ERP導入プロジェクトの長いフェーズの中で、製品選択は重要だが1つのフェーズにすぎない。アクセンチュアの中西氏は製品を選ぶ前段階でのIT戦略策定が重要だと訴える。
ERPの導入プロジェクトは長期間に及ぶのが一般的だ。プロジェクトの組織から現状の問題点の抽出、要件の定義、ERPパッケージの選定、開発、テスト、トレーニングなどとさまざまなプロセスがある。ERPパッケージの選定は重要だが、全体の中では1つのフェーズにすぎない。
アクセンチュアのテクノロジー コンサルティング本部 財務・経営管理 グループ統括パートナーの中西正氏は、ERPを選定する前段階のプロセスが重要だと訴える。ERP選定の前に重要となるプロセスの1つは、IT戦略の策定だ。ERPの選定・導入は何かのニーズや障害があり、始まるのではない。企業の中長期的なIT戦略があり、その一環として行われるのが正しい。ここでいうIT戦略とはもちろん、その企業の経営計画と同期し、成果はビジネスの指標で評価されるだろう。
ここで考える必要があるのは、どのようなIT投資を行っていき、どのような経営上の成果を上げるということだが、同時に既に行ってきているIT投資についても目を配る必要がある。「既存の資産をいかに活用するかが重要だ」(中西氏)。既存の資産とは、既に持つハードウェアやソフトウェアのほかに、IT部門の人材やスキル、パートナー企業との関係なども含むだろう。これらの資産を最大限生かす形でIT戦略を見直す必要がある。しかし、既存資産がしがらみになって改革ができないのであれば意味がない。IT戦略のどこに力点を置き、どの方向に会社を進めるのか、IT部門のトップには資産の活用について、メリハリが求められるだろう。
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