高額なプロプライエタリ製品をしのぐツールも
VMware vShieldより高性能? OSSの仮想ファイアウォールとIPS/IDS
仮想化製品「VMware vSphere」のセキュリティ機能群である「VMware vShield」は、パフォーマンスや使い勝手に課題がある。本稿は、vShieldをしのぐ性能や機能を持つオープンソースツールを紹介する。
米VMwareの仮想ファイアウォール「VMware vShield Zones」のパフォーマンスに不満があるIT担当者は、このツールや同社の侵入保護システムの代替になるオープンソースの選択肢をたくさん見つけることができる。これらの選択肢の中には、プロプライエタリ製品以上に優れたツールもある。
仮想化製品「VMware vSphere」のEnterprise/Enterprise Plusエディションに含まれるvShield Zonesは、VMwareのセキュリティ製品群「vShield」に属している。私が使ったことがあるのは、vShield製品群の中ではvShield Zonesと、ネットワーク境界のセキュリティを仮想データセンターに提供する「VMware vShield Edge」だけだ。しかし、私の使用経験から考えると、どちらの製品の使い勝手もあまり芳しくなかった。
vShield Zonesの場合、インストールや構成は簡単ではあるものの、効率性に課題があることが後になって分かった。クラスタ内の全てのホストにvShield Zonesをインストールする必要があり、全ての仮想マシン(VM)のトラフィックがvShield Zonesを通過する。vShield Zonesの非常に基本的なファイアウォールにVMトラフィックを通すと、パフォーマンスが著しく低下してしまう。このように、ネットワークパケット処理がゲストVMで行われる方式は低速パス(slow-path)モードと呼ばれる。
私の経験では、vShield Edgeもさえなかった。vShield Edgeは、クラスタ内でVMware vSphere Distributed Switchではなく標準のvSwitchと組み合わせて使った場合の制限に注意したい。例えば、vShield Edgeのポートグループ分離機能をテストしたいとする。これは、VMと外部ネットワークの間に効果的にバリアを作成する優れたセキュリティ機能だ。しかしこの機能は、vSphere Distributed Switchと組み合わせた構成でのみ利用でき、標準のvSwitchと組み合わせた構成では利用できない。また、vShield Edgeは、クラスタ内でほとんど何も行われていないときも、常に大量のネットワークトラフィックを発生させ、CPUリソースを使用するようだった。
オープンソースの選択肢の検討
私は、VMwareのパートナーが利用する同社のセキュリティ技術「VMware VMsafe」のAPIが、vShield製品の貧弱なパフォーマンスを高めてくれると期待している。VMsafe APIは、ネットワークパケット処理がハイパーバイザーで行われる高速パス(fast-path)型のセキュリティ製品の開発を支援するものだ。だが現時点でも、vShield製品群の代替となる仮想ファイアウォールや侵入防止システム、侵入検知システムといった優れたオープンソースの選択肢がある。
オープンソースの仮想ファイアウォールや侵入防御システム(IPS)は、小規模な環境や研究室向けの格好の選択肢だ。大手ネットワークベンダーの多くが製品を仮想アプライアンスとして提供しているが、それらは初期コストや保守コストが高額になってしまう。
VMwareの仮想アプライアンスマーケットである「Virtual Appliance Marketplace」では、多種多様な仮想アプライアンスが見つかる。ただし、このマーケットで提供されるツールの中でどれが本当にオープンソースなのか、検索などの手段を使って調べておくべきだ。
オープンソースの選択肢:仮想ファイアウォール
私はファイアウォールに関しては、歴史ある定番製品「IPCop」「SmoothWall Express」「m0n0wall」「Vyatta」が気に入っている。これらのツールは強力な保護機能を提供し、Linuxや一部のWindowsカーネルと緊密に協調して機能する。管理用の凝ったGUIは備えていないかもしれないが、パケット検査やNAT、ルール適用といった基本機能を提供する。こうした機能だけで十分な場合もあるだろう。
さらに、上に挙げた選択肢の多くは、基本機能に加えてSNMPやリバースプロキシ、トラフィックシェーピング、VPNなどもサポートしており、高額な商用製品をしのぐ部分もある。個人的には、米Vyattaが提供する堅牢なオープンソース版のVyatta(同社は商用版も提供している)を好んで使っている。コマンドラインインタフェース(CLI)が、米Cisco Systemsのプロプライエタリ製品で提供されるものと似ているからだ。
オープンソースの選択肢:IPSとIDS
上に挙げたオープンソースファイアウォールの多くは、仮想IPS機能も提供する。類似のプロプライエタリ製品(例えば、Ciscoが販売する「Cisco ASA」シリーズのネットワークセキュリティアプライアンスなど)はIPSを含む多様な機能を備えるが、費用対効果を考える必要がある。
IPSの導入を計画している場合、侵入検知システム(IDS)も導入すべきだ。IPSとIDSの違いや、両者がどのように連係して動作するかを知らない人が多い。IPSとIDSが1つのアプライアンスに含まれ、IPSが境界ネットワーク(DMZ)に、IDSが仮想ファイアウォール内のvSwitchに接続されていることが理想だ。
米Catbird NetworksやフィンランドのStonesoft、米Sourcefireといったベンダーは、IPSとIDSの機能を兼ね備えたアプライアンスを有料で販売している。オープンソースツールでは、成熟した「Snort」(とフロントエンドの「Snorby」の組み合わせ)や「Bro Network Security Monitor」「Suricata」が私のお気に入りだ。私は最近Broを導入し、その機能セットやインストールと構成の容易さに感心した。オープンソースツールがいかに進歩しているかが分かった。Broは私にとって、このカテゴリーのナンバーワン製品だ。
考慮すべき他の製品としては、「Smooth-Sec」や「SIEM-live」(どちらもSuricataベース)に加え、私もよく使用するブート可能なライブCDがある。例えば「Network Security Toolkit」(ネットワークやセキュリティに携わる人にとって定番中の定番)や「Security Onion」などだ。
導入や保守のオーバーヘッドコストが掛かる商用の仮想ファイアウォールやIPS/IDSアプライアンスが不要だったり使用したくない場合は、本稿で紹介したオープンソースの選択肢を試してみるとよい。ニーズに合うものが見つかるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的な家電メーカーが実践する「クリエイティブプロセス効率化」の方法とは? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的テクノロジー企業に学ぶ、プロセス標準化とプロジェクト納品自動化の秘訣 -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソニー・ピクチャーズ テレビジョンに学ぶ、次世代サービスデリバリーのヒント -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソミック石川に学ぶ、ICT浸透後に直面した「工数管理」の課題と解決策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
2
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
3
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
4
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
7
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
8
ANAが専用回線から移行した「NaaS」の全貌 ネットワーク準備が数カ月から数週間に
-
9
「プログラマー不要論」にThe Linux Foundationが示した答え
-
10
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
9
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
10
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー