オープンクラウドは万能薬ではない。誤ったオープンクラウド信仰に陥らないように、自社が利用または利用を検討しているオープンクラウド技術ベンダーに、幾つかの質問をする必要がある。
「オープンクラウド」は、クラウドコンピューティング関連の新手のバズワード(流行語)であるだけでなく、急速に宗教になりつつある。OpenStack教会、CloudStack教会、Eucalyptus教会のどこでお祈りをするか(関連記事:機能を徹底比較! 〜Eucalyptus、CloudStack、OpenStack)、それとも、他のオープンソースクラウドのベンダーの礼拝堂に行くか、といった具合だ。
クラウド市場でオープンソースが注目されている理由は幾つかある。第1に、われわれは1社のベンダーに依存しない技術を使うという考え方を好む。第2に、われわれの要件をより満たす技術開発を促進できる可能性(一般的に、活用されていない)がある。第3に、オープンソースクラウドは通常、適正な価格だ。この技術の多くは、コストがほとんど、または全く掛からないからだ。
オープンクラウド技術は、ディストリビューションとして提供されている。ディストリビューションは通常、オープンクラウドソフトウェアをベースに、付加価値機能を提供するソフトウェアを組み合わせたものだ。一般的に、プライベート、パブリック、ハイブリッドクラウドを構築するには、このディストリビューションが必要となる。ディストリビューションは、クラウドを構成するクラウド管理スタック、セキュリティ、ユーザーアカウント管理などのコンポーネントもカバーしている。
しかし、オープンクラウド技術にはマイナス面もある。技術選択プロセスでは、それらを常に考慮しなければならない。例えば、オープンソースソフトウェア(OSS)の真の展開コストを、商用製品との対比で理解する必要がある。
つまり、企業は多くの場合、自社のビジネス要件や技術要件を正確に把握する前にオープンソースを選択する。だが、オープンクラウドが適さない場合があり、そうした場合にオープンクラウドソフトウェアを使うと、商用ソフトウェアよりもコストがかさむ恐れがある。
ここにこの技術の宗教の側面が見られる。企業はしばしば、こうした客観的な論理を無視して、この技術を盲信してしまうのである。
そこで、誤ったオープンクラウド信仰に陥らないように、自社が利用している、または利用を検討しているオープンクラウド技術のプロバイダーに、幾つかの質問をする必要がある。相手は少し困るかもしれないが。
クラウドベンダーが正直に答えるのであれば、「いいえ」という明確な答えが返ってくるだろう。オープンクラウドのあるバージョンにローカライズされたアプリケーションとデータを、同じ規格の別のディストリビューションにそのまま移植することは、今はまだSFのようなものだ。現状ではクラウド規格が乱立しており、クラウドプロバイダー間で移植性を確保することは困難だ。この問題はいずれは解決されるだろうが、それがいつなのかはまだ分からない(関連記事:ユーザーがOSSクラウド基盤に求めるのはAWSとの互換性か)。
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