BYODの安全性確保の特効薬とされるモバイル仮想化。ベンダーは製品の市場投入を急ぐが、導入を見送るユーザー企業も多い。背景には、製品や市場の成熟度の低さがある。
米エネルギーサプライヤーU.S. Gas & Electricの最高情報責任者(CIO)を務めるグレッグ・タフェット氏は、社内で急速に導入が進んでいるモバイル端末を管理するため、モバイル仮想化を検討した。同社は、米国の多くの州で天然ガスと電力の再販事業を展開する急成長企業だ。非営利の地域開発ローンファンドである米The Reinvestment Fund(TRF)のCIO、バリー・ポロズニ氏もモバイル仮想化を検討。同社は、小規模に始まった私物端末の業務利用(BYOD)が拡大を続けている。
モバイル仮想化は、非常に興味をそそる技術だ。サーバ仮想化は、1台のハードウェアで複数のOSを実行できるというメリットのおかげで、企業に広く普及した。モバイル仮想化でもこうしたメリットが得られる。だが、ハードウェアコストの削減がサーバ仮想化導入の大きな決め手になったのに対し、モバイル仮想化の魅力は、同一端末上に仕事用とプライベート用の2つの環境をプロビジョニングできることにある。
こうしたデュアル環境を用意すれば、プライベート環境とは独立した仕事環境に対して、強力なパスワードポリシーを強制したり、帯域を1種類に統一するといったことが実現できる。企業資産は保護され、従業員はプライベート環境を自由に利用できる。
エンタープライズコンピューティングでは、BYODの導入を求める強いプレッシャーがCIOにかかっており、モバイル端末が猛烈な勢いで増殖している。こうした中、モバイル仮想化によって2つの環境を使い分けるソリューションは、IT部門にとって理想的な管理の枠組みを復活させてくれるように思える。「このソリューションにより、IT部門が長年そうしてきたように、集中管理が可能になる」と、米Nemertes Research Groupのリサーチアナリスト、フィリップ・クラーク氏は語る。
だがタフェット氏とポロズニ氏は、検討の結果、モバイル仮想化のアプローチはまだ新しく、市場が非常に不安定であるという認識に達した。このため、両氏は当分の間、モバイル端末に仮想マシンを構築することは見送る考えだ。
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