SSDを利用してVDIのブートストームを回避する(後)
仮想デスクトップ環境のROI最適化にSSDを活用
SSDは仮想デスクトップ環境で発生する大きな問題の1つに対処するための優れたソリューションを提供する。その導入においては過度に高価だったり、複雑である必要もない。
多数のユーザーが同時にシステムにログインするときに発生する大幅な速度低下を指す「ブートストーム」。この問題への対策は幾つかあるが、最も合理的な方法は「ソリッドステートドライブ(SSD)を効果的に活用すること」だ。前回の「仮想デスクトップ一斉起動時の速度低下を解消するSSD」に続き、SSDを活用したブートストーム対策の具体例を紹介する。
方策A:特定のファイルをSSDに置く
ブートストーム対策にSSDを利用する方法は幾つかある。その1つは、仮想マシン(VM)のマスターイメージと複製を保存するのにSSDストレージのプールを利用するという方法だ。Linked Clone(VMwareの機能)やMachine Creation Services(XenDesktopの機能)を仮想デスクトップ環境(VDI)で利用する場合、ベースイメージは全てのデスクトップVMが共有する一元的なリードオンリーディスクとして実装される。これは、配備されるデスクトップOSのマスターコピーだ。ベースイメージに対する変更を保持するために、書き込み対象となる個々のスナップショットがVMごとに保存される(関連記事:企業にうってつけのデスクトップ環境を実現するVDI)。
デスクトップVMが起動プロセス中のディスク動作は、OSとアプリケーションのファイルの大部分が保存されているベースイメージからの読み出しが中心となる。このため、ベースイメージとその複製をSSDストレージに保存することで、ブートストームを回避することができる。個々のVMスナップショットは全て、安価なSASまたはSATAストレージに保存すればいい。
方策B:SSDをキャッシング層として利用する
ブートストームに対処するためのもう1つの手段は、SASまたはSATAドライブで構成された低速なストレージプールの前に高速なSSDを置き、これをキャッシング層として利用するというものだ(関連記事:SSD利用形態の2つの選択肢──キャッシングかプライマリストレージか)。
米FalconStorはそのようなソリューションとして「NSS SAN Accelerator for VMware View」を提供している。これはSSDディスクを組み込んだアプライアンスで、ホストとそのストレージ装置の間に置かれる。同製品はキャッシング層として機能し、全てのストレージI/Oはこれを経由してバックエンドのストレージ装置に到達する。このキャッシングアプライアンスは、頻繁に使用されるディスクブロックを特定し、そのデータを自動的にキャッシュに格納する。その結果、これらのデータは低速なバックエンドストレージではなく高速なSSDから読み出される。必要に応じて高いI/O要求に合わせて動的に調整を行う機能を備えており、VMベースイメージなどの共通データをキャッシングすることによりブートストームを回避する。
言うまでもなく、こういったソリューションは設計段階で組み込んでおくことが望ましい。今日、性能特性が異なるドライブ群をサポートするストレージ階層化機能を備えたストレージ装置が数多く出回っている。これらの製品は、ブートストームの結果として生じる既存ストレージのI/Oボトルネックを解消する手段として利用することも可能だ。少数のSSDストレージを追加することで、既存の低速なストレージ階層からSSDストレージにVMのベースイメージを移し替え、ブートストームで発生する高いI/O要求を処理できる。既存のインフラにFalconStorのアプライアンスを追加するというのは、手っ取り早い対策だといえる。既存のホストとストレージ装置の間にはさむだけでよく、労力や修正はほとんど必要としないからだ。
SSDの規模を決める
SSDをストレージの1階層として配備するに当たっては、ブートストーム時に発生するピークI/Oを処理するためのSSDの規模を正しく見積もることが重要だ。何台のSSDを購入すべきかを決めるには、仮想デスクトップが発生するI/Oの最大量を算出しなければならない。標準的な環境に基づく推定値を用いるという手もあるが、環境はそれぞれ異なるので、パフォーマンスアナライザーツールを使って既存の物理デスクトップ上の実際のI/Oを測定するのがベストだ。
こういったツールとしては、米Lakeside SoftwareのVDI評価ツール「SysTrack」などがある。ホスト上の仮想デスクトップの数(例えば500)に、デスクトップの起動時に発生する標準的なIOPS(例えば60)を掛け合わせると、全てのデスクトップが同時にログインした場合に発生するIOPSの総数が求められる(この例では500×60=3万)。全てのデスクトップが同時にログインする可能性は低いため、この値をもう少し低くしても構わないだろう。しかしIOPSを低めに見積もるよりは、多めに見積もる方が無難だ。
IOPS要件が確定したら、それに応じたSSDストレージ階層の規模を決定する必要がある。1台のSSDで5000IOPSを処理できるのであれば、6台で3万IOPSを処理できることになる。これらはあくまで一般的な数値だ。自社の環境に適切な規模のソリューションを導入するには、要件の評価を適切に行い、ストレージベンダーの協力の下でこれらの要件に合致するSSDソリューションを実装する必要がある。
ブートストーム問題を防止、解決するための方策は、過度に高価である必要もなければ、複雑である必要もない。そしてSSDは、仮想デスクトップ環境で発生する大きな問題の1つに対処するための優れたソリューションを提供する。VDIプロジェクトの実施には高いコストが掛かる可能性があり、VDIのROI(投資対効果)はサーバ仮想化のROIとは同じではないため、VDIのための予算を獲得するのが困難な場合も多い。
しかしSSDを低コストのストレージと組み合わせることで、プロジェクトのコストを低く抑えながら、ブートストームに対応するのに必要なパフォーマンスを実現することが可能になる。ストレージシステムを適切に構築すれば、ユーザーにとってストレージシステムがボトルネックになるのを心配せずにVDIがもたらす恩恵を享受できるのだ。
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