オンラインゲーム会社のKing.comは、ビッグデータに対応するためMySQLデータベースをClouderaのHadoopディストリビューションに置き換えた。
スウェーデンの無料のオンラインゲームサイト「King.com」は、主にFacebookから流入するビッグデータに対応するため、データアーキテクチャを刷新した。
世界最大のカジュアルソーシャルゲームサイトであるとうたうKing.comは、2003年に設立。『Bubble Witch Saga』や『Candy Crush』などのゲームを提供している。6000万の登録ユーザーを擁し、毎月のゲームプレイ回数は50億を超えるという。
King.comは150タイトル以上の無料ゲームを取りそろえ、ブーストやライフ追加などゲーム内商品と広告売上から収益を得ている。
同社のデータウェアハウス担当ディレクターであるマッツォロブ・エリクソン氏は、Facebookのゲームから流入するデータ量が増大し、それまで使っていたMySQLデータベースでは対処できなくなったと説明する。1日当たり100万ユーザーなら十分に対処できていたが、2012年末までにKing.comのユーザー数はその10倍に膨れ上がっていた。また、スピードの問題もあった。「MySQLでは、仕事にならないほどの待ち時間が必要になる。カラム1つを追加するのにも時間がかかる」とエリクソン氏は言う。
エリクソン氏は、デジタルマーケティングからオンラインゲームまで、オンライン環境でのアナリティクスとデータアーキテクチャの経歴を持つ。King.comの各事業部門のデータストレージとデータ処理を管理し、アナリティクスを円滑に実行するための環境を保守している。エリクソン氏率いる開発者チームは、Hadoopベースのデータウェアハウスを構築している。
ある程度の評価をした後、エリクソン氏のチームは2012年に米ClouderaのHadoopディストリビューションを導入した。そのおかげで、ゲームの利用パターンと嗜好、特定のゲームにおいてユーザーが次のステージに進む、あるいは行き詰る状況など、ゲーム中の動作について洞察が得られているという。「レベルごとに失敗した割合や、よい意味でどのレベルが難しいかといった情報をチェックしている」とエリクソン氏は説明する。
King.comのアナリティクスチームは、さまざまなツールを駆使している。リポート作成にはQlikViewを、データの照会にはApache Hiveを利用し、オープンソースの統計プログラミング言語「R」を採用している。また、SASの統計ソフトウェアとIBMのSPSSも導入している。
King.comではClouderaのリアルタイムクエリエンジン「Impala」を2103年末までに導入する見通しだが、エリクソン氏は“リアルタイム”という言葉を額面通りには受け取っていない。
「あの言葉(“リアルタイム”)はあまり好きではないのだが」と前置きをしつつ、「さらにデータウェアハウスにリアルタイムに近いスピードでデータを送り込めるようになり、ユーザーエクスペリエンスも改善されるだろう。その結果、ゲームの機能に問題があった場合、今よりも早く対応できる」と話す。
エリクソン氏は、いま流行のデータサイエンスの誘惑にも負けない。
「誰も彼もが、データ処理の魅力はそれしかないような口調で、データサイエンスについて話している。データの保守はやぼったく思えるかもしれないが、こちらの方がよっぽど重要だ。全てはそこから発生するのだから」
「大量のデータを扱う業界では、縁の下の力持ちになることに関心を持つアーキテクトがもっと必要だ。誰もが統計・分析をやりたがるが、私は人を支えることを考える人物に愛情を感じる。それのどこがいけないのだろうか?」
本記事は抄訳版です。本記事の全訳版は、TechTargetジャパン会員限定で無償公開している「Computer Weekly日本語版 2013年4月17日号」(PDF)で読むことができます。同PDFは、
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■セキュリティの未来はビッグデータ対応にあり
■MySQL→Hadoop 移行でビッグデータの威力を引き出すゲームサイトKing.com
■大規模IT 刷新プロジェクトを率いるリーダーの心得とは?
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といった記事で構成されています。
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