセンターの冷却負荷全体を軽減し、冷却空気を有効活用することも考えるとよい。冷却の対象は部屋ではなく、機器であることも念頭に置くべきだ。デバイスへの冷却気流がほかの機器で妨げられないようにしなければならない。
関連する省電力対策として、冷却空気がデータセンターから外部に漏れて無駄にならないようにすることが挙げられる。具体的には、漏れの原因個所をふさぐことだ。また、使っていないときに機器の電源を切るのも有効だ。業務時間外はストレージアレイの大部分が不要なら、それらの電源を切っておけば電力を節約できる。
本稿筆者のリック・クック氏は、ストレージやストレージ管理を専門に執筆を行っている。
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