「新型コロナワクチン接種デジタル証明書」にまつわる諸問題【前編】
SAPやSalesforceは「新型コロナワクチン接種」証明システムをどう実現するのか
人事部門は、従業員が新型コロナウイルス感染症のワクチンを接種した実績をデジタル証明書として確認する方法を求めている。ベンダー各社もこうしたニーズに応えるために、製品開発を急いでいる。その現状は。
従業員が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンを接種したことを確実に証明したいと考える雇用主は、問題に直面する可能性がある。米国の場合、従業員のワクチン接種を証明する唯一の証拠は、ワクチンを接種した場所で発行される紙のカードだ。雇用主にとって、もしくは旅行での目的を考えても、紙の記録では必要十分とは言い難い。
SAPやSalesforceが提供する「ワクチン接種証明書管理システム」とは
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従業員のCOVID-19ワクチン接種問題
紙のカードの代わりを果たすのは、例えるなら飛行機のeチケットのような、スマートフォンで確認できるQRコード形式のワクチン接種デジタル証明書だ。いずれ米国では1億人に上る労働者の大部分がワクチンを接種して、オフィスに出社できる状況になるだろう。だが、そのような状況はデジタル証明書が導入されるよりもずっと早い段階で起こり得る。
朗報もある。ワクチン接種デジタル証明書の運用が開始すれば、人事部門はデジタル証明書の仕組み整備にほとんど苦労しないで済む。一部のベンダーでは既に下地作りが始まっている。
例えばSAPの人事システム「SAP SuccessFactors」の担当者によると、SAP SuccessFactorsのビザと労働許可証の管理システムには既に、アップロードしたワクチン接種のデジタル証明書管理の機能があり、ここからCOVID-19のワクチン接種の報告もできるという。とはいうものの、現時点ではQRコードのスキャン機能はない。「当社ではQRコードを使用するワクチン接種デジタル証明書にどう対処するかについて積極的に議論しているところだ」とSAPの広報担当者は語る。
Salesforce(salesforce.com)は2020年12月に、IBMの認証ツール「IBM Digital Health Pass」とSalesforceの業務支援サービス群「Work.com」の連携について発表した。Work.comは健康に関する任意のデジタル証明書を統合管理できるという。
ベンダーは各社のシステムに部分的に機能を組み込んだり、他社システムとの連携を可能にしたりしているが、ワクチン接種に関するデジタル証明書を確実に発行できるようになるかどうかは疑問が残る。このことは人事部門がデジタル証明書を入手する上で問題になる可能性がある。
米国の場合、ワクチン接種に関しては標準データ形式が取り決められていない。ワクチン接種の報告書は州のデータベースからワクチン接種を証明するシステムに取り込む必要がある。COVID-19 Credentials Initiative(CCI)で共同主幹事を務めるルーシー・ヤン氏によると、全ての州は予防接種の記録に関して独自のシステムを持っている。「市場は完全に断片化している。ワクチン接種デジタル証明書の実現は前途多難だ」(ヤン氏)
CCIはオープンソース技術を使用して、COVID-19のまん延防止に奔走する世界中の公衆衛生当局(PHA)の活動を支援するコミュニティーだ。非営利団体Linux Foundation Public Healthが主導するプロジェクトで、オープンスタンダードで相互運用可能なワクチン接種認証システムの開発に取り組んでいる。
中編は雇用主の立場から見たワクチン接種デジタル証明書の管理問題について考察する。
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