2014年は“ウェアラブルガジェット”が本格化
スマートウオッチが命を守る 医療業界が注目する心拍数計測の可能性
心拍数の計測機能を搭載した腕時計やスマートフォンが普及している。運動中や睡眠時など常に心拍数を計測する行為が習慣化したことで、今後の医療を大きく変える可能性が生まれ始めている。
ジムでエクササイズに励むとき、あるいはランニングに出掛けるとき、世の多くの人々と同様、筆者も心拍モニターを身に着け、運動量やフィットネスレベルのデータを計測している。ヘルスケア技術ベンダーは、そうした自分の運動量を計測したいという一般の人々の欲求に気付いた。心拍数モニター機器は、もはや心臓病専門医だけのものではない。それらは今、腕時計やウェアラブルタイプのフィットネストラッカー、ブレスレット、あるいはスマートフォンなど、さまざまなコンシューマデバイスに組み込まれつつある。
主流となっているのが、常時心拍数の計測機能とアクティブトラッカーを組み込んだスマートウオッチだ。独adidasの「miCoach SMART RUN」はGPSに対応したランニングウオッチで、心拍数を計るための胸ストラップが苦手なアスリート向けに心拍モニターを内蔵する。韓国Samsungのスマートフォン「Galaxy S5」にも心拍モニターが組み込まれている。また「Samsung Gear Fit」は、腕時計型のアクティビティトラッカーで、カラー画面と常時心拍モニターを搭載する。
果たして医療機関側は、こうしたデバイスが供給する心拍データを活用する態勢が整っているだろうか? ここでは、常時心拍モニタリングが、個人の健康に関する有益な情報を提供する一般的なユースケースを取り上げる。
睡眠
われわれの身体は睡眠中、休息している。その間、心臓もスローダウンするため、平均的な人々の心拍数は低下する。しかし、どれくらい低くなるのが正常なのだろう? 心拍数の上昇、あるいは顕著な変動は、閉塞性睡眠時無呼吸などの病状を検知できるだろうか?
睡眠中の心拍数は、心筋梗塞などのリスクを抱える人々の健康状態をチェックする手段になり得る。心臓発作が起きる率は、午前1時から5時までの間がその他の時間帯より5、6倍高い。睡眠中、継続的に心拍データを収集し、それを適正な方法で管理することができれば、われわれが手にする自分自身の健康に関する情報量は、医学界を圧倒するようになるだろう。
エクササイズ
真夜中に発生する心臓発作の予兆を検出できるだけでなく、常時心拍数計測デバイスは人々のエクササイズを安全かつ効率的なものにしてくれる。多くのプロフェッショナルアスリートが、トレーニングの一環に心拍モニタリングを取り入れる理由は、そこにある。エクササイズ時の心拍情報は、運動量のレベル調整や負荷のキャパシティー、トレーニング後の回復状態などの判断に役立つ。エクササイズによって身体能力が向上すれば、より低い心拍数で同等の運動量を維持することが可能になる。アスリートたちは通常、高レベルの循環器系フィットネスに体を適応させているため、静止時の心拍数は一般的に低くなるという。
心臓病と発作
診断未確定の心臓病を持ち、いつ心臓発作が起きてもおかしくないような健康状態であるにもかかわらず、本人が何も気付かずに生活しているというケースは少なくない。常時心拍モニタリングデバイスを身に着けることにより、心臓病のリスクに気付いていない人々も、心臓発作のリスクを示すパターンを発見できる可能性がある。
一部の心拍モニターは、異常な鼓動パターンや不整脈を十分正確に検知できる感度を持つ。しかし、そうしたことをメーカーが大々的に宣伝すると、医療機器として分類され、FDA(米食品医薬局)の厳格な規制下に置かれることになる。そのため、ほとんどのメーカーは自社のデバイスがいかに高性能なものであるとしても、その事実をにおわすことすらしないだろう。それでも、このデバイスの価値は計り知れない。なぜなら、心臓病のリスクを明確に認識している人々は、一層注意深く診療を受けるようになるに違いないからだ。適切な診断と精密検査を受けることで予防的治療が可能となり、心臓発作のリスクを大きく低減できるだろう。
さて、こうした常時心拍モニタリング機器に対して、世の中は準備できているだろうか? 各方面の予測によると、2014年はウェアラブルガジェットの年になるという。既にウェアラブルのアクティビティトラッカーは、多くの人々から幅広い支持を集めている。この分野の進化は、歩行や運動などの範囲を超え、バイオメトリクス計測へと向かっている。心拍数の常時計測は、医療界の直面するビッグデータへの対応をさらに加速させるだろう。しかし重要なことは、心拍情報を解釈するインテリジェントなアルゴリズムが、究極的には健康管理や疾病予防の戦略を大きく変える可能性を示しているということだ。
本稿筆者のジョセフ・キム博士は医療科学技術者で、医療ITを公衆医療の改善に活用する取り組みを進め、ソーシャルメディアのスペシャリストとしても活動している。非臨床医師向けのNonClinicalJobs.comの創設者。
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