データプライバシー管理に「AI」を生かす【第1回】
データプライバシー管理を「AI」に任せたくなる“これだけの理由”
データプライバシー管理業務の自動化や労力削減に活用できるのがAI技術だ。どのようなメリットをもたらし得るのか。専門家に聞く。
企業はデータの量と種類の増加だけでなく、データへのアクセス権限を誰が所有するか、誰がそのアクセス権限を認定するかといった「データプライバシー」に関する規制やデータ盗難の対処にも迫られている。手作業によるプロセスとルールを用いた個人情報の特定、管理、保護には限界がある。
AI技術をデータプライバシー管理に生かすメリット
AI(人工知能)技術を活用したデータプライバシー管理ツールは、さまざまな種類のデータを横断して個人情報の特定や分類を自動化する。調査会社Gartnerの予想では、2023年までにプライバシーやコンプライアンス関連技術の40%以上がAI技術に依存するようになる見通しだ。
企業がAI技術搭載ツールを使う理由は、単純にデータの量にある。AI技術による自動化がないデータプライバシー管理は「沿岸部の低い土地の浸水を、砂袋を積んだトラックで食い止めるようなものだ」と、ID管理ベンダーSailPoint Technologiesのシニアセキュリティストラテジスト兼最高技術責任者(CTO)のマイク・カイザー氏は解説する。
CX(顧客経験価値:カスタマーエクスペリエンス)の高度なパーソナライズを目指して、企業は動画やテキストといった非構造化データを活用し始めている。「個人情報は幅広さを増している。サービス設計の初期段階で、何を個人情報として取り扱うべきかの変化に追従しなければならない」と、セキュリティ人材派遣会社Tiro Securityの仮想最高情報セキュリティ責任者(CISO)ジェナイ・マリンコビッチ氏は語る。
機械学習をはじめとするAI技術をデータプライバシー管理に適用する主なメリットは「他の手段では簡単に解決できない状況に、有効な解決策を創出できることにある」。こう話すのは、データプライバシー管理ベンダーDataguiseの創業者でCEOを務めるマンミート・シンハ氏だ。
これは特に、センシティブなデータを管理する上で重要性が大きい。具体的には、HIPAA(米国医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)に違反することなく、企業間で医療記録を伝送するといった業務だ。
「センシティブなデータの管理と処理にAI技術を使えば、データを手違いで公開してしまったり、間違った場所に送ってしまったりといった人為ミスを排除できる可能性がある」。システムインテグレーターEntrust Solutionsの脆弱(ぜいじゃく)性管理リーダーであるダレン・デスラッテ氏はこう述べる。
データ保護製品を取り扱うDaseraの共同創業者兼CEOのアニ・チャウドハリ氏によると、AI技術は高度な無作為抽出といった、人が発見することが困難な傾向やパターンの発見も得意とする。データプライバシー管理ベンダーPrivitarの製品マネジャーを務めるマシアス・マイアー氏は、AI技術を使ったデータプライバシー管理の別のメリットを挙げる。それはデータ保護にかかる時間の短縮だ。データの安全かつ効率的な利用を望む企業にとって、これは成功の鍵を握る要因になり得る。AI技術は、法令などの基準に沿ったデータプライバシー管理を強制して、人的ミスのリスクを減らすことができる。
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