仮想化技術を使ってiPad端末から医療システムにアクセスしたいという医師のニーズが高まっている。仮想化ベンダーに追い風が吹いているが、App Storeをめぐって現場の開発者から不満の声が上がっている。
本稿では、医療分野におけるiPadの人気が仮想化ベンダーに恩恵を与えている状況について述べる(関連記事:iPad対応電子カルテが切り開く医療分野のBYODへの道)。
医療分野でiOSの仮想化を推進する原動力となっているのが医師だ。「彼らは医療業務でiPadを活用したいと考えており、医療現場で最も発言力があるからだ」と説明するのは、仮想化ベンダーの米Citrix Systemsで医療ISV担当の営業ディレクターを務めるエド・ロドリゲス氏だ。同氏によると、米CernerのWebホスティング型電子カルテ(EHR)製品や92%が仮想化されている米EpicのEHRシステムなどの大規模な実装を支える「基幹部分」をCitrixが提供しているという。
iPadとiPhoneの人気は、仮想化ベンダーにとって大きな追い風になった。仮想化技術を利用すれば、医師は自分の好きな携帯端末を自由に選べるだけでなく、サーバとこれらの端末間との間の構成やセキュリティに対するIT部門の要求にも応えられる。ロドリゲス氏によると「これまでEHRを仮想化する主な目的は、病室で医療記録を参照できるようにすることだった。iPadが登場してからは医師の仕事のスタイルが変化し、病院外でも医療業務を処理できる。以前では想像もできなかったことだ」という。
しかし、この状況はITスタッフに新たな課題を与えている。米国の医療機関のIT部門は「ICD-10」(訳注:世界保健機構が設定した国際疾病分類)や「Meaningful Use」(訳注:医療ITの有意義な利用、米HITECH法の規定の1つ)などへの対応が求められている。また一部の医療機関では、「ACO」(Accountable Care Organizations:説明責任を負う医療機関)への移行という課題も抱えている。「仮想化を利用すれば、IT部門はBYOD(個人所有端末の業務利用)によってモバイル化に対応できる。また、端末にインストールして実行するのではなく、データが表示されるだけなので、セキュリティのリスクも心配しなくて済む」とロドリゲス氏は語る。
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