端末内へのデータ保存を禁止したり、接続できるWebサイトを限定することで、スマートデバイスの業務利用を安全にする「セキュアブラウザ」。最新の製品動向をまとめた。
スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスから、グループウェアをはじめとする業務アプリケーションを安全に利用したい。業務に関係ないWebアプリケーションや危険なWebサイトの利用を禁止したい。こうしたニーズに応える製品が「セキュアブラウザ」だ。私物端末の業務利用(BYOD)のセキュリティ対策として、ベンダー各社がアピールし始めた。本稿は、セキュアブラウザ製品の最新動向を示す。
Webブラウザの基本機能を備えつつ、セキュリティを強化したのがセキュアブラウザである。セキュアブラウザ製品は、「データ保存禁止型」と「フィルタリング型」に大別できる。現在主流なのは、データ保存禁止型のセキュアブラウザである。
データ保存禁止型のセキュアブラウザは、端末にデータを残すことなく、業務アプリケーションを利用できるのが特徴だ。データは端末内のキャッシュに一時的に格納し、ストレージには格納しない。キャッシュ内のデータは、セキュアブラウザの終了時に自動消去する。一定時間端末を操作していない場合に、セキュアブラウザを自動的に終了させる機能を持つ製品もある。
多くのセキュアブラウザは、日本マイクロソフトの「Microsoft Exchange Server」や日本アイ・ビー・エム(日本IBM)の「IBM Lotus Notes/Domino」といった主要なグループウェア製品への接続機能を持つ。一部のセキュアブラウザは、自社開発のグループウェア用のクライアントアプリケーションとしてのみ利用できる。OSKが同社のグループウェア製品「eValue NS」のオプションとして提供するセキュアブラウザ「eValue NS モバイルオプション」などだ。
フィルタリング型のセキュアブラウザは、URLフィルタリングといったフィルタリング機能を備え、接続先を業務アプリケーションに限定するといった運用が可能だ。接続を禁止したいURLを指定してブロックするブラックリスト方式と、許可したURLのみ接続可能にするホワイトリスト方式があり、製品によっていずれか一方、または双方の機能を持つ。
ブックマークやキャッシュ、Webサイトの閲覧履歴といったデータの保存を制限する機能を持つ製品も登場している。テキストや画像のコピー、スクリーンショットの保存を防止するといった情報漏えい対策機能を持つ製品もある。
従来型携帯電話(フィーチャーフォン)向けに販売されてきたセキュアブラウザ。現在は、企業利用が進むスマートデバイス向け製品が急速に充実し始めた。
最近は、BYODのセキュリティ対策として、セキュアブラウザを活用するユーザー企業が増えつつある。業務アプリケーションをセキュアブラウザから利用させることで、個人端末に影響を与えることなくBYODを実現するためだ。こうした動きに、セキュアブラウザベンダー各社も機能強化で応えている。
セキュアブラウザへのモバイルデバイス管理(MDM)機能の搭載が進みつつある。セキュアブラウザだけではカバーできない端末の盗難/紛失時の情報漏えい対策をしたり、セキュリティポリシーの適用でセキュアブラウザの利用を強制したいというユーザー企業の声の高まりに応えた動きだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
クラウド利用が当たり前となった今日、セキュリティ対策もまたクラウド環境に適したものでなくてはならない。とはいえ、大量のデータポイントが生成されるクラウド領域にあって、その全てのポイントを網羅するのは並大抵のことではない。
ビジネスでのAPI利用が進むにつれ、そのAPIを標的としたサイバー攻撃も増加している。それらに対抗するためには、「シャドーAPI」や「ゾンビAPI」を洗い出し、セキュリティ対策を徹底する必要がある。その正しい進め方を解説する。
ある調査で企業の61%がセキュリティ優先事項のトップ3に挙げるほど、重要度が高まっているアイデンティティー管理・保護。その中で昨今注目されているのが「IGA」というアプローチだ。そのメリットや、導入方法を解説する。
DX推進によってさまざまなビジネスシーンでデジタル化が加速しているが、そこで悩みの種となるのがセキュリティの担保だ。リソースやコストの制限も考慮しながら、DXとセキュリティを両輪で進めるには何が必要になるのか。
サイバー攻撃が巧妙化し、セキュリティチームとSOCは常に厳戒態勢を取り続けている。さらにデジタルフットプリントの拡大に伴い、セキュリティデータが絶え間なく往来する事態が生じている。このような状況に対応するには、SOARが有効だ。
数分でデータを人質に 進化するランサムウェアに有効な「第2世代EDR」とは (2025/3/4)
クラウドサービスの脆弱性をどう解消する? 安全な開発環境を構築するヒント (2025/3/4)
「複雑、高額、難しい」を変える中堅・中小向けSASEのメリットを解説 (2025/2/10)
「Box」に移行してもなくならない「お守り仕事」を根本から効率化するには? (2025/1/23)
これからのセキュリティ対策に必要な「防御側の優位性」、AIはどう実現する? (2025/1/22)
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...