AWSでは「AWS Elastic Load Balancing」(ELB)でロードバランシングサービスを提供している。AWS Marketplaceを利用してオンプレミスでも利用されている米F5 Networksの「BIG-IP」なども利用可能だが、圧倒的にELBを利用するケースが多い。なぜならば、ELB自体が負荷に応じてキャパシティーを自動増減することが圧倒的な魅力であるからだ。ELBの特徴について以下にまとめた。
サービス名 | 提供タイプ | 適用ネットワーク | 金額 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
ELB | 共用 | ・インターネット経由のリクエストを処理 ・プライベートネットワーク経由のリクエストを処理 |
有償 | ・SSL終端可能 ・オートスケールとの連動 ・スケーラブル(ELB自体も負荷に応じてキャパシティーを自動増減) ・従量課金 ・マネージドサービス ・豊富な連係可能(Auto Scaling、Route 53、Cloud Formationなどと連係) |
一方、SoftLayerではオンプレミスの考え方に近く、性能ベースでの提供となる。また、専用サーバで提供されるサービスもあり、通信ログの取得や安定したパフォーマンスが期待できる。
SoftLayerが提供するロードバランサーの特徴については、以下にまとめた。
サービス名 | 提供タイプ | 適用ネットワーク | 金額 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
Local Load Balancer | 共用 | インターネット経由のリクエストを処理 | 有償 | ・同時コネクション数で選択 ・SSL終端可能 ・オートスケールとの連動 ・マネージドサービス ・月額課金 |
Local Load Balancer 専有モデル | 専用 | |||
Local Load Balancer HAモデル | 専用 | |||
Citrix NetScaler | 専用 | ・インターネット経由のリクエストを処理 ・プライベートネットワーク経由のリクエストを処理 |
有償 | ・スループットで選択 ・SSL終端可能 ・アプライアンスと同様の専用GUIで操作が可能 ・月額課金 ・HA構成可能 ・Global Server Load Balancing(GSLB) |
ネットワークサービスにおいてAWSは、バックエンドの仕組みはブラックボックスな部分もあるが、スケーラビリティや可用性をサービスの中に組み込んで提供している点が特徴といえる。
一方、SoftLayerはオンプレミスの考え方に近く、従来のシステム形式を踏襲した構成が取りやすい。自社にインフラエンジニアがいる場合は理解しやすく、使いやすいプラットフォームといえる。
サービスとして組み込まれているもので十分な場合はそれを活用すれば良いが、そうでない場合はライセンスの持ち込みを検討する必要がある。クラウドを選定する際には、ネットワークサービスの提供方法や特徴を理解した上での検討・選定をお勧めしたい。
次の最終回では、ネットワークデータ転送量課金の仕組みとコストについてAWSとSoftLayerを比較する予定だ。
ネットワーク、セキュリティを中心とした公開系システム基盤の提供やMSPビジネスに従事。
2012年ビットアイルのグループ会社であるビットサーフに入社。プリセールスやプロジェクトマネジメントが主な業務。
クラウド推進の啓蒙活動として、日本SoftLayerユーザーグループ、JAWS-UGなどのコミュニティーにも参画。
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