Oracleのマーク・ハードCEOは、Oracle Databaseの自動化によってデータベース管理者は全員失業すると言い放った。現実問題として、データベースはそこまでの自動化を実現しているのだろうか。
データベース管理には、自動化の候補になる機能が幾つかある。ストレージのパーティション分割、ドライブ障害への対処、データを物理ドライブに格納する必要性の判断といった基本的な仕事がその例だ。ソフトウェアの進化により、こうした数多くの必須作業の幾つかはコンピュータが対処できるまでになり、人手の介入をあまり必要としなくなっている。だが、こうした自動化は自律型データベース管理とは異なるものだ。
本誌は最近、Couchbaseで製品およびエンジニアリング部門のシニアバイスプレジデントを務めるラビィ・マユラム氏に話を聞いた。同氏は、データベース管理の現状を自動車のトランスミッション(変速機)に例えた。
「オートマチック」といっても、オートマチック車の変速機は明らかに自動運転車とは程遠い。だが一定の利便性は提供する。これが進化の過程にあるデータベース管理で実現している現状だ。データベースについて同氏が考える完全自律型データベース管理システムとは、自己修復できるシステムだ。完全自律型データベースは、程度の差こそあれ、自己駆動する。ただし、人間が介在する状況も必ず存在するだろうと同氏は考えている。
IT関係者にとっては、自動化は目新しいことではない。OSやソフトウェアの管理は、スクリプトで自動化している。データベース管理者(DBA)のツールセットに完全自動化が加わるのに時間がかかっているのは、データベースの独自性が非常に高い点にあるとマユラム氏は考えている。それは、リレーショナルデータベースが1970年代に設計された手法であるためだ。「データベースのアーキテクチャ全体は、マニュアル車の変速機のようなものだ。本来自動化できないものなのだ」とマユラム氏は話す。こうしたことから、DBAを高給で優遇する企業が多いのが実情だ。
だが、いずれはデータベース管理の自動化が実現するだろう。そうなれば、DBAがリレーショナルデータベースシステムをあれこれと操作する役割を担うことはなくなる。
データベースの管理作業が自動化されたら、DBAはどんな仕事に時間を費やすことになるのだろう。
「どのような変化でも、どれほどの仕事がなくなるかに目を向けるのは近視眼的だろう。データがかつてないほど重要になっている現状では、恐らくDBAの仕事が全くなくなることはない」とマユラム氏は話す。DBAの肩書は、ビジネスのさらなる迅速化にとってより重要な役割を担うものに変わると同氏は考えている。ビジネス上の意思決定が必要になった時点で、企業データに適切な形式でアクセスする複雑さを軽減できる人材をDBAと呼ぶようになるだろう。
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