通信品質の向上だけではないメリット
「Wi-Fi 6」をセキュアにする新技術「WPA3」「OWE」「Easy Connect」とは
「IEEE 802.11ax」(Wi-Fi 6)の登場は、無線LANのセキュリティを強化するだろう。どのような技術や規格があり、何に役立つのかを紹介する。
無線LAN規格「IEEE 802.11ax」(無線LANの業界団体Wi-Fi Allianceの製品認証プログラム名称では「Wi-Fi 6」。以下、本稿ではIEEE 802.11axをWi-Fi 6と呼ぶ)の2020年の標準化完了に向け、着々と準備が進んでいる。その中で話題の大半を占めるのは速度と効率の向上だ。セキュリティについてはどう向上するのだろうか。
あらゆる無線ネットワークのセキュリティは、その導入場面や状況に応じて変化する。例えば同じWi-Fi 6準拠の無線LANアクセスポイントであっても、ゲストとして利用するカフェの公共無線LANと、従業員が利用する企業LANは、機密データの処理に関するセキュリティ設定が異なることが一般的だ。
Wi-Fi 6の導入に合わせ、幾つかの新しいセキュリティの選択肢が台頭する見通しだ。
WPA3
無線LANの新たなセキュリティプロトコル「Wi-Fi CERTIFIED WPA3」(WPA3)の大規模企業向けモード「エンタープライズモード」(WPA3-Enterprise)では、認証機能と暗号化が強化される。現状、WPA3が選択肢となるのは一部の企業にとどまるが、認証規格「IEEE 802.1X」を利用するWi-Fi 6環境は「すぐに人気を得るだろう」と専門家は予測する。
WPA3はその前身である「Wi-Fi CERTIFIED WPA2」(WPA2)よりも強化されており、最終的にWi-Fi 6の必須要素になる見込みがある。WPA3の個人や小規模事業者向けモード「パーソナルモード」(WPA3-Personal)を使うことで、個人利用向けのネットワークにも優れたセキュリティを導入できる。利用シーンを問わず、やがてさまざまなデバイスがWPA3を採用するようになるだろう。
OWE
ホテルや空港などの公共ネットワークのセキュリティを強化する暗号化技術「Opportunistic Wireless Encryption」(OWE)も、注目すべきセキュリティ対策だ。OWEはエンドユーザーの介入を必要としない自動暗号化を提供する。だが、それほど広範囲には広がらないだろう。OWEやWPA3はWi-Fi 6の要件ではないものの、どちらも成熟度を増し、やがて事実上統合される可能性がある。
Wi-Fi Easy Connect
Wi-Fi 6に寄せられる期待の一つに、IoT(モノのインターネット)デバイスのセキュリティ向上がある。表示画面などのユーザーインタフェース(UI)のないIoTデバイスで、ネットワーク利用のためにデバイスをセットアップするのはストレスがたまることがある。
Wi-Fi Allianceは、新たなセキュリティ規格「Wi-Fi CERTIFIED Easy Connect」(Wi-Fi Easy Connect)でこの課題に取り組んでいる。Wi-Fi Easy ConnectはWPA2とWPA3の双方で利用でき、UIを持たないデバイスが安全かつ簡単に無線LANに接続する方法を定義する規格だ。Wi-Fi 6準拠のIoTデバイスが予想通り増加すれば、Wi-Fi Easy ConnectはIoTデバイスのネットワーク接続において極めて重要になるだろう。
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