Oracleがさかんにアピールする自律型データベースにより、多くの管理タスクが自動化される。それはデータベース管理者の失業を意味するのか。それともデータベース管理者の進化の始まりなのか。
Oracleの自律型データベース機能によって、これまでDBAが実行しなければならなかった面倒な雑用の多くを自動サービスが代行する。そうした雑用には、データベースのパッチ管理、データベースのプロビジョニング、夜間に行う単調でつらい仕事など、開発者が通常業務で行う全てのデータサービス要求が含まれる。
だがそれだけではない。DBAが通常行わなければならない仕事には、スキーマの作成、スキーマの管理、キャパシティープランニング(社内でのアプリケーションのニーズに応えるため、どのデータリソースをいつ利用できるようにするかを把握すること)などもある。パフォーマンスの管理や、データを必要に応じて移動する面倒な作業もある。
Oracle OpenWorld 2019でこのテーマを最初に話題にしたのは、Oracleでマスタープロダクトマネジャーを務めるマリア・コルガン氏だ。これによってDBAがプログラマーを中心とする輪の中に引き込まれることになる。
その結果、古株のかわいそうな(あまり愛されていない)DBAにとっては、その職務が一層アーキテクチャ寄りになることを意味するとコルガン氏は説明する。
面倒なETL(抽出、変換、読み込み)作業の多くは自動的に処理されるようになる。DBAはシステムアーキテクトと連携して、データを適切なタイミングで適切なアプリケーションの適切な場所に配置したり、アプリケーションの実際のビルドを、ビルドを提供するためのデータベースレイヤーサービスに密接に結び付けたりするなど、作業のよりクリエイティブな側面に専念することができる。
「これまでは、データベース管理システムを作成するのに、ビルドをカスタマイズして、ハードウェアとソフトウェアの複雑なスタックを手動で管理する専門家チームが必要だった。システムがそれぞれ特有なので、このやり方はスケールメリットが少なく、企業に競争力を与えるために必要な俊敏性に欠ける」(コルガン氏)
コルガン氏はOracleのアプローチを紹介した。このアプローチでは、自律型の制御を使って高パフォーマンスのトランザクション、レポート、バッチ処理などの複雑な作業を安全に実行できることを目的とする。
以前のDBAは、運用環境での稼働中に起こり得るあらゆる不測の事態に備えて、「最悪の事態+10%」をプロビジョニングすることでスケーラビリティの問題に対処してきた。だがOracleの自律型データベース管理へのアプローチは、この種の職務も自動的にスケール変換される。
「Oracle Autonomous Database」には、オンライントランザクション処理とデータウェアハウジングの具体的な要件を満たすように最適化された2つのバージョンがある。
どちらのバージョンも、人為的ミスと手動管理に対処するため、機械学習を用いて自動化を促す。
同社は「Oracle Autonomous Transaction Processing」サービスによって、リアルタイム分析、パーソナライズ、不正検出などを行うアプリケーションの開発と導入が非常に簡単になるとしている。また自動キャッシュ、適応型インデックス作成、高度な圧縮、最適化したクラウドデータ読み込みを促進し、比類のないパフォーマンスを発揮する統合型機械学習アルゴリズムもある。
とはいえ、DBAが不要になるわけではない。また、システム管理者の職務はデータベース担当者と連携することが多いが、DBAの職務がシステム管理者の職務と完全に重複するわけでもない。
コルガン氏が熱心に伝えるように、DBAにとっては職務にデータプログラミングアプローチをさらに取り入れるチャンスになる。細分化された職務に嫌気が差してエンタープライズデータベース構造に引き付けられた元開発者(コルガン氏の独白)だからこそ分かることなのだろう。
DBAは大きく変わろうとしている。それに慣れてほしい。
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