タブレット端末の波は企業に恩恵をもたらす一方で、アプリ好きの従業員が手持ちのタブレット端末を仕事に持ち込むことは危険もはらむ。
コンシューマー向けのタブレット端末は、もはやニッチな端末とは見なされない。それらの端末は、エンタープライズに押し寄せてITサポート計画とモバイルセキュリティプラクティスを混乱させている。米調査会社Strategy Analyticsによれば、2010年第4四半期には1000万台のタブレット端末が出荷され、首位のAppleのiPadをAndroid搭載タブレットが追い上げている。
現在最もホットなタブレット端末はスレート式のタッチスクリーンマルチメディア端末で、大部分はモバイルOSを搭載している。2010年の第一波ではAppleのiOSを搭載した「iPad」が発売され、次いでAndroid搭載の「Samsung Galaxy Tab」と「Dell Streak」が登場した。
この春にはiPadの新モデルに対抗して、Research In Motion(RIM)の「BlackBerry Playbook」(QNX)、Cisco Systemsの「Cius」(Android)、Motorolaの「Xoom」(Android)、HTCの「Google Tab」(Chrome)、ASUSTeK Computerの「eee Slate」(Windows 7)、Lenovoの「IdeaPad」(Android/Windows 7)が相次いで発売される。
企業ユーザーが電子メール、予定表、Webアプリへの高速接続や外出先でのプレゼンテーション用にこうした端末を購入する中、タブレット端末の販売は3倍に増えるとGartnerは予想する。タブレット端末がコンピュータ利用のための主要プラットフォームとしてPCに取って代わることはなさそうだが、タブレット端末の方が便利で使いやすいと感じるユーザーは多い。同様に、タブレット端末は即興のビデオ会議に利用できるかもしれないが、基本的に携帯電話として扱われることはなさそうだ。
つまり、タブレット端末は「第3の端末」に分類できる。予算を切り詰めたい経営陣には売り込みにくいが、仕事と娯楽の両方の用途のために自分自身のモバイル端末を買いたいと思う個人にとっては魅力的だ。Gartnerによると、タブレット端末はパワーユーザーとIT恐怖症のユーザーの両方に訴求することから、多くは家族の間で共有されることになりそうだ。
企業にとって、このタブレット端末の波は恩恵をもたらし、IT部門がモバイルの効率化を図る助けになるかもしれない。手ごろなサイズの画面とモバイルフレンドリーな機能によって、タブレット端末はさまざまなナレッジワーカーのニーズに対応できる。さらに、多くはApple iTunesが切り開いてAndroid Marketplaceが広げたインフラも利用でき、ここから幅広いモバイルアプリの開発に弾みが付いた。iPadでsalesforce.comのサービスを利用するためのアプリもあれば、Android Galaxy TabでSAPのサービスを利用するアプリもある。
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