過剰にリスクを並べ立てて人々の恐怖をあおるセキュリティ企業がある。ユーザー企業は、恐怖戦略に耳を貸すことなく、信頼できるサプライヤーと正しくリスクに向き合う必要がある。
「FUD」は、Fear(恐怖)、Uncertainty(不安)、Doubt(疑念)を表す略語だ。このFUDが近年のサイバーセキュリティ分野をかつてないほど曖昧にしている。企業やサプライヤーがこの言葉の持つ力に飛び付いて、恐れを感じている顧客に自社製品を売り込むチャンスにしているためだ。
これに関する大きな問題は、顧客や企業(従業員)が絶え間なく殺到する異様なクレームや異様な恐怖にマヒすることだ。残念ながら2019年は、確実に「FUDへの疲弊」を目にすることが多くなるだろう。
サプライヤーによるFUDの利用は意思決定のプロセスを弱体化し、考え抜いたサイバー戦略を台無しにする。今四半期の販売員のノルマがどうであれ、FUDは顧客を怖がらせて購入させるひねくれた策略にすぎない。
企業にとっての最大のサイバーリスクは、ブロックチェーンを使って攻撃的なAI駆動型の量子ウイルスを駆使する中国のウィザードクラスのハッカーが最高財務責任者(CFO)をハッキングすることではない。
会計チームの一員が、義務付けられた機密保持トレーニングを7カ月前に受講したにもかかわらず、フィッシングメールのリンクをクリックしてしまう方がリスクだ。厳しい期限が迫る中、開発チームの誰かが「GitHub」のコードをコピー&ペーストして、2361行目にリモートシェルが潜んでいることに気付かないことがリスクになる。
サプライヤーは自社製品の機能を誇大に宣伝し、脅威の規模を大きく見せることができる。だが、サプライヤーの行為は結局、顧客の信頼を損なっているにすぎない。信頼を得るには、脅威への対応が相応かつ適切な戦略に基づいていることを顧客に認識させることが不可欠だ。
また、会社の経営幹部や取締役会がFUDにとらわれないことや、脅威自体と自社のサイバー戦略を完全に理解せず、脅威に対して条件反射的に対応しないことも重要だ。そのためには、経営幹部が自社のサイバー戦略を学んで完全に理解し、それを正しく導入するのに必要なリソースをセキュリティチームに提供するしかない。
業界としてFUDを過去のものとし、サイバーセキュリティの優れた実践方法の基本に戻ることが必要だ。クライアントが直面する脅威はどのようなものか。どこからの脅威か。現時点でどのようなセキュリティスキルとプロセスがあるか。それらがどのように機能するか。成功をどのように測るか。こうしたことを問い掛ける。
2019年の主な予測と期待は、まずは、どのような対策を行っても結局はハッキングされることを受け入れ、そうした脅威に対して適切かつ相応の人材とプロセスに投資するようになることだ。恐らく、何らかの新しい製品を購入することになるだろう。だが、サプライヤーから恐怖をかき立てられたから購入するのではなく、情報に基づき、信頼したから購入するのが望ましい。
ちなみに、私は素晴らしい1982年製ポンティアックトランザム(訳注)を持っている。この車は、最高情報責任者(CIO)を打ち負かすためにサイキックマインドハックを既に利用しているのが明白な遺伝子操作された外モンゴル(Outer Mongolian)ハッカーウィザードを打破する目的で、量子ブロックチェーンテクノロジーを活用している。本当だ。
訳注:解説するのはヤボかもしれないが、ポンティアックトランザムは米国のテレビドラマ『ナイトライダー』に登場する「ナイト2000」のベースになった車種。1982年はナイトライダーの放送が始まった年である。
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