「ソフトウェア定義境界」(SDP)とは【前編】
セキュリティ新概念「ソフトウェア定義境界」とは? 「認証後に接続」を実現
セキュリティ業界に新しく登場した概念「ソフトウェア定義境界」(SDP)とは何か。SDPの特徴と、それを具現化する仕組みを紹介しよう。
「ソフトウェア定義の境界」(SDP)という概念をご存じだろうか。これはクラウドセキュリティの推進団体Cloud Security Alliance(CSA)が定義した新しいセキュリティの概念であり、以下の2つの特徴を備える。
- ネットワークで接続される両端のデバイスは、その間をトラフィックが通過する前に認証を受けなければならない
- インターネットを介してトラフィックをやりとりする場合でも、基本的には通信に関わらない部外者からはトラフィックとデバイスが見えない
併せて読みたいお薦め記事
通信プロトコルとセキュリティ
- “危ない無線LAN”が嫌なら「WPA3」を使うべきこれだけの理由
- 無線LAN新プロトコル「WPA3」の目玉は認証簡素化、暗号強化、IoT対応
- 「Wi-Fi 6」をセキュアにする新技術「WPA3」「OWE」「Easy Connect」とは
セキュリティの新たなアプローチ「ゼロトラスト」
SDPの中核要素「単一パケット認証」(SPA)
SDPを具現化するには、接続を確立する前に「単一パケット認証」(SPA)を使って接続の両端のデバイスやユーザーを相互に認証する必要がある。SPAとは、デバイスやユーザーを検証してから接続の確立を許可する仕組みのセキュリティプロトコルだ。具体的には、1つのパケット(送受信するデータの単位)内にリクエスト元(パケット送信者)のIPアドレスなど接続リクエストに関する情報を持たせ、その情報を暗号化する。
例えばアリスがSPAを使ってボブとの接続を確立する際は、アリス側の接続リクエストに関する情報をボブに送る。「もしもし、ボブさんですか。アリスです。お話してもよろしいですか」という具合だ。だが、どうしてボブは、アリスが本人だと分かるのだろうか。それを確立するのが「認証」だ。
SDPの「認証後に接続する」をどう実現するか
認証では、公開鍵基盤(PKI)や多要素認証、IDフェデレーションなど、多岐にわたる手段が利用できる。先述したSDPの特徴により、アリスとボブはどちらも接続が確立される前に認証を受けなければならない。
この「認証後に接続する」というアプローチは、標準的なネットワークプロトコルであるTCP/IPの「接続後に認証する」アプローチとは正反対だ。SDPでは受信側がトラフィックを受け取る前に、送信側と受信側による互いの認証を強制する。これによって、通信経路に割り込む中間者攻撃、分散型サービス妨害(DDoS)攻撃、ID乗っ取りなど、さまざまなリスクを回避する。
接続された両端の認証が済むと、2者間でトラフィックの受け渡しが可能になる。SDPは、セキュリティプロトコルTLS(Transport Layer Security)を相互に利用して暗号化を実行するので、インターネットを介した通信でもトラフィックをプライベートに保つことができる。
SDPに基づくと、デバイスは承認済みのデバイスにのみ接続でき、トラフィックは常に暗号化しなければならない。従ってトラフィックとデバイスは、通信に関与しない他社からは見えなくなる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ソフトウェア定義境界」(SDP)とは
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社ラクス] どうすれば「変革を楽しむ組織」になれるのか? 事例に学ぶ、未来への一歩 -
製品レビュー
[デル・テクノロジーズ株式会社] 変化するサイバー脅威に備える、これからのストレージの選び方 -
事例
[サイボウズ株式会社] 受注約1.5倍と年間2万3000時間超の業務時間を削減、日機装に学ぶDX実践術 -
製品レビュー
[サイボウズ株式会社] 人材不足にどう挑む? ものづくり太郎が語る、製造現場でのAI活用成功の鍵 -
市場調査・トレンド
[グーグル・クラウド・ジャパン合同会社] 金融機関はAIエージェント導入でどう変わる? 7つの変化から19の事例まで解説
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Microsoft 365侵害企業の9割はMFA導入済み 1002人調査で見えた盲点
-
2
RAGで「データをAIに送る」運用が限界を迎えている理由
-
3
ハイパーコンバージドインフラ徹底比較、「SimpliVity」「Nutanix」はどう違う?
-
4
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
5
Microsoft月例パッチ1400件超で過去最多 「限界点」を迎えたパッチ管理
-
6
なぜストレージ不足は長引くのか? 77%が「12〜18カ月続く」と予測
-
7
【基本情報技術者試験】データ消失リスクを防ぐ3つの「バックアップ手法」を比較
-
8
複雑化するフォント管理に終止符を Monotypeが提唱する安全な運用方法
-
9
「Copilot」がIT予算を食いつぶす? 高額請求を招く課金体系と節約術
-
10
積水化学が挑む「データ経営」の核心:SAP S/4HANA Cloud導入の狙いとは
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
2
侵入から横展開まで27秒の脅威にどう立ち向かう? 防御のカギがEDRの理由
-
3
有識者が語る、中堅中小企業に求められる最新のサイバーセキュリティ対策とは
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
6
なぜAIは組織で定着しないのか? 全社展開を阻む「3つの壁」と突破のヒント
-
7
パスワードレスへの移行で失敗しないためには? 導入・運用上の注意点を解説
-
8
自社のセキュリティ対策は大丈夫? 自己診断リストで対策の優先順位が分かる
-
9
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー