仮想サーバ用のストレージを改善する10の方法(後編)
“ストレージハック”――仮想環境をパワーアップする裏技
予算が抑えられている状況でも、多少投資をして新しいストレージを購入し、仮想インフラのパフォーマンスを向上させなければならない場合がある。
使用しているストレージが仮想マシン(VM)に対して最高の入出力(I/O)パフォーマンスを発揮していることを保証するのに役立つ10通りの方法を紹介する。「VAAIまたはODXへの対応」「スナップショットの制限」など5つの方法を解説した前回「“ストレージハック”――仮想環境を最大限に生かすには」に続き、今回は残り5つの方法を取り上げる。
1. シックプロビジョニングかシンプロビジョニングか
VMの仮想ディスクでシン(Thin)プロビジョニングが利用できると、非常に便利だ。私のラボの環境は、ずっとシンプロビジョニングで運用している。ただし、仮想化レイヤーと物理ストレージアレイのシンプロビジョニングの計画と管理には十分な注意が必要だ。シンプロビジョニングのほとんどの問題は、単純に物理的なストレージ領域が足りなくなることによって発生する。
しかし、ディスクアレイがVAAI(vStorage APIs for Array Integration)に対応していなければ、シンプロビジョニングで構成している仮想ディスクのサイズを拡張する必要が生じると、パフォーマンスの低下を招く恐れがある。このような場合は、VM側のディスクにシック(Thick)プロビジョニングを使用して、ストレージアレイではシンプロビジョニングを使えばよい。シックプロビジョニングとは、従来通りの物理ディスクのプロビジョニングのことで、具体的にはLazy Zeroed Thickタイプのディスクを指す。
2. 仮想化対応のストレージ
最近発売されたストレージアレイの中には、「仮想化対応」をうたっているものがある。仮想化対応というのは、稼働しているVMとSAN(Storage Area Network)/NAS(Network Attached Storage)上の仮想マシンディスクファイル(VMDK)へのパスをストレージがVMware vCenterに問い合わせることで、ストレージがこれらの情報を把握していることを意味する。
このやりとりは、仮想化サーバの管理者にとってもストレージの管理者にとっても多くの利点がある。例えば、「どのVMが最も多いIOPSを発生させているか」「どのVMが最大のストレージI/Oレイテンシに遭遇しているか」などを調べることができる。仮想化対応のストレージシステムの一部には、VMごとのスナップショットとクローンを提供できるものがある。使用中のストレージアレイを即座に仮想化対応のものに入れ替える必要はないが、将来のプロジェクトで検討したり、使用中のストレージの購入元に問い合わせて、そのメーカー製品が将来のバージョンで仮想化対応の計画があるか、または類似機能が追加されるかどうかを調べたりする価値はある。
3. パーティションアライメント
VM内で稼働しているのが、パーティションのアライメントが調整されない古いOSである場合、パフォーマンスの問題が発生することがある。ただし、Windows Vista、Windows 7およびWindows 2008(またはそれ以降のOS、例えばWindows 8やWindows 2012)であれば、この問題は起こらない。仮想化対応のストレージの中には、OSの種類に関係なく、自動的にVMDKを連係させられるものがある。しかし前述のバージョンよりも古いOSを使用している場合は、VMDKと仮想マシンのファイルシステム(VMFS)およびSANのLUNとの適切なアライメントを検証する必要がある。
Windows VistaおよびWindows 2008より古いOSで、パーティションアライメントを検証するには、無償のUberAlignや有償のvOptimizer Proなど、幾つかのツールが利用できる。
4. ストレージのI/O管理
1つのストレージを複数の仮想ホストで共有している場合は、I/Oの多いアプリケーションがストレージを占有していないこと、または他の重要なアプリがI/Oを要求していないことを確認する必要がある。VMwareの「vSphere Storage I/O Control」にはこの機能があり、VMFSデータストア上でチェックボックスを1つだけオンにすれば、この機能が有効になる。
5. ストレージ分散リソーススケジューラー
VMwareの分散リソーススケジューラー(DRS:Distributed Resource Scheduler)がCPUとRAMで実行している機能を、ストレージ分散リソーススケジューラー(SDRS:Storage Distributed Resource Scheduler)ではストレージに対して実行する。データストアの処理速度が極度に遅くなっているか、ディスクスペースの利用度が極端に高い場合は、SDRSを利用すると、データストア間の仮想マシンディスクの移動を(ダウンタイムなしで)実行できる。使用中のストレージから、「VMware vStorage APIs for Storage Awareness」(VASA)を利用してvCenterと通信できることを確認すれば、vCenterがストレージの能力を特定し、SDRSが円滑に稼働して、ストレージに一時的な問題が発生するのを防止する。
ここまでの方法が全て役に立たなかった場合は?
どの部門でも予算が抑えられている状況とはいっても、多少投資をして新しいストレージシステムを購入し、仮想インフラのパフォーマンスを向上させなければならない場合がある。ディスクのLUN上で稼働する50超のVMの、仮想インフラに対するI/Oの負荷は、サーバとディスクLUNを1対1でマッピングしていた時代のそれとは全く異なる。新しいストレージでは、パフォーマンスが向上できるばかりでなく、仮想化対応のストレージ、ハイブリッドストレージ、VAAI、VASAなどパフォーマンス以外の機能も加わっている。
仮想化は、データセンターでは新しい価値観である。VMを統合する場合は、ストレージを再検討して、構成も見直す必要がある。
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