「Slack」などの企業向けメッセージングアプリを成功裏に導入するためには、シャドーITとコラボレーションのサイロ化(孤立化)を防ぐため、メッセージング戦略の中心にエンドユーザーを据える必要がある。
メッセージングアプリを利用する企業は増えている。だが、さらなる普及のためには、まず、これらをカジュアルなコミュニケーションツールと見なす企業文化を打破する必要がある。
企業は一般的に、メッセージングアプリを本格的なワークフローアプリケーションとしては考えていない。ところが、「Slack」のような企業向けメッセージングアプリが人気を集めたことで、従業員間のコミュニケーションの取り方に大きな変化が訪れている。若い世代の従業員間では、SMSとチームコラボレーションツールからチャットbotまで、企業向けメッセージングアプリが、好まれて使用されるコミュニケーションの手段となってきている。
カナダの調査会社J Arnold & Associatesのユニファイドコミュニケーションアナリスト、ジョン・アーノルド氏は、メッセージングソフトウェアの登場について、「現状に対する大きなプレッシャーとなっている」と述べる。
企業向けメッセージングアプリの使用は、電子メールの遅さに不満を持ったユーザーに対処するための方法と捉えられている。固定電話の使用が減少し続ける中、メッセージングアプリは、より迅速かつ簡単にコラボレーションの機会を提供する。
組織にとって、メッセージングアプリの使用が社内全体のコミュニケーション戦略に、どのように合致するのかを決定することが鍵となる。例えば、メッセージングアプリの使用はコラボレーションプラットフォームを補完するものとなるのか、それともメッセージングアプリの使用を中心にコラボレーションが構築されるのかといったことだ。
大多数の人は、メッセージングをコンシューマー向けアプリの観点から理解しているが、IT部門のリーダーはメッセージングのビジネス価値を判断するために、そうした考え方から脱却する必要がある。
アーノルド氏は、IT部門のリーダーと各事業部が第1に、組織のバリューチェーン上における社内メッセージングの位置付けを知らなければならないと述べている。「メッセージングをカジュアルで楽しいものだと考えるなら、高い価値があるとは受け止めないだろう」(アーノルド氏)
そのような考え方に対抗するため、IT部門のリーダーは社内メッセージングの利用を他のワークフローのチャネルと同様に扱う必要がある。組織が規制産業に属する場合、リーダーはコンプライアンスやセキュリティ、そしてプライバシーの問題を熟知している必要がある。従業員がメッセージングアプリを介して患者記録や銀行情報などの機密情報を共有する可能性があるからだ。
「社内メッセージングは規則に合ったチャネルであり、そのように扱われる必要がある。カジュアルに見えるので、この点は簡単に見落とされている」とアーノルド氏は語る。
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