クラウドとオンプレミス間のアプリケーションを連係するには、きちんとした連係戦略を確立する必要がある。ソフトウェア連係の専門家が、SaaS連係サービスを選定する上で気を付けたい点を解説する。
社内アプリケーションとSaaS連携で直面する課題をお伝えした前編「APIだけでは解決できない、SaaS連係に潜むワナ」に続き、後編ではクラウド連係の原則と戦略を紹介する。
「今日、多くのSaaSプロバイダーは自社アプリケーションの独自機能開発に特化し、連係という課題には対処していない」
ソフトウェア連係の専門家である、調査会社 米Gartner副社長のベノア・ルロー氏と451 Researchでエンタープライズアーキテクチャ、連係およびBPM(ビジネスプロセスマネジメント)を担当するカール・リーマン氏はこう口をそろえる。
「ユーザーはSaaSベンダー独自の機能だけでなく、各社がどんな連係機能を提供できるのかを厳しくチェックするとともに、クラウドアプリケーションと社内アプリケーションとのギャップを埋めるサードパーティーの連係ソリューションを注意深く検討する必要がある」と両氏はアドバイスする。
リーマン氏によると、SaaSベンダーの技術を評価するに当たっては、データ変換とセキュリティの品質・機能、そしてデータ量やオーケストレーションソリューションなどに注目する必要があるという。また、連係サービスプロバイダーやエンタープライズサービスバス(EBS)などの技術が利用できる標準的な方法でデータにアクセスする機能を、SaaSベンダーが提供しているか確認する必要もある。
サードパーティーの連係サービスプロバイダーの登場は、企業のSaaS連係プロジェクトを後押しする形になった。米Dell、米MuleSoft、米PathLogic、米Jitterbit、米Kapow、米Talend、米Vitria、米TIBCO、米Red Hat、米IBMなどのサードパーティーが提供しているツールは、SaaSとオンプレミス間のアプリケーション連係を支援する。
「これらのツールは中堅・中小企業にとって手頃な価格であり、個別業務部門のソリューションを全社レベルに変換する機能も備えている。アプリケーション連係プロジェクトで頼りになるのはこういったベンダーだ」とリーマン氏は話す。
連係サービスプロバイダーを利用するに当たって注意しなければならないのは、連係規模、データ量、ユーザー数などによって価格設定が変化することだ。「プロバイダーの価格体系が自社の予算に合っているか注意しなければならない」とリーマン氏は話す。
リーマン氏は「いずれ多くのSaaSベンダーが連携機能を強化するだろう」と予測する。ルロー氏は、その時期が1日でも早く来ることを望んでおり、「クラウドプロバイダー各社が連携をアドオン機能と見なし、標準機能として提供してこなかったのは怠慢だ」と批判する。
「ほとんどのITプロジェクトでは連係が必須要件であるのに、連係ソリューションをサードパーティーに任せるというのでは、ユーザーの要求に応えているとはいえない」とルロー氏は語る。「SaaSベンダーは、ユーザーにサードパーティーのツールを買わせるのではなく、苦労をいとわずに自分たちで連係機能をユーザーに提供すべきだった」
連携システムを確立し、アプリケーション、ミドルウェア、連係ミドルウェアをバンドル(iPaaS:インテグレーションPaaS)として提供しているプロバイダーの例として、ルロー氏は米Workdayを挙げている。米MicrosoftもWindows Azureに連係機能を含めると同氏は予想する。
クラウドアプリケーションの連係に対する障害を取り除くには、DevOps(開発と運用の障壁をなくすプラクティス)を通じて、場当たり的な方策から全社的なプラクティスに転換する必要がある。「連係実現に向けた原則を確立しなければ、絶えず変化するアプリケーションポートフォリオを管理することはできない」とルロー氏は語る。
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