JSRがグループ全体の基幹業務をSAPクラウドに移行NEWS

素材メーカーJSRが、グループ全体の基幹業務システムをクラウド環境に移行した。グループ全体の業務効率化や経営判断のスピードアップを狙う。

2012年04月05日 17時03分 公開
[原田美穂,TechTargetジャパン]

 電子部材やリチウムイオンキャパシタ向け素材などを手掛けるJSRが、自社基幹業務システムをクラウドサービスに移行した。SAP ERPをベースに、NECが「クラウド指向基幹サービス for 素材業」として素材メーカー向けの機能を追加している。クラウド指向基幹サービス for 素材業はNECが2012年4月5日に提供開始した製品で、JSRは第1号の採用事例となる。システムはJSRのグループ全体に展開し、既に稼働している。

 素材メーカーは、製造設備への投資額、原材料費の変動が大きい。通常、原材料の仕入れ価格は一定期間ごとに単価が確定次第、遡及して価格を反映させる必要がある。また、原価計算においても、月次の総平均による算出が行われることが多い。今回の導入ではこうした素材メーカー特有の手続きを機能として実装している。このほか、設備投資関連の情報や設備に付随する固定資産管理なども簡便に行えるようになっている。

 NECでは、「クラウド指向サービスプラットフォームソリューション」を展開しており、今回発表された素材メーカー向けのクラウド基幹システムもその一環。

 基本アプリケーションサービスが月額160万円〜(利用ユーザー数20を含む)。SAP ITO(Information Technology Outsourcing)サービス、AMO(Application Management Outsourcing)サービスも個別見積もりで提供する。

 JSRでは、今回のSAPクラウドサービス導入で、既存のローカルに分散したデータを統合し、運用・オペレーションコスト削減およびグループ全体でのIFRS対応も視野に入れた仕組みを構築するとしている。

 NECのプレスリリースによると、SAP ERPへの主な追加機能は次の通り。

  • 価格遡及計算機能:原材料単価確定に伴う購買価格の遡及訂正を自動化
  • 実際原価計算機能:化学、素材業界で標準的に行われている月次総平均による原価計算
  • 融通・スワップ取引対応機能:スワップ・融通取引に伴う債権債務の自動相殺への対応
  • 設備投資管理機能:分散しがちな設備投資管理に関連する情報を一元管理する機能
  • 固定資産管理機能:大量データの一括振替などの取引入力対応
クラウド指向基幹サービス for 素材業の機能イメージ クラウド指向基幹サービス for 素材業の機能イメージ 生産システムについては既存システムの利用が可能

(@IT MONOist 製造マネジメント

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