サーバ仮想化のハイパーバイザーを比較したホワイトペーパーを3つピックアップした。各ハイパーバイザーの統合率やコストが検証されている。製品選びの参考にしてほしい。
本稿では、TechTargetジャパンのホワイトペーパーダウンロードセンターに登録されているホワイトペーパーの中から「ハイパーバイザーの性能とコストを比較する」ために参考になると思われる3つのホワイトペーパーを紹介する。
「ハイパーバイザーの製品比較:仮想化プラットフォームにおいて最高のワークロード統合率を実現するには」
米Taneja Groupは、主要なハイパーバイザーの中で、仮想マシンの最も高い統合率を実現する製品を調査するため、性能ベンチマークテストを実施した。テストには、米Dellが作成したオープンソースのDVD Store Version 2(DS2)を採用。このホワイトペーパーで、そのテスト結果が報告されている。
比較対象のハイパーバイザーは、VMware ESXi 4.1、Hyper-V R2、Citrix XenServer 5.6に加え、Red Hat Enterprise Linux(RHEL) 5.5 のKVM (Kernel-based Virtual Machine)の4つである。
仮想マシンの統合率は、仮想環境のコストに大きな影響を及ぼすため、製品選びにおいて大切な指標となる。統合率によって、必要な物理マシンの数やハイパーバイザーの数、管理ソフトやライセンス数が変わるからだ。
また、Taneja Groupは、各ハイパーバイザーのメモリ管理機能についても検証・評価している。仮想化で高い統合率を実現するには、CPUの利用率だけでなくメモリ管理も重要だからだ。ただし、このホワイトペーパーを発表した2010年8月時点では、Windows Server 2008 R2 Service Pack 1がリリースされていないため、Hyper-Vの動的メモリ管理機能である「Dynamic Memory」についてのテストはしていない。
Windows 7 SP1とWindows Server 2008 R2 SP1の目玉となるデスクトップ仮想化最新機能
Microsoft「Dynamic Memory」のライバルはVMwareではなくCitrix Systems(前編)
Microsoft「Dynamic Memory」のライバルはVMwareではなくCitrix Systems(後編)
このホワイトペーパーは、VMware製品の特長についてよくまとめられた資料だ。VMware ESXを中心にVMware製品のメリットが「実績」「導入」「運用」など7つのポイントで紹介されている。
例えばポイントの2つ目の「高い統合率とパフォーマンス」では、VMware ESXの機能的な強みであるメモリ管理機能「メモリオーバーコミット」について紹介している。ページ共有とバルーニング技術については、イラストを用いて分かりやすく解説されている。
ポイントの6つ目の「『目的』と『予算』に応じた選択肢の提供」では、Hyper-V R2とのコストの比較をしている。比較のケースは3パターン。(1)物理サーバ30台を仮想化した場合(共有ストレージなし)、(2)物理サーバ20台を冗長構成で仮想化した場合(VMware vMotion&HA構成)、(3)物理サーバ20台を冗長構成で仮想化した場合(VMware vSphere 4 FT構成)。一般的にVMware ESXは、Hyper-Vよりもコストが高いと思われがちだが、このホワイトペーパーによると、設備投資と運用管理コストを併せたTCOの観点では、Hyper-Vよりも安いとしている。
これから仮想化を始める企業、ピンポイントでVMware製品について知りたい人にお薦めのホワイトペーパーだ。
「Linux標準のオープンソースハイパーバイザー「KVM」。注目のベンチマークを公開」
このホワイトペーパーでは、仮想化環境でオープンソースソフトウェア(OSS)を利用するメリットと、KVMのパフォーマンスにおけるベンチマークテストの結果が報告されている。仮想化環境では、VMware製品などの商用ソフトが先行している。しかし、RHELがKVMを正式サポートしたことによって、ホストOSとしてLinux、ハイパーバイザーとしてKVMを利用し、仮想化環境を構築する企業が増えているという。ホワイトペーパーはその理由を説明している。
レッドハットは、独立系の仮想化導入コンサルティング企業である日本仮想化技術の協力の下、KVMのパフォーマンスにおけるベンチマークテストを実施した。今回は、CPUとネットワークのパフォーマンス結果を公表している。
CPUの性能に関する検証では、RHEL 5.5を導入し、KVMで仮想化環境を構築。さらに仮想マシンのゲストOSにRHEL 5.5を導入している。使用したハードウェアは、HP ProLiant DL360 G7(Intel Xeon X5650)とHP ProLiant DL380 G5(Intel Xeon X5355)。Intel Xeon 5600番台とKVMの組み合わせの相性について考察している。
ネットワークの検証においては、LinuxディストリビューションのFedora 13(64ビット版)を導入し、KVMで仮想化環境を構築。仮想マシンに対する通信速度を計測した。
今回紹介したホワイトペーパー以外にも、ホワイトペーパーダウンロードセンターでは、技術文書や製品資料、事例紹介などハイパーバイザーに関するホワイトペーパーを掲載している。ぜひダウンロードしてご活用いただきたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Windows Server 2025では、Hyper-Vの利便性が大幅に強化された上に、リソースの拡張性や高可用性の機能に加えてGPUパーティショニング機能も標準搭載している。本資料では、GPUパーティショニング機能の概要や設定方法を解説する。
クラウドシフトが進む現在、オンプレミスのVMware vSphere環境をクラウドへ移行し、IT変革につなげる動きが広がっている。そこで本資料では、このような移行をスムーズに進めるための方法を紹介する。
AIや機械学習を基盤とするシステムを活用した、高度な研究を支えるインフラ整備が必要となったキャンベラ大学。だが負担が増大していたIT部門は、効率的な対応を行うことが難しかった。こうした中、同大学が採用したアプローチとは?
仮想化環境の移行は、チームがどれだけ高いスキルを有していても困難を伴う。「今の環境と同じ機能を利用できるか」などのチェック事項も多い。そこで、ベンダーロックインを伴わずに、優れた仮想化テクノロジーへ移行する方法を紹介する。
IT環境の多様化・複雑化に、VMware買収の話が加わって、組織のIT担当者の悩みは増える一方だ。このような状況において、管理運用の簡素化とリスクの軽減をどのように実現すればよいだろうか。
「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...