Bluetooth SIG責任者が今だから語る、Bluetooth 5仕様の真実Bluetooth 5仕様策定の真意とは?

対応機器も発表され、普及への一歩を踏み出したBluetooth 5。その仕様やセキュリティ、IoTでの利用について、Bluetooth仕様の推進団体で開発者プログラムの責任者を務めるヘーゲンデルファー氏に聞いた。

2017年06月13日 08時00分 公開
[David McClellandComputer Weekly]

 「Bluetooth」はほぼ全ての面で成長している。2000年代初期のストレスがたまるハンズフリーから、未来につながる柔軟なIoTプラットフォームへと進化している。

 Bluetooth 5は、ユビキタスワイヤレス標準の最新バージョンだ。Bluetooth SIG(Bluetooth仕様の推進団体)は、2016年12月にBluetooth 5にゴーサインを出し、最初の互換機器が「2〜6カ月以内」に提供される可能性があることを示唆した。それから約3カ月後、Samsung ElectronicsがBluetooth 5をサポートする最初のスマートフォン「Samsung Galaxy S8」を正式発表した。

 Bluetooth 5は接続した機器に何をもたらすのか。Bluetooth 5はIoTを展開する開発者をどのように支援するのだろうか。メッシュネットワークが仕様に含まれないのはなぜなのか。Inspect-a-Gadget(Computer Weekly内ブログ)は、Bluetoothチームのメンバーにインタビューし、Bluetooth技術の最新バージョンの実情に迫った。

3倍の仕様

 Bluetooth 5のヘッドラインは、前世代のBluetooth 4.2と比較して次のようにまとめられている。

  • 速度が2倍
  • 範囲が4倍
  • スループットが8倍

 われわれは、マーケティング資料に切りのよい数字がある場合、特に絶対値がないときは疑い深くなる傾向がある。Bluetooth SIGで開発者プログラムの責任者を務めるスティーブ・ヘーゲンデルファー氏は次のように説明する。

 「Bluetooth 5には、チームメンバーが長い間求めてきた進化が含まれている。それは、帯域幅の向上、範囲の拡大、パケットサイズの増加だ。速度は分かりやすく、1Mb/sが2Mb/sになった」(訳注)

訳注:次のパラグラフで説明されている通り、ここの「Mb/s」は厳密には「Mbps」を意味しないため、「Mb/s」とした。

 同氏によると、実際には1秒当たり1Mbitではなく、1秒当たり1Mシンボル(訳注)だが、目安としては基本的に変わらないという。「ただし、2つは同時に成り立たない。範囲を4倍にすれば2Mb/sにはならないだろう」と同氏は続ける。

訳注:シンボルはデータの変調信号の単位。

 範囲を4倍にすることについては、ヘーゲンデルファー氏は次のように話している。

 「絶対的な範囲はないと考えている。Bluetoothオーディオなら7〜10メートルだ。Bluetooth 4 LEの実効範囲は約100メートルだが、通信状態が良ければさらに広がる。だが、この範囲はもっと広がる可能性がある。無線状態にもよるが350メートルは可能だった」

 では、Bluetooth 5はどうだろう。「ドローンを使って実験してみたところ、範囲は700メートルを大きく上回った」

広い範囲

 ヘーゲンデルファー氏が話したテストは、チップセットメーカーNordic Semiconductorが実施した。同社のチームがトロンハイムの丘からBluetooth 5で制御するドローンを飛ばし、信号がどこまで届くかを測定した。以下がそのときの動画だ。ドローンの操縦者の様子が見ものだ(最初の1分は早送りがお勧めだ)。




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