主要ハイパーバイザーの性能とコストを徹底比較した3つのホワイトペーパーホワイトペーパーレビュー

サーバ仮想化のハイパーバイザーを比較したホワイトペーパーを3つピックアップした。各ハイパーバイザーの統合率やコストが検証されている。製品選びの参考にしてほしい。

2011年04月08日 09時00分 公開
[荒井亜子,TechTargetジャパン]

 本稿では、TechTargetジャパンのホワイトペーパーダウンロードセンターに登録されているホワイトペーパーの中から「ハイパーバイザーの性能とコストを比較する」ために参考になると思われる3つのホワイトペーパーを紹介する。

仮想マシンの最も高い統合率を実現するハイパーバイザーはどれ?

ハイパーバイザーの製品比較:仮想化プラットフォームにおいて最高のワークロード統合率を実現するには

画像 提供:米Taneja Group、ページ数:14

 米Taneja Groupは、主要なハイパーバイザーの中で、仮想マシンの最も高い統合率を実現する製品を調査するため、性能ベンチマークテストを実施した。テストには、米Dellが作成したオープンソースのDVD Store Version 2(DS2)を採用。このホワイトペーパーで、そのテスト結果が報告されている。

 比較対象のハイパーバイザーは、VMware ESXi 4.1、Hyper-V R2、Citrix XenServer 5.6に加え、Red Hat Enterprise Linux(RHEL) 5.5 のKVM (Kernel-based Virtual Machine)の4つである。

 仮想マシンの統合率は、仮想環境のコストに大きな影響を及ぼすため、製品選びにおいて大切な指標となる。統合率によって、必要な物理マシンの数やハイパーバイザーの数、管理ソフトやライセンス数が変わるからだ。

 また、Taneja Groupは、各ハイパーバイザーのメモリ管理機能についても検証・評価している。仮想化で高い統合率を実現するには、CPUの利用率だけでなくメモリ管理も重要だからだ。ただし、このホワイトペーパーを発表した2010年8月時点では、Windows Server 2008 R2 Service Pack 1がリリースされていないため、Hyper-Vの動的メモリ管理機能である「Dynamic Memory」についてのテストはしていない。

Hyper-VとVMware ESX、3つのケースでコスト比較

VMwareが選ばれる7つの理由

画像 提供:ヴイエムウェア、ページ数:13

 このホワイトペーパーは、VMware製品の特長についてよくまとめられた資料だ。VMware ESXを中心にVMware製品のメリットが「実績」「導入」「運用」など7つのポイントで紹介されている。

 例えばポイントの2つ目の「高い統合率とパフォーマンス」では、VMware ESXの機能的な強みであるメモリ管理機能「メモリオーバーコミット」について紹介している。ページ共有とバルーニング技術については、イラストを用いて分かりやすく解説されている。

 ポイントの6つ目の「『目的』と『予算』に応じた選択肢の提供」では、Hyper-V R2とのコストの比較をしている。比較のケースは3パターン。(1)物理サーバ30台を仮想化した場合(共有ストレージなし)、(2)物理サーバ20台を冗長構成で仮想化した場合(VMware vMotion&HA構成)、(3)物理サーバ20台を冗長構成で仮想化した場合(VMware vSphere 4 FT構成)。一般的にVMware ESXは、Hyper-Vよりもコストが高いと思われがちだが、このホワイトペーパーによると、設備投資と運用管理コストを併せたTCOの観点では、Hyper-Vよりも安いとしている。

 これから仮想化を始める企業、ピンポイントでVMware製品について知りたい人にお薦めのホワイトペーパーだ。

仮想化環境でOSSを活用するメリットとは?

Linux標準のオープンソースハイパーバイザー「KVM」。注目のベンチマークを公開

画像 提供:レッドハット、ページ数:8

 このホワイトペーパーでは、仮想化環境でオープンソースソフトウェア(OSS)を利用するメリットと、KVMのパフォーマンスにおけるベンチマークテストの結果が報告されている。仮想化環境では、VMware製品などの商用ソフトが先行している。しかし、RHELがKVMを正式サポートしたことによって、ホストOSとしてLinux、ハイパーバイザーとしてKVMを利用し、仮想化環境を構築する企業が増えているという。ホワイトペーパーはその理由を説明している。

 レッドハットは、独立系の仮想化導入コンサルティング企業である日本仮想化技術の協力の下、KVMのパフォーマンスにおけるベンチマークテストを実施した。今回は、CPUとネットワークのパフォーマンス結果を公表している。

 CPUの性能に関する検証では、RHEL 5.5を導入し、KVMで仮想化環境を構築。さらに仮想マシンのゲストOSにRHEL 5.5を導入している。使用したハードウェアは、HP ProLiant DL360 G7(Intel Xeon X5650)とHP ProLiant DL380 G5(Intel Xeon X5355)。Intel Xeon 5600番台とKVMの組み合わせの相性について考察している。

 ネットワークの検証においては、LinuxディストリビューションのFedora 13(64ビット版)を導入し、KVMで仮想化環境を構築。仮想マシンに対する通信速度を計測した。

 今回紹介したホワイトペーパー以外にも、ホワイトペーパーダウンロードセンターでは、技術文書や製品資料、事例紹介などハイパーバイザーに関するホワイトペーパーを掲載している。ぜひダウンロードしてご活用いただきたい。

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仮想化 | Windows Server 2008 R2 | Hyper-V | OSS | TCO


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