標準ツールを超える、仮想化の運用管理ツール5選仮想化管理ツールのトップ10(前編)

仮想化管理ツールの開発に関しては、仮想化ベンダーよりもサードパーティーベンダーの方が得意だ。前編では、サードパーティー製品を中心に仮想化管理ツールトップ10(順不同)から5つを紹介する。

2011年04月07日 09時00分 公開
[Eric Siebert,TechTarget]

 米Citrix Systems米Microsoft米VMwareなどの仮想化ベンダーは優れたハイパーバイザーを提供しているが、多くの場合、極めて堅固な仮想化管理ツールは提供していない。

 最近まで、VMwareなどのベンダーは中核製品の開発に力を注いでいた。このため、サードパーティーベンダーが既存ツールの管理や使い勝手の不備に対処する形で新しい仮想化管理ツールを開発する余地があった。

サードパーティー製仮想化管理ツール

 現在、多くのサードパーティーベンダーが、このチャンスを生かして機能豊富なアプリケーションを提供している。こうしたアプリケーションは、仮想化ベンダーから提供される基本的なツールよりも強力であり、セキュリティ、監視、リポート、バックアップ、自動化といった機能を備えている。優れた仮想化管理ツールの多くは高価だが、仮想環境の管理を容易にする安価な、あるいは無料のツールも多数出回っている。

 サードパーティーベンダーの1つの大きなよりどころは、仮想化ベンダーが開発、提供するAPIとソフトウェア開発キット(SDK)だ。サードパーティーベンダーはこれらを利用して、仮想ホストや仮想マシン(VM)など、仮想環境のコンポーネントと直接連係する機能を実現できる。仮想化ベンダーの中でもVMwareは特に、さまざまな分野で多くのAPI、SDK、ツールキットを用意し、ベンダーがアプリケーション開発に利用できるようにしている。例えば、vStorage APIでは、ストレージやバックアップのための連係機能を、VMsafe APIでは、セキュリティやネットワーキングのための連係機能を実現できる。WMI APIなど、限られたAPIしか用意していないMicrosoftのような仮想化ベンダーもあるが、仮想化ベンダーは皆、製品の成熟化が進む中で、APIの追加を続けている。

 しかし、仮想化ベンダーは、サードパーティーベンダーがアプリケーションを開発するためのツールとサポートを一貫して提供してきたものの、今ではサードパーティーベンダーと競合し始めている。これまでサードパーティーベンダーが手掛けてきた仮想化管理機能の一部を自社の中核製品に搭載するようになってきたからだ。

 例えば、VMware用のバックアップツールを提供するサードパーティーベンダーは、VMwareのVMware Data Recoveryという製品に立ち向かわなければならなくなっている。セキュリティツールを開発してきたサードパーティーベンダーも、VMware vShield Zonesに対抗しなければならない。これは、VMwareがサードパーティーベンダーを買収して獲得した製品だ。

 しかし、ほとんどの場合、仮想化管理ツールの開発に関しては、仮想化ベンダーよりもサードパーティーベンダーの方が得意としている。このため、仮想化管理ツールを探すときには、サードパーティーツールをチェックするのが最も賢明だ。実際、サードパーティーツールの方が仮想化ベンダーのツールよりも機能が充実していることが多い。

 では、仮想環境でデータセンター管理者に必須となる仮想化管理ツールのトップ10(順不同)を紹介しよう。今回の前編では、このうち5つを取り上げる。

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 SB C&S株式会社

仮想化環境のモダナイゼーションを加速させる、新しい運用管理方法とは?

さまざまなメリットをもたらす仮想化環境だが、2023年にVMwareが買収されたことで、ユーザー企業は難しい判断を強いられている。そこで、コストメリットも大きい、仮想化環境のモダナイゼーションの方法について解説する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

データ利活用基盤を強化:NTTコミュニケーションズのストレージ導入事例

データ分析・利活用のニーズが高まる中、アクションのベースとなるデータも膨大な容量となり、今後も増え続けていく見通しだ。そうなると、各企業はデータ利活用基盤として、信頼性や拡張性の高いストレージを求めるようになるだろう。

製品資料 横河レンタ・リース株式会社

Windows 11への刷新はデータ移行が重荷、作業負荷を大幅に軽減する方法とは?

OSの移行には「データ移行」が付き物だが、その業務負荷の高さに悩まされているIT管理者は多いだろう。Windows 11への移行を進める前に知っておきたい、「データレスPC」の有効性や、導入で得られる“プラスα”のメリットを解説する。

事例 ニュータニックス・ジャパン合同会社

サーバ250台の移行事例、東海理化が仮想環境を刷新した理由とその効果とは?

技術や市場の変化が激しい自動車業界にあって、長年、数多くの自動車メーカーに部品を供給してきた東海理化。同社は変化に柔軟に対応するためのDX推進に当たって、これまで運用してきたレガシー仮想環境からの移行を断行する。

製品レビュー ニュータニックス・ジャパン合同会社

クラウド同士の連携と運用の課題解消、WebスケールITの基準を採用した基盤とは

ハイブリッド/マルチクラウドへ移行する企業のIT環境だが、クラウド同士の連携は複雑な上に、運用も非効率になりがちだ。そこで、この問題を解消するためのハイブリッド/マルチクラウドプラットフォームを紹介する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...