現在、患者自身が自分の病気を理解して積極的に治療へ参加する「患者参加型医療」が提唱されている。その実現を支援するために開発された無料のiPadアプリを紹介する。
医療現場で使えるiPad/iPhone対応システムやアプリケーションを紹介する本連載。今回は、メディカクラウドの患者説明用iPadアプリ「IC動画 HD」を紹介する(前回記事:問診入力を楽にするiPad対応問診システム「Medical TQ」)。
IC動画 HDは、2011年6月から提供されているiPadアプリ。iOS 4.3以降に対応する無料ツールだ。IC動画 HDでは、医師や看護師、技師、療法士、在宅医療従事者などが疾患や治療、処置などを説明するCG動画を表示できる。患者やその家族への説明に使用することで、説明時間の短縮や治療への理解促進などを支援する。
IC動画 HDについて、開発元のメディカクラウドの宮川一郎氏は「患者参加型の医療の実現を支援するツール」と語る。宮川氏は、ITを活用して医療現場の変革に取り組む医療従事者グループ「チーム医療3.0」の1人である。
習志野台整形外科内科の院長を務める同氏は、普段の診療の中で「医療スタッフとともに患者自らが病気や治療法を理解し、チーム医療に積極的に参加してほしい」と感じていたという。例えば、自身の病名は言えても服用薬や最近実施した検査結果などが分からないため、診察時間が長くなったり、検査や処方の重複など適切な診療が実施できないリスクがある。こうした患者の状態は、医師の疲弊や医療費の高騰など、昨今言われている医療崩壊の原因の1つともいえるかもしれない。
宮川氏は、これからの診療方針は「インフォームドコンセント(患者への説明と同意:納得診療)」から「インフォームドチョイス」(治療に対する患者の自己責任:理解診療)に進むべきだとしている。インフォームドチョイスでは、医師が治療方法を複数提示し、そのメリット、デメリットを説明した上で患者自らが理解し、自身の治療法を決定して実行する。そのため、患者のアドヒアランス(執着心)の向上が、治療成功の鍵を握る。
「アドヒアランスの向上には“自分の身体(状態)を把握すること”“どういう治療法があるのか”“その方法がなぜ有効なのか”について、医療従事者が患者に説明する必要がある」(宮川氏)
しかし、専門用語が多い医療分野では患者に分かりやすく伝えることが難しい。また、診療時間は限られている。そうした制約の中で、医師と患者との情報共有をどうすれば円滑に進められるかを模索した結果、「パンフレットや模型よりもさらに伝わりやすいツールとしてCG動画に着目した」と宮川氏は開発コンセプトを語る。
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