ストレージI/Oの仮想化手法の1つである「スイッチによるI/Oの仮想化」は、ネットワーク全体で特定のVMに対して一定レベルのパフォーマンスを保証でき、さらに故障時の可用性対策にも有効だ。
仮想サーバと仮想デスクトップが普及したことで、ストレージへのI/O要求がさらに高まった。その解決策として「仮想I/O」に注目が集まっている(関連記事:煩わしいI/O管理からCPUを解放するネットワークの仮想化手法)。これから2回にわたり、ストレージI/Oの仮想化を実現する方法を解説していく。
まずは、ストレージI/Oの仮想化に関連する重要な用語を解説しよう。I/O仮想化を検討する上では、知っておく必要があるものばかりだ。
用語 | 意味 |
---|---|
コンバージドネットワークアダプター(CNA) | イーサネットネットワークインタフェースカード(NIC)とファイバーチャネルホストバスアダプター(HBA)の機能を組み合わせたアダプター |
Fibre Channel over Ethernet(FCoE) | ファイバーチャネルをイーサネットネットワーク上で動作させるストレージプロトコル |
NICパーティショニング(NICP) | ネットワークインタフェースデバイスを論理的に分割し、複数の仮想サーバで利用できるようにする技術。QLogicが開発 |
PCI-SIG I/O Virtualization(IOV) | PCI Express(PCIe)ベースのデバイスを共有するための規格を開発するPCI分科会 |
シングルルートI/O Virtualization(SR-IOV) | 1台のコンピュータ内でPCIeデバイスを共有するためのPCI-SIG規格 |
マルチルートI/O Virtualization(MR-IOV):複数のコンピュータ(ブレードシステムなど)でPCIeデバイスを共有するためのPCI-SIG規格
これらの仮想I/Oカードで登場しつつあるもう1つの機能として、「仮想スイッチをカード上に作成する」機能がある。これは特に仮想化サーバ環境で役立つ機能であり、サーバから送出されるネットワークトラフィックを大幅に減少させる効果がある。この機能を使えば、同じホスト上で動作する2個のVMが互いに直接通信することが可能になる(これは極めて一般的な要求だ)。仮想スイッチは、このトラフィックをわざわざ物理スイッチに送らず、ローカルトラフィックを物理ホストの内側に隔離する。これもホスト内部のVMのパフォーマンスと全体的なネットワーク効率の向上につながる。
また、I/O仮想化を提供できるネットワークアダプターは、使用するストレージプロトコルの種類を仮想化する機能を備えている。例えば、FCやFCoE、10GbE、iSCSIをサポートするカードもある。仮想I/Oアダプターには、サーバあるいはVMの動作を中断せずにポートの設定を変更する機能も求められる。現在、一部のアダプターでは再起動が必要だが、それもいずれ改善されるだろう。
I/Oを仮想化できるもう1つの場所が「インフラそのもの」である。このインフラ仮想化は、仮想化されたネットワークアダプターと組み合わせることができる他、単独で運用することも可能だ。インフラレベルのI/O仮想化には、2つのタイプが存在する。1つは「スイッチインフラの仮想化」で、これは基本的にアダプターにおいて仮想I/Oを拡張するという手法だ。もう1つは、「広範なI/O仮想化を実現するゲートウェイ型装置を使用する」方式で、基本的には専用I/Oファブリック(一般的にはI/Oゲートウェイと呼ばれる)である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
HDDの容量が30TB超になると同時に、ストレージ技術はさまざまな進化を続けている。そうした中でもインタフェースに「SATA」(Serial ATA)を採用したHDDが変わらずに使われ続けている。なぜなのか。
カラオケ業界が直面するデータ増に対応すべく多くのストレージを試し続けた結果、4社27台の製品のメンテナンスに悩まされていたエクシング。この問題を解消すべく、同社は大容量かつコスト削減効果に優れた、新たなストレージを導入した。
メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。
ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。
長年にわたり強力かつ安全な基盤であり続けてきたメインフレームシステム。しかし今では、クラウド戦略におけるボトルネックとなりつつある。ボトルネックの解消に向け、メインフレームを段階的にモダナイズするアプローチを解説する。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...