日本ヒューレット・パッカードは2月21日、データセンターの消費電力を抑制しグリーンITを実現する製品およびソリューションを発表した。併せて、環境問題に対する同社の取り組みがあらためて披露された。
同社Adaptive Infrastructureビジネス本部担当マネージャ 高原明彦氏は、HPが環境問題に積極的に取り組んでいることを強調。同社の企業活動および同社製品が消費するエネルギーを2005年比で20%低減することを目標に取り組んできたが、「2007年の段階で既に19.2%の低減を達成した」とし、2010年の目標を「2005年比25%低減に引き上げた」ことを明らかにした。例えば、これまで85カ所以上(コンパックコンピュータとの統合時は300カ所)あった同社データセンターを6カ所に集約。これにより米HPが本拠を置くパロアルト市民の1年間の消費電力量に相当する電力の削減を実現したという。
HPの企業活動における消費電力削減と並んで、HP製品による低消費電力化も進められている。その一環として発表されたのが、以下の3点である。
同社ISSビジネス本部 プロダクト・マーケティング部 山中伸吾氏は、同社のグリーンIT戦略を「『チップ』から『チラー(空調)』まで」として、低消費電力CPUの採用からシステムのブレード化、仮想化によるシステム統合、そしてデータセンターの冷房効果まで総合的に取り組む同社ポートフォリオを説明した。
HP MCS G2は、水冷ラックとすることで、サーバの排気によって生じる熱問題を解決するための製品。1ラックの場合は35キロワットまで、2ラック使用時はそれぞれ17.5キロワットまでの冷却能力があるという。山中氏は米国での試算例として、合計3600キロワットのサーバを収容するデータセンターの建築費を提示。1平方フィート当たりの建設費は、従来型データセンターの1500ドルに対し、水冷ラック式データセンターでは水回りの工事が発生するため2490ドルになるものの、必要な広さは3割程度にまで縮小されるため873万ドル(約9.6億円)の建築費が軽減されるとした。
山中氏はさらにデータセンターの電源について、交流では交流・直流間の変換を行う必要がありロスが発生することを指摘、「直流の方が効率的で消費電力が下がる」とした。直流電源があるデータセンターであれば「HP BladeSystem c7000」用直流電源モジュールにより、この無駄を削減できるという。
最後のHP DSCソリューションは、空冷式データセンターの空調を動的に制御して効率的かつ低消費電力な冷却を実現するものである。温度センサーをラックに取り付け、センサーからの情報を「エナジーマネージャ」に集約。温度が高い位置に応じて空調を制御し、最小限の電力でサーバルーム内の冷却を行う。センサーやエナジーマネージャなどのハードウェアや制御用のソフトウェアだけでなく、アセスメントやベストプラクティスも併せて提供されるソリューションとなっている。
HP MCS G2の価格は336万円(税込み)。「HP BladeSystem c7000」用直流電源モジュールは、HP BladeSystem c7000を直流電源対応にする「DCパワーモジュール」(税込み11万5500円)と、同モジュールに対応するパワーサプライ「DCパワーサプライオプションキット」(税込み23万1000円)で構成されている。
HP DSCソリューションはデータセンターの床面積などによって価格は変動する。500平方メートル程度の場合は3500万円から、1000平方メートル程度の場合は6100万円から(ともに参考価格)となっている。
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